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168話 なに話すかぜんぜん考えてなかったんですよ

 なかった! めっちゃ検索しまくったけどなかった! アーカイブサイトぜんぶ! どちくしょうでございますわよ!

 一カ所だけサルベージしたデータを公開してくれていた日本の個人サイトがあって、そこでうろ覚えだったURLを確認できたけれど、そこも『2022年12月末をもって、当サービス(アーカイブしたデータの公開)を終了いたしました。4年間のご利用ありがとうございました。』って書いてあった! あああああああ。もうもうもうもう!!!

 わたしが探していたその、『裏シナリオ』について書いてあったサイトは、とあるゲーマーさんがグレⅡをやりこんだ上で抱いた疑問をテキストにまとめたブログでした。よしこちゃんは、わたしが抱いた疑問と同じ、いやそれよりも踏み込んだ問題提起をした人がいる、ということを示してくれたんです。

 結論としては、『公開されていない、シナリオ補完のためのアペンドディスクが存在するのではないか?』ということでした。たくさんのつっこみどころを考察して、ゲームシナリオとしての脆弱性を指摘した感じです。詳細が思い出せないんですが、読んだときに「そう、それ!」と何度も言った記憶があります。わたしが抱いていた違和感を、言語化してくれていた。なのに、その方のハンネもわすれてしまいました。

 そして、そこではもうひとつ結論を出していました。『完全版商法ではないと思われる』……つまり、最初から不完全な形で売り出して、後に完全な状態の商品を売り出すような販売形態ではない、ということです。なぜなら、グレⅡが発売されたと同時に、すでにグレⅢの開発に着手していることが公式から発表されていたからです。

 けれど、グレⅢは販売会社と開発側での目指すところにズレが生じ、結局志半ばで開発そのものが中断されました。そして、ヒット作がグレⅡのみだったそのメーカーの名前を耳にすることすら、いつの日かなくなってしまいました。


 ということで。嘆いていてもしかたがないので、当時の情報に言及している他のサイトやツイッターのまとめなどを掘り起こしました。そしてシナリオのあらすじを書いてくれているサイトとウィキペディア。あと、プレイ記録のブログと、YouTuberさんのレトロゲープレイ動画。それらを一助にわたしの記憶や考えの整理します。思い出せる限りのことを書き出そうかと。はい。

 まずはチラシの裏に、とにかく思い浮かんだことを書いて行きました。そしてそれをハサミで切って、時系列に並べます。それを眺めてまた思い出したことを書いて切って、不揃いなパズルみたいなことをしました。けっこう時間がかかって、とぷっと日が暮れました。備蓄してあったカップ麺を食べました。そして、認めました。

 ……うん。これ、一晩じゃ終わらない。

 とりあえず動画はシナリオあらすじブログを参照しながら四本見ました。ひさしぶりにオリヴィエ様のみ声の音源を聴き、ムービーも見て感動。ああ、わたしの青春よ! その時点で二十三時を過ぎたので、さくっと寝て朝から他のブログを読もうと思います。もちろん、今日思いついたことはちゃんとぜんぶ書き出して。愛ちゃんが生配信をしていたので、寝落ち視聴しました。


 おはようございます。寝坊しました。起きたら十時でした。なんて健やかな睡眠。もうちょい緊張しろよ。しかも、昨日は最高気温28℃もあったのに雨が降って10℃も気温が下がってしまいました。さっむ! とりあえず温かいシャワーを浴びました。

 引っ越しするだろうということで、食材等は買い込んでいません。なのでストックの乾物を消費するような形でここ一週間を過ごしました。パスタを茹でて、レトルトのソースで朝昼兼用食事をします。その間、昨日見られなかった動画をずっと流していました。他の人がするグレⅡってなかなか見る機会がないので、おもしろいです。

 ブログを読んだり断捨離したりしていたらすぐに十四時になりました。あっぶな、遅れる。長兄の一希さんからはお昼ごろに今日はだいじょうぶかの確認メッセが届きました。だいじょばないけどだいじょうぶです。はい。

 なんか足を崩せる感じで、ということだったので、ブラウンのガウチョパンツにしました。上は適当に白黒ボーダーのシャツと黒デニムのジャケット。今日寒そうだし。そしてもう無二の戦友となった、アウスリゼから連れてきたアイボリーのトートバッグ。

 前橋駅から、東京駅へ。運賃が安いコースで移動するので二時間くらいかかるかな。ギリ間に合う。東京の空も雨模様でした。

 丸の内中央口へは十六時五十一分に到着しました。よかった、五分前行動。パラパラと降りかかる雨を、柄が銀色でパラソル部分が水色ドットのお気に入りの傘でしのいでいると、スマホが鳴りました。


「はい」

『……園子?』

「はい、今中央口のところに居ます」

『あの、水色の傘?』

「そうです」


 すっと目の前に、あきらかにジェントルメーンな感じの男性が現れました。ネクタイこそしてはいないものの、オフィスカジュアルとでも言うんでしょうか。Vネック白シャツにネイビーのスラックス。グレーベージュのジャケット。お高そう。なんか記憶にある兄よりおっきい。そして、黒い。ジャケットが白系統だから肌がめっちゃ際立つ。いやまあ似合ってるんですけど。


「……ひさしぶり」

「はい、おひさしぶりです」


 もしかしたら感動の対面なのかもしれません。が、緊張こそすれ感動はわたしにはありませんでした。ただ、兄は次の句を継げないくらいに言葉を失ったようで、わたしとしてはなーんだかなあ、と思います。


「なんか、会ったら言おうと思っていたことがたくさんあるんだけれど……飛んでいってしまった」


 一希さんは傘を差していませんでした。なのでジャケットに雨粒の跡が増えて行きます。「移動しますか?」とお尋ねすると、我に返って「そうだね」とおっしゃいました。


「車を待たせているんだ」


 丸ビルの近くに黒塗りのタクシーが。もう黒塗りっていうだけで高級感あふるる。運転手さんも制帽をかぶって白手袋。高級感あふるる。いっしょに後部座席へ乗ったんですけど、なんとも居心地がわるいですね。よく知らない親戚となにを話せばいいのかさっぱりわからん。降りるとき、一希さんは料金を払いませんでした。というか、メーターが回っていませんでした。どういうこと。貸し切りとかそんな感じ? 金持ちの生態わからん……。

 連れてこられたのは、赤坂でした。めっちゃ黒いのれんが重厚感のある料亭。まってくれ。足を崩せる服装とおっしゃいませんでしたかお兄さん。


「軽いのがいいって言っていたから、重くない料理を見繕ってもらったよ」


 いえ、すでに心が重いです。とは言えませんでした。店員さんが「三田様、ようこそお越しくださいました」とにこやかです。なんかすんごい武家屋敷みたいなイメージの外観だったのに中にエレベーターがあって、これも和洋折衷と言うのかちょっと考えました。違う気がしました。五階まで上がって、降りたところで靴を脱ぐように指示されます。お座敷かよこわい。一番奥の部屋へと一希さんが向かったので、その背を追いました。……よかった! 掘りごたつだ! なんか高級感あふるるけど! 居酒屋とはぜんぜん違うけど!


「園子は、どんな食べ物が好き?」

「えっと、とくに食べられないものはないです。なんでも美味しくいただけます」

「それはよかった。じゃあ、お店に任せてしまっていいかな?」

「はい、はい、それはもう、はい」


 グレーの着物の女性店員さんが、作り物じゃない笑顔で「承知しました」とおっしゃいました。あの。わたくしブルジョワの生活がよくわからないのですが、あの、こういうお席って普通はコースとかで、メニュー決まっているものじゃないんですかね。知らんけど。

 さすがに兄がおごってくれるんだろうなー、とは思っていましたが、隙あれば割り勘で行こうとしていた気持ちがたいへんキレイに折れました。はい。むりでーす。

 運ばれてきたお品を、一品ずつ先ほどの店員さんが説明してくれます。お料理自体の来歴みたいな小ネタもはさんでくれておもしろかったです。さらに言うととてもおいしかったです。はい。とても。ずっと部屋にいらっしゃるわけではないですけれど、店員さんが黒子のようにどこかにいらっしゃることを考えたら、なんとなく気が楽になりました。親族よりも初対面の店員さんに安心するってどうなんだ。


「――園子。これまでのことを、聞いてもいいかい?」


 お互い美味しい美味しい、と感想を述べて食べていました。一希さんはもっと具体性のある感想でしたけど。まあ、それがアイスブレイクだったんだと思います。透明な汁物をいただいていたときに、一希さんはそう切り出しました。まあ、そうね。それが本題だからね。なんて言おうかな。


あのね、2200文字くらいで、あまりにも少ないので加筆していい?

9時くらいにリロードしてくれる?


【8:00追記】

3600文字くらいにしました

いつもながらお手数おかけいたします……ありがとうございます




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