2話 これグレⅡじゃないっすかやだー‼
にゃにゃにゃ、にゃーん(運命/ベートーベン)。
立ったまま読んでいたらじろじろいろんな人に見られたので、噴水の際に移動し座って新聞を読みました。
結論から言いますと、大掛かりなどっきりです。それかですね、あれです、あれ。大昔あったTRPG実写イベントとかですね(自分が本当に装備とかウィッグつけてキャラクターになりきり、イベント会場に作られた実際のダンジョンもどきを攻略するやつです)、そういうのに特別ご招待された系女子になりましたね、わたし。
あれ参加してみたかったんですよ、楽しそうで。でも悲しき地方民ですのでね、縁がございませんでした。しかもですよ。しかもです。これ、このご招待いただいたゲームのシナリオ、いただいた新聞を読む限り、『グレⅡ』の世界観なんですよ……。
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説明しよう‼ 『グレⅡ』とは‼
園子中二病現役時代に一世を風靡したシミュレーションロールプレイングゲーム (SRPG)の略称である‼ 美麗なイラストを駆使したそのグラフィックとテーマ性の高さから、多感期のおこちゃまのみならず大きなお友だちもたくさん釣り上げ、十数年経った今でもファンアートが量産され続けているレジェンド作。
正式タイトルは『The King’s Grail of Eternal Ⅱ』で、通称は『キングレシリーズ』。ⅡということでⅠもあるが、そちらは鳴かず飛ばずだった。Ⅲは制作側とスポンサー側の音楽性の違いにより頓挫。今も待ち望む声が挙がっている。
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ということで、自他ともに認めるグレⅡ古参ファンのわたしが、どうやら大掛かりなファンミーティングにお呼ばれしたのではないでしょうか。と仮定して話を進めます。エンタメはテンポが大事ですからね。
はい。光栄です。お招きくださりありがとうございます。いつ会場まで来たのかさっぱりですけども。
スマホの携帯もだめなんて本格的な催しですね。現在時刻すら確認できませんが、たぶん夕方くらいです、たぶん。ということは中継を見て「寝よ」と思ってから十五時間くらい経ってそうです。髪の毛をお団子に結い上げたまま下ろしていないので、寝ないで移動した可能性もなきにしもあらず。
どこやねんここ。群馬県内ではないなあ……。イベント専用無料シャトルバスとかで来たんですかね。着の身着のままでとかわたしの第二人格計画性なさすぎる。コインロッカーの鍵とかも持っていないので、まじで本当に身一つなんですよ。アフォか、と。
いろいろ諸々第二人格のせいにしてちょっと現実逃避してみました。たのしかったです。はい、リアルに戻りましょう。
いただいた新聞を読みました。『グレⅡ』のことが書いてありました。隅々まで読みました。読めてしまいました。おどろ木ももの木さんしょの木(初めて使いましたこの言葉)。なんでかって申しますとね、はい、日本語じゃないんですのよ、この新聞。ぜーんぜん知らない言語で書かれてるの。読めちゃった。なんでやねーん。
自慢じゃありませんがワタクシ、言語学習が趣味ですの。これまで英語はもちろんイタリア語、漢語、韓国語、ロシア語、フランス語、ドイツ語のN◯Kラジオ講座テキストの四月号を入手してきましたわ。もちろんキレイに本棚に飾っております。ですから、この新聞がそれらのどの言語とも違うなっていうことはなんとなくわかるんですのよ。なんとなく。
強いて言えばフランス語に似ていないこともなきにしもあらずな気がいたしますが気のせいでしょうね。なにせフランス語四月号は八ページしか読まなかったので、はい。
で、わたし自身はここへやってきた自覚も記憶もない。
という状況を鑑みまして、これちょっとおかしいな、となるわけなんですよ。なりました。ファンミーティングにしても、わたしがこの新聞読める理由にはなりませんし。じっと手を見る。なんとなく。インクが手のひらに少し着いていました。
もしかしてなんですけど。ここ、『グレⅡ』の中じゃないですかね。
もしくは、そういう並行世界。あのですね、わたし創作者なんです。昔はグレⅡの二次創作でブイブイいわせていましたが、今は一次で小説書いています。趣味書きです。ネット小説とかそういうのです。で、まぁお約束な流れではありますよね。流行りというかもう主流というか、『転移転生』とかいうやつ。あはは。
いやあ、ねえよ(素)。
現実にそれっぽい状況になると、小説みたいに即座に順応、とかできないもんですねー。今わたし途方に暮れてますもん。ちょう捨て鉢気分ですもん。芥川龍之介だったら『園子の小さな眼が、柔らかな光をたたえながら、アイロニカルな微笑を浮べている。』とか描写するんじゃないですかね。ないって、まじでないって。夢か、夢だな、寝るか。よし寝よう。
新聞を枕にしてそのまま噴水の縁にこてっと横になりました。はい寒い。微妙にお手洗い行きたい。でも寝よう。そして起きよう。そうすればまたリアルに戻れるさ。消去法で行けるって稲◯浩志さんはシャウトしてたけど、問題先送りはわたしの専門分野です、任せてください。そのうちなんとかなる。Heyそうだろ⁉
「おねえさぁん……ここで寝るのはまずいよぉ……」
目を開けました。この声は忘れません。かわいいって言ってくれた声なので。かわいいって言ってくれた声なので。(大事なことなので) わたしの前にしゃがんでいて、ばっちり目が合いました。きっれー。ぐっとなにかを飲み込んだような顔をして、新聞少年は微笑みました。
「おねえさん、どこから来た人? ここいらでは見かけない感じだよね」
そうでしょうね。残念ながらモンゴロイドを極めきった容姿なので。一説には日本人のルーツはかの有名なロードス島からの移民にあるって読みましたけど。なろうで。その血はわたしにはちょっとしか流れなかったみたいです。甚だ遺憾でございます。でもまあ見られないくらい酷いわけではないのでいいんですけども。それなりに愛着もありますし。平たい顔。
「群馬県前橋市から参りました。ところでここはどこでしょう?」
「……えーと、とりあえず、起きない?」
そうですね。人とお話するのに横になったままは失礼でした、反省。
「あのさ……これから暗くなるし、こんなところで横になってたら、危ないと思うんだ。観光? 宿はどこ、送って行こうか」
「そうですね、観光でもしようという気分になれたらしたいと思います。――ところで、差し迫った問題があるのですが」
「え、なに? なんかあった?」
「お手洗いはどちらでしょう?」
>一説には日本人のルーツはかの有名なロードス島からの移民にあるって読みましたけど。なろうで。
これの元になったものがあります
Ancient Minoans and the Japanese (古代ギリシャの線文字Aと日本語)
https://ncode.syosetu.com/n8792gc/
ロードス島ではなくクレタ島ですが、読んだときまじでテンアゲしました……レビュー書きましたもん……
レビュー全文↓
なろう利用者は言葉が好きだろうと思う――日本語のルーツを知りたくはないか?
投稿者: つこさん。
[2020年 03月 30日 15時 22分]
なんだよ、月間ムーかよ!大好物だよこんなのさ!!!
全3話、そして英語によるこの作品。
大丈夫だ、問題ない。
この世にぐーぐる先生がいる限り。
あなたは考えたことがあるか?日本人の祖先が、もしかしたら遠い遠い場所からの移住者かもしれないと。
これは古代クレタ島に住んでいたミノア人と、その文化で用いられていた言語、"Linear A"に関する研究の報告だ。
なんと、"Linear A"は、現代の日本人であるわたしたちにも読めて、意味が通じてしまうほどに、日本語に類似しているというのだ。
そんな馬鹿な、直線距離で9,500kmもある場所と場所を、どのような方法でつなぐというのだ。
まずは第一話目を機械翻訳にかけてみよう。
英語でもよければそのままでどうぞ。
「まじかよ」って言っちゃいますって、これは。
いいよね~、ロマンだよ、これは!!