表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

プロローグ No.0.0「幸せの終わり」

 この世の中には善と悪がある。

 人間とは、そもそも生まれながらに善か悪か?

 それは、この現代社会では答えられないものだろう。


 善か悪かはその人の立場よっても変わり、環境によっても変化する。


 時に人は無意識に他人を傷つける事がある。


 無意識とは恐ろしいものだ。


 俺は、幼少期に人の悪意を目にする機会が多かった。


 虐待を受け、虐めに合い、殺人事件にも巻き込まれた事もある。


 だが、どんなに絶望的な環境でも希望はある。


 人間には善の部分もあるからだ。

 俺はそう思って生きてきた。


 しかし、人間が本当に絶望する時はある。

 それは、最も愛する人に裏切られた時だ。


 そして、人は憎悪を抱き、復讐するだろう。


 復讐の⋯⋯その先にあるのは憎しみの連鎖。


 だが、俺は憎しみの連鎖は選ばなかった。


 いや、選べなかった⋯⋯


 俺は自分を犠牲にする選択をした⋯⋯


 俺は、急式 和人(きゅうしき かずと)だ。

 今年の5月3日で30歳になっちまった。


 そして、25歳で結婚して子供が3人いる。職業は看護師をしている。


 そう、人の命を救う仕事だ。


 幼少期は色々とあった。


 まぁー、母子家庭だった事もあり、周りの目も厳しかった。


 そんな俺も、30歳になった今は最愛の妻とも結婚でき、可愛い子供にも恵まれ幸せな生活を謳歌している。


 最愛の妻とは、看護学校で出会った。

 俺は、運命の出会いに感じた。


 そして、お互いにオタク趣味という事もあり、意気投合した俺達は付き合った。


 そして、見事にゴールイン。


 そして、愛娘2人と愛息子1人に恵まれた。


 仕事ともやり甲斐があり、帰れば最愛の妻と子供達が出迎えてくれれる。


 幸せとは、こう言う事を言うのだろう。

 俺は思った、ようやく俺の人生は報われたのだと。



 あの時までは⋯⋯



 ある日のこと、俺はいつもと変わらない日常が今日も始まり、いつもと同じように終わると思っていた。


  何気なく、スマートフォンでサイトを見ていたのだが、怪しい写真を見つけた。


  俺は思った⋯⋯これ俺の嫁じゃないか⁈



 俺は、その日、最愛の妻に恐れながらも聴いた。


「これ君なの⋯⋯?」


  妻は悪びれる様子も無く、何食わぬ顔で答えた。


「はい。そうですね。私ですが何か?」


  その言葉に物凄く傷ついた。心を(えぐ)られるとは正にこの事を言うのだろう。

 しかし、これは悲劇の始まりに過ぎなかった。


 地獄の始まりだった⋯⋯


 翌日、仕事から帰ると妻が子供達を連れ去り居なくなっていた。


  そして、地獄はまだ続いた。


 俺は、妻と子供の事が心配だった俺は、子供と妻に会いたいが一心で、妻と何とか連絡を取りを取り、「話がしたいなら〇〇駅に来て欲しい」と言われ、妻に指定された駅に向かった。


 そして⋯⋯


 俺は冤罪を着せられた。


 この時に俺はようやく理解した。

 そう⋯⋯最初から仕組まれた罠だった。

 全て嘘だった。


 その時、人の悪意に触れた俺はとてつもない吐き気に襲われた。


 そして、俺は何とか自宅に帰ったのだが、この事件で職も失った。


 その頃からだろうか、何を食べても味がしなくなり、眠れなくなり、笑い方が分からなくなり、未来が見えなくなったのだ。


「世界がこんなに残酷だなんて⋯⋯」


 そして俺は全てを失った⋯⋯


「俺の30年間は何だったのか⋯⋯」


 苦しい。苦しい。苦しい。苦しい。苦しい。

 俺は心身ともに疲れ切ってしまっていた。


 そして⋯⋯俺は決意した。


 平成30年8月9日のある日。


 気がつくとビルの階段を楽になりたいが一心で登っていた。

 屋上に着き。俺はポツンと一言言った。


「もう、疲れた」と


 そして⋯⋯



 ーードスッ!!ーー



 その音の瞬間、身体中に鈍痛が走った⋯⋯



 薄れゆく意識の中で誰かの声が聞こえた⋯⋯



「ーーちゃんーー。ーーお兄ちゃんーー」


「お願い⋯⋯助けて⋯⋯」


 その言葉を最期に意識が途絶えた⋯⋯


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ