1. 死後の約束
真っ暗な世界。
何も見えず。
感覚もない。
(ちくしょう! あの野郎!)
あるのは後悔と憤慨に満ちた意識だけだ。
「──ねえ」
どこからか声が聞こえた。
まだ若い、成熟しきっていない声だった。
「生き返りたい?」
「当たり前だ」
反射的に答える。
「やられたまんまで、いられるか! 俺は、どうしても魔王になんなきゃいけねえんだ。あいつと約束を……って誰だお前。神かなんかか?」
見えない誰かに、アイガは問いかける。
「僕はユラ。それより、もし約束をしてくれるなら生き返らせてあげるよ」
「約束?」
「生き返ったら、僕の妹……フィアを助けてほしいんだ」
「妹? どういうことだ。お前は誰なんだよ」
「ごめん。詳しい説明をしてるは時間がないんだ。約束、してくれる?」
「ずいぶんと一方的だな……」
口ではそう言いつつも、答えは決まっていた。
「わかったよ。生き返らせてくれんなら、約束は守る」
どうせ一度死んだ身。
生き返れることに比べれば、声が出した条件なんて軽いものだ。
これでもう一度、魔王になる機会、そしてガウェイクに復讐する機会を得られるのだから。
「安心しろ、俺は魔王を殺した男だ。お前の妹なんざ、すぐに助けてやるよ」
「ありがとう。アイガ。できればフィアに普通の暮らしを──」
声が途中で切れてしまった。
「あ、おい! 助けるって誰から──」
そしてアイガの意識も再び途切れた。




