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チビデブブスなニート民ワイが異世界に逝ったらイケメンな上流階級民になってたンゴwww  作者: the August Sound ―葉月の音―
1章 ワイ将、異世界に転移する
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第七話 ワイ将、最強の剣を手に入れる

「ミファエル!」私—ラニータシア—は王宮内に駆け戻ると、彼の名を叫んだ。さっきまで彼が戦っていたその場所は瓦礫と埃だけの空間となっていた。

「しっかりしてくださいフェルナンド様!」遠くで声がした。私はその声の方へ走った。

声のした場所に着くと、そこに倒れたミファエルと彼を介抱する少女がいた。この少女は確かミファエルの従者の—そうミーナとかいうはずだ。今、彼女は泣きながらミファエルを必死に起こそうとしていた。そこに私も加わる。

「ちょっとあなた、私に代わりなさい。」

「フェルナンド様が、フェルナンド様が」彼女はそれを泣きながら繰り返すのみだ。私は彼女に指示を与える。

「あなた、すぐに何人か兵士と担架を用意して来て。ミファエルを運びます。」

しかし彼女はミファエルから離れようとしない。泣きながら彼の名前を繰り返すだけだ。私は彼女の両肩を掴んで目をまっすぐ見ながら

「しっかりしなさい!このままだとミファエルが死ぬわ。」と言った。するとようやく正気に戻ったようで彼女は返事をして涙を拭って立ち上がって駆けていった。私は周りが静かになったところで彼の心肺の音を胸に耳を付けて聞く。かなり弱々しい音だ。奇跡的に激しい外傷はないが、内部をだいぶ痛めたようだ。

「ミファエル、しっかりしなさい。目を覚まして。」私は彼にそう言った。しかし微動だとしない。呼吸の音が弱くなってきている。私は気道が広くなるように彼の身体を支える。

「しっかりして。こんなところで死ぬあなたじゃないでしょ?」あれ、おかしい。私の視界が歪んでいる。

「ちゃんと呼吸をして。」なぜだろう声も震えている。私は彼の汚れた手を握った。

「目を覚まして。こんなところで死なないで。まだチャスキーのことも片付いてないじゃない…」ようやく私の異常の理由がわかった。握った手に涙の雫が落ちた。私は泣いているのだ。そして彼のことが—




「起きろ。」突然聞こえたその声で俺は目を開けた。目の前には男がいた。どこかで見覚えのある、色白なイケメン。ああ、そうだ、おまえだったか。

「おはよ、ミファエル・ハルト・フェルナンド卿。」俺はご丁寧にあいつのフルネームを言ってやった。あいつは無言で俺を見ている。

「で、なんでまた俺は一番最初にこの世界に来た時の場所に寝転がってるんだ?」俺は言った。そう、俺は今どうやら来た時の場所に来た時のように寝転がっているようだった。眼に映るのはどこまでも透き通った青い空とあいつの顔。唯一違うのは見える顔がミーナではなくあいつの顔であることくらいだ。

「ここはお前が初めてこっちに来た時の場所じゃない。」あいつが言った。

「じゃあどこだよ。」俺は尋ねた。

「ここはお前の意識の中。簡単に言ってしまえば夢の中だな。」あいつはそう答えた。

「夢の中、ねぇ。」俺は言う。

「なら俺は生きているのか?」

「もちろんだ。ただまだ意識は戻ってないがな。」

「だからその間にこっちにお前が呼び出したと?」俺は尋ねた。

「そう言うことだ。」

「なら早く本当の世界の方に戻してくれねえかな。」俺がそう言うがあいつは何も言わずに俺を真っ直ぐ見つめるだけだ。

「なんなんだよ。」俺は尋ねた。

「お前が呼び出したんだろうが。なんか言えよ。」そう言うとあいつは一呼吸おいてから言った。

「今お前は自分がどんな姿をしているのか分かるか?」

「そりゃもちろん元の世界の俺の姿だろうよ。お前がその姿なんだからな。」

「ならこれで見てみろ。」あいつはそう言って小さな手鏡を投げ渡して来た。俺はそれで自分の顔を見る。するとそこにはあいつの顔があった。—いや正確に言えば違う。俺の顔があいつの顔になっていたのだ。

「な、なんでだ?」俺は困惑した。

「分からん。だがもしかするとお前と私が一つに結びつきつつあるのかもしれんな。」あいつはそう答えた。

「そうしたらどんな悪いことがある?」俺は尋ねた。

「お前が元の世界に帰る術を失うかもしれん。」あいつはそう言う。

「今のお前の身体が俺そのものになりつつある以上分離ができないってことか?」

「ああ、そうだ。」俺はあいつの答えに言葉がでない。もともと元の世界に帰ることは期待はしていなかったが、こうして言われてみると、やはり辛くなるものだった。

しかし、その辛さというのを感じるのは俺だけではない。別の意味で、それはあいつも感じているものだった。

「困ったな、このままお前と私が一つになっていく—いや違うな。このままお前が私になっていったら私の立場はどうなる?私という人間はどこに消える?」あいつはそう言うと俺の目を真っ直ぐ見る。そして言った。

「もし私が今ここでお前を殺したらどうなるだろうな。」

「は?お前何言って」俺がそう言っていると、あいつは腰の剣を引き抜いて俺に向ける。

「お、おい冗談だろ?」俺の声は震える。

「いや。大真面目だ。」そう言うとあいつは剣を振りかざし、斬りかかってきた。俺も慌てて剣を引き抜いて受け止める。だが、剣の扱いで俺が勝てるわけがない。何度も打ち合うたびに、徐々に服に掠ったりするようになる。もちろん俺が攻勢に出れるはずもなく、防戦一方になる。そしてついに、


キーン


と音を残しながら俺の握っていた剣が弾き飛ばされた。

「あっ」俺は情けない声を出す。

「勝負あったな。」あいつはそう言うと剣を俺の顔にめがけて突き出した。俺もとっさのところで避けようとする。しかし少し遅かった。

シュッという音の後、左の頬に鋭い痛みを感じた。そして生暖かくなっていくのを感じた。俺は左頬を触る。触った手に赤い血がべっとりとついていた。俺は腰が抜けてその場にへたり込んだ。頬から垂れる血が地面の緑色の芝を染めていく。

—想定外の終わり方だ。まさか夢の中で消されるとは。俺はそう思いながら最期の時を待った。しかし、いくら待ってもあいつはとどめの一撃を振り下ろさない。俺はあいつの様子を見てみた。すると—

あいつは自分の左頬を手で押さえていた。しかしそこから鮮血が溢れ出ている。俺はその状況を理解できない。それはあいつも同じ様だった。あいつはなにが起きたのかわからないといったような顔をしていた。

そして不意にあいつは笑い出した。

「はははははは。そうか、そういうことか。」

「な、なんだよ気味悪いな。」俺は言った。

「お前と私はもうすでに一つのものになっていたのだ。その証に今お前に与えた傷が私にもできた。もし私が今お前を殺せば、私もここで死ぬのだろう。」

「つまり…?」

「お前をここで殺すことはできないということだ。」俺はその言葉を聞いて一つ安堵のため息をついた。

「仕方がない。今はお前を頼るほかないようだな。生き残るための武力と知識は私が与えてやる。だがそれに基づいて考えるのはお前の仕事だ。どんなことがあっても諦めるな。俺とお前がまた元に戻るまで生き残れるように働け。いいな?」あいつは言った。働けなんてあっちの世界でニートしてた俺からしてみれば耳の痛くなる話だ。しかしやってやるしかない。俺は胸を張って答えた。

「おう、任せとけ!」あいつはそう言った俺を真っ直ぐ見つめて

「頼んだぞ。」と言った。そして

「そろそろ夢から覚める頃だ。目を覚ましてミーナやラニータシアたちを安心させてやれ。」と言って俺の肩に手を置いた。その瞬間意識が遠のく。




再び目の中に光が入って来た。あまりにも眩しかったので俺はすぐに目をまた閉じた。そして今度はゆっくりと目を開けていった。天井が見える。下が柔らかいので今ベットの上にいるのだろう。少し身体を起こしてみようとする。すると脚に少し重みを感じた。そっちの方向を見てみると、俺の脚につっぷして椅子に座って寝ているラニータシアの姿が見えた。邪魔だったので脚を動かそうとしたが、ラニータシアの寝顔があまりにも可愛かったのでやめた。もし起こしてしまったら勿体無いように感じたからだ。

俺は最近のことを整理してみた。なにが実際に起きたことで、なにが夢の中のことなのか。とりあえずあいつと会っていたというのは確実に夢だ。じゃあドラゴンと戦ったのは?おそらく現実だろう。そうじゃなきゃこんなところでラニータシアが寝ている理由もないし、身体に少し痛みがある。じゃあ俺は死にかけたのか?それは分からない。ただ疲れて眠りこけてたのか、あるいは本当にとんでもない怪我をして意識を失っていたのかどちらの場合もある。あいつの言葉によれば瀕死だったらしいが、そもそもこの俺のいる世界がなんなのか—死後の世界なのか、向こうの世界で昏睡してる俺の夢の中なのか、それとも全く別の世界に飛ばされてきたのか—はっきりしない以上、どうなっていたのかは確定できない。

そう考えていると、寝室の扉をノックする音が聞こえ、

「失礼します。」と言うミーナの声が聞こえた。当然その返事をすべきラニータシアは寝てしまっているので誰も返事をしない。ミーナはもう一度ノックをして反応を待ったが、何も返事がないので、

「入りますよー…?」と言ってゆっくり扉を開けて入ってきた。俺はそれに声をかける。

「おはよう、ミーナ。」それに反応してミーナも返事をする。

「あ、おはようございます、フェルナンド様、、、ってあれ?」ミーナはそう言うとゆっくりと俺の方を見る。そして目を開けている俺の姿を認識する。するとミーナは涙目になって、

「フェルナンド様ー!」と言うと、俺に向かって走り寄って抱きついて、俺の胸に顔をうずめた。

「フェルナンド様、フェルナンド様。」ミーナは泣きながらそれだけを言う。

「そこまで泣かなくてもいいでしょ。」俺は笑いながら言うと、

「よかった、本当によかった。」とまた泣きながら言った。

そのやり取りがうるさかったのか、ラニータシアも目を覚ます。

「んー、、どうしたの、、、?」そして寝起きの目を擦りながら俺を見る。そして固まる。もう一度目を擦って、大きく目を見開いて俺を見る。

「ミファエル、、、?」ラニータシアはだいぶ俺を見た後に言った。

「なんだよ見たらまずいものを見たみたいな顔しやがって。」

「ミファエル目を覚ましたのね!よかったわ、、、本当にもう心配させて、、、。」ラニータシアの目にも涙がたまっていく。―寝起きの欠伸じゃない、嬉し涙だ。

「お前ら心配しすぎだろ。あんなんじゃ人は死ねねえんだよ。」俺はそう言って笑った。するとラニータシアは

「内臓のほとんどを破裂させられてたくせに何を言ってるの?ワグネスが倒れるまで魔力を使って治癒魔法をかけてくれてなかったら、あなた今頃土の下よ?」ラニータシアは少し怒ったように言い、俺の脚を軽く叩いた。

「そうなのか?」俺はミーナに聞く。

「はい。王宮の医師や神官たちは皆さん諦めていらっしゃったのですが、ワグネス様が最後まで治療してくださって。それでようやく手術でどうにかなるまでに戻せたのです。」

「そっか。じゃあワグネスには感謝しないとな。すぐに攻撃してくる奴だけど。」俺がそう言うと、

「一番近くにまず感謝すべき人がいるでしょ。この娘は真っ先に倒れたあなたのもとへ駆けつけたのよ?」とラニータシアが言った。

「そうだな、ありがとうミーナ。」俺がミーナにそう言うと、ミーナは

「いえいえ、私はあなたの従者ですから。それよりも、王女殿下がすぐに駆けつけてくださいましてミファエル(・・・・・)様の救護や介抱をなさってくださいました。私はその場では泣くばかりで、、、。」と言う。

「え?」俺は意外なことを聞いてびっくりした。ラニータシアがすぐに俺の救護に来たと言うのが考えられなかった。すぐに勝負を挑んで来たり、俺の指示に従うのを嫌がることからして、そんなに俺のことを心配するとは思えなかったのだ。

「そうなのか?」俺はラニータシアに尋ねる。

「しょ、しょうがないでしょ!私たちを逃して一人で戦って、その結果怪我した人をほっとくのは王家の者として許されることではないわ。」ラニータシアは顔を赤らめながらそう言った。

「それだけではなく、こうしてここに泊まり込んで、あの日からずっと看護をしてくださっていたのですよ?」ミーナが言うと、ラニータシアはさらに顔を赤くして

「と、当然でしょ⁈その場で介抱して後は何もしないなんてわけにはいかないじゃない。そ、それにお父様が、そう、お父様があなたの看護をしろってお命じになったのよ!べ、別にあなたのためにとかではないわ!」とまくしたてた。俺はラニータシアをじっと見る。するとラニータシアが

「なによ。」と言う。

「いや、別に?」

「なんなのよ!」

「ありがとう、ラニータシア。」俺はラニータシアを真っ直ぐ見つめながら言った。それにラニータシアは顔を真っ赤にして、

「だからあなたの為じゃないって言ってるでしょ⁉︎しかもラニータシアってなによ!私は王女よ⁉︎様をつけなさい様を!ああ、もう。そうだ食事を持ってくるからそこで待ってなさい!」と言うと部屋を飛び出していった。


「だいぶ照れていらっしゃいましたね。」ミーナがそう言って笑った。

「そうだな。」俺も笑いながら答える。

「でも本当に王女殿下は進んで看護をしてくださっていらっしゃいました。」

「感謝しないとな。」

「ええ。」

「そう言えば俺は何日間くらい寝てたんだ?」俺は尋ねる。

「今日でちょうど2週間ですね。」想定以上に時間が経っていた。そう言えば、あの夜、王国へアルバトロンからの使者が来た。内容は確か—そうだ、宣戦布告だ。宣戦布告から2週間経過ということは、普通に考えればもう戦闘が始まってるだろう。前線の様子が気になる。

「なあミーナ、王国とアルバトロンとの交戦は既に始まっているのか?」俺がそう尋ねるとミーナは少し顔を暗くした。

「はい。国境付近ではアルバトロン軍からの急襲を受け苦戦している様子です。編成などは分かりませんが、宣戦布告から三日後、レスカギール大公を大将とする10万の兵が出発しました。現在は王都に第二次隊を召集中で、その数は50万、多ければ100万とも言われております。」

「なら俺らもお呼びがかかるだろな。というかよくそんな状況下でラニータシアもここに来れてたな。」

「本人たっての希望だそうですから。それが王都を守った英雄の介抱となればお認めになられるでしょう。」

「じゃあ俺が出陣するときに一緒にあいつも来るのかな?」俺がそう言うとミーナは俺を真っ直ぐ見つめて言った。

「ミファエル様。」

「なに?」

「今は戦争を気にせずお身体をお休めになることだけをお考え下さい。」

「いや、でも国の一大事だし。」

「私は怖いのです。」

「え?」

「またこの前のように私を逃して一人で戦われて、そして怪我をなさってしまうのが怖いのです。怪我で済めばまだ良いです。しかし、今度は命を落としてしまうかもしれない。そんな事になったら私は、、、。私はどうしたら良いのですか。主人を失ったら、、、大好きな人を失ったら私はどう、、どう生きていけば良いのですか。」最後は消え入りそうな声で涙を流しながら言った。

「ミーナ。」俺が呼びかけるとミーナは

「出すぎたことを申しました。お聞き流し下さいませ。」と言って部屋を飛び出していこうとした。俺はその手を捕まえる。

「ミーナ。」ミーナは立ち止まるがなにも言わない。俺はその手を強く引いて抱きしめた。

「心配をかけてすまない。許してくれ。」俺がそう言うと、ミーナは小さな声で言った。

「ズルいですよ。」

「え?」俺は聞き返す。

「ズルすぎますよ。そんなこと言われたらもうなにも言えないじゃないですか。」

「ミーナ」俺が話そうとすると、突然ミーナが俺に口づけしてきた。

「わかっています、全部。ミファエル様は国で一番の騎士で戦術家でいらっしゃる。だから少し無理をしてでも国に尽くさなければならないし、ミファエル様もそうありたいと思ってる。でもだからって一人で戦われなくてもいいじゃないですか。全部一人で背負わなくてもいいじゃないですか。私は国で一番の騎士の従者ですよ?少しは私にも背負わせて下さい。」俺はミーナの言葉に気づかされた。他に人を巻き込ませず、一人で危険を背負うというのは俺のエゴでしかなかったのだ。俺が勝手に戦って、怪我をして死にかけてたときのミーナの心労は容易に想像できた。

「悪かった。そんなにお前を苦しめるなんて俺はダメな主人だな。」

「いえ、そんなことは」ミーナが言おうとするのを遮って俺は続けた。

「だから、ダメな主人を支えてくれないかな?流石に一人じゃ限界があった。」俺の言葉にミーナの顔が満面の笑みに変わる。

「はい!お支えいたします。」ミーナはとても嬉しそうに答えた。涙と笑顔が同居したその顔はとても可愛かった。

「実はまだ結構疲れてるし、身体も痛いんだ。だからもう少し休むよ。ミーナ、近くにいてくれないか?」俺がそう頼むと、

「もちろんです。いつまででも近くにおります。」と答える。そして二人は熱いキスを交わす—


直前、ギーとドアが開く音がして

「そう言えば、ミファエル、、、え?」ラニータシアが部屋に入って来た。そして俺とミーナの状況を見て驚くき、固まる。俺とミーナも固まる。

一瞬の静止のあと、

「な、な、なな、なにしてんのよ!」ラニータシアが顔を真っ赤にして叫ぶ。

「いや、その、これは」

「いろいろあって」俺とミーナは弁明を試みるが、

「なんなの本当に!だからあなたは嫌なのよ、ああ、もう大っ嫌い!もう2度と助けないわ!」とラニータシアは言うと、近くにあった辞書を俺に向かって投げて部屋から飛び出ていった。

「いてっ!」俺のひたいに辞書がクリティカルヒットする。

「大丈夫ですか?」ミーナが心配そうに俺のひたいを見る。するとちょっと間を置いて突然笑い出した。

「どうした?」俺は尋ねた。

「辞書がぶつかったとこ、赤くなってますよ?」ミーナが笑いながら答える。俺は当たったとこを手で触ってみた。別に血など出ていない。ミーナが笑っているのを見ていると、なんだか俺も可笑しくなってきて、俺も笑った。

「そう言えば、さっきから俺のことミファエル様って呼んでたよね?」と俺はミーナに聞いた。

「はい。」

「なんで?」

「あの日、私に逃げるようにお命じになったときにおっしゃったじゃないですか。名字で呼んでるなら別にミファエル様に忠義を尽くしているわけではないだろうと。フェルナンド家に尽くしているということだろうと。ですから私は、ミファエル様の従者ですから呼び方を改めさせていただきました。」ミーナはそう答えた。

「そっか、そうだった。ごめんな。俺も本当は分かってたんだけど逃げて欲しかったから。」俺は弁明した。

「分かっております。」ミーナは答えた。

「ですが、もうこれからはもう私をミファエル様から遠ざけないでください。」とミーナは続けた。

「もちろん。いつでも近くにいてくれ。」俺も答える。そして今度は邪魔が入ることもなく、しっかりとキスを交わしたのだった。




1週間後・王宮

俺は3週間ぶりに王宮に出向いた。意識を取り戻してから1週間は国王直々の命令で自宅に待機しておくように言われたので、寝込んでる間に落ちた筋力を取り戻すためのトレーニングに励んでいた。そして昨日の夜、翌日王宮で国王に謁見するようにという命令が国王の使者からもたらされ、今こうして王宮の廊下を歩いている。

王宮の復旧工事は急ピッチで進められているようだが、戦いの跡はまだしっかりと残っていた。特に損害の激しい晩餐舞踏会場は立ち入り禁止になっていた。現在王都には王国各地から貴族たちの率いる兵が集まってきていて、王都の内部はごった返していたが、王宮内は騒がしくないどころか、むしろこの緊急時に静か過ぎるくらいだった。

俺は王宮の入り口で伝えられた通り、国王執務室に向かった。その扉の前には黄金騎士が2人立っていて、俺が扉の前まで来るとすぐに扉を開けた。部屋の中から

「入れ。」と言う声が聞こえた。

「失礼致します、陛下。」俺はそう言って部屋に入る。

「調子はどうだミファエル?」国王は俺に尋ねる。

「おかげさまで良くなりました。ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。」俺は国王の前に傅いて答える。

「そうか、それは良かった。それでだな、この前の王都を護った働き、実に素晴らしいものと認め、ここに褒美を取らせたいところなのだが、知っての通り今はそれどころではなくてな。この戦役が終わった後に国を挙げて祝福したいと思っているのだが、それでも良いか?」

「もちろんです。今はアルバトロンを撃退するのが先です。」

「理解をしてくれて助かる。」国王はそう言うと机の上に王国東方域の地図を広げた。そして俺に机の上近くに立つように言った。国王が説明を始める。

「ミファエル、もう既にアルバトロンとの戦闘が始まっているのは知っておるだろう。」

「はい。」

「我が軍は国境のサーム、レーベ、ル・シェルリ、ツェピン城で籠城戦を展開、東方域の兵は準備が出来次第そちらに向かわせている。」サーム、レーベ、ル・シェルリ、ツェピンの四つの城は前の戦争の結果、アルバトロンとの間で決まった国境線に沿うように作られた城だ。城と城の間は互いの城の城壁が延長されて繋がっている。城のある地域以外は、山脈から延びる巨大な森林地帯が広がっており、そこからの敵の侵攻は考えられない。

「現在どれくらいの兵が籠っていますか?」俺は尋ねた。

「サームに1500、レーベに3500、ル・シェルリに4000、ツェピンに1000だ。まああの四つの城は一つの長城のようなものだから、国境に1万が張り付いてるのと変わらないな。援軍として20キロ後方のフィールドリーグから3万を向かわせるように指示したから、今日中には計4万になるだろう。レスカギールの10万の軍も3日のうちには着くだろうし当面は突破されることもあるまい。」フィールドリーグは、東部国境に一番近い城塞都市(街全体を城壁で囲んだ大都市)だ。もう20キロ西に行くと大河川テーネ・レ・コシヨン川があり、この川に沿ってラーガサイド、ヨッタ、ヴァイルという3つの城塞都市がある。

「レスカギール大公は今どこに?」

「ヨッタの対岸のミルスーツクだ。ここで1日周辺の貴族たちの兵の集結を待ち、その後川を渡って国境へ向かう。」

「初動としてはかなり多めの兵を用意できましたね。」

「ああ。東方には元から多くの兵を置いて、国境巡回や演習を頻繁にやらせてたからな。もともと準備が出来ていたのもいたのだろう。だがこれだと攻勢に入って、敵地に侵攻する兵力がいない。だから3日後にギーストニックを総大将とする80万の兵を送る。」

「なるほど。それで今日のお話は、このギーストニック王子の軍に私も参陣しろということでしょうか?」俺は尋ねる。

「いや、そうではない。流石に3日後までに全ての準備をするのには無理があるだろう。そもそもお前の領地から兵を呼び寄せるのに3日では足りまい。だからこの陣営には加わらなくていい。」

「この陣営、ですか?」

「ああ。」

「ということは他の陣営がさらにあるということですか?」

「察しがいいな。そうだ。さらに2週間後、50万の兵が出立する。これは余が総大将となる。そしてミファエル、お前にはこの軍の別働支隊として20万の軍をを率いてもらいたい。」

「私が総大将としてですか?」

「ああ。やってくれるか?」

「承知いたしました。」俺は承諾した。

「よろしい。この軍の目的は、徹底して機動戦を仕掛けて敵を分離したり急襲したりすることにあるから兵は重騎兵10万、軽騎兵2万、弓騎兵3万、戦車2万、馬車重装歩兵2万、馬車軽装歩兵1万となる。ただ、この軍の特性上敵地奥深くに進入することが多いから兵の補充が容易ではない。だから騎士団を多くつけることにした。お前の藍色騎士団に、アルバフの深緑騎士団、イルメイの赤色騎士団、バリエスタの銅色騎士団、ワグネスの黒色騎士団、それにラニータシアの桜色騎士団だ。これで騎士団だけで6個騎士団、3000人だ十分な戦力だろう。」

「騎士団が来るということは、団長である彼らも来るということですよね?」

「もちろんそうだ。」

「いいんですか?そんなに王族家を一つの軍に集めて。それにラニータシア王女がいるのに私が総大将ですか?」

「騎士団を多くつけさせたいのだから仕方あるまい。いらないのなら返してもらうが?」

「いえいえ。ありがたく頂戴致します。」

「それとお前が総大将になることはラニータシアが推薦してきたことだ。」

「えっ?」俺は驚きの声を挙げた。

「戦の指揮は戦術に優れるお前に従うことにしたのだろう。まあ何にせよ作戦を立てるのはお前の役目になっていただろうから大差あるまい。」続けて国王は尋ねた。

「それで、お前の軍の出立日だが10日後で行けるか?」

「兵の集結状況はどうなっていますか?」

「お前のところの兵以外はだいたい集結している。」

「ならばいけます。」俺は答えた。

「よし。では、」と国王は一呼吸置くと厳かな声で

「カトペーニャ地方領主にして藍色騎士団長、“王国の護り人”ミファエル・ハルト・フェルナンド、20万の兵を率いて王国に仇なす敵を討ち払え。」と命じた。

「はっ!」俺も答えた。

「そういえば、」国王が思い出したように言った。

「お前の剣についてワグネスが話したいことがあると言っていたぞ。ついでに屋敷に行くのが良いだろう。」

「はっ。ありがとうございます。」俺はそう言うと部屋を出た。




王宮を出た後、俺はワグネスの屋敷に向かった。屋敷に着くと使用人から屋敷内のバールンにワグネスはいると伝えられたのでそこに向かった。俺は扉をノックして

「ワグネス、入るぞ。」と言いながら扉を開けた瞬間、危険を察知して横に飛んだ。直後、扉が爆散して破片が飛び散る。

「あ、危ねえだろ!」俺は怒鳴りながら中に入る。

「ふっ、ミファエル。完全に元どおりになったようだな。安心したぞ。」ワグネスがそう笑う。

「まったく、笑い事じゃねえよ。でも、まあ、ありがとな。ぶっ倒れるまで俺の治療をしてくれて。」

「礼には及ばん。俺はお前の友人だからな。」ワグネスが答える。—少しかっこよかった。

「それで今日俺を呼び出したのはなんでだ?」俺は尋ねる。

「お前の剣はあの戦いでどうなったか知っているか?」ワグネスは言う。

「いや、知らない。だけど、どうせ壊れただろ?あんな爆発じゃ木っ端微塵だろ。」

「ああ。確かにそうだった。俺がお前のところに駆けつけたとき、お前の剣はバラバラになっていた。だが、その後、俺はその剣が元に戻っていくのを見た。」

「は?お前何言ってんだ?」俺は驚く。

「お前の剣がドラゴンの死体を取り込みながら元の形に戻っていったのだ。赤黒い光を発しながらな。精霊も騒いでいた。」ワグネスの言葉がよく理解できない。壊れたものが元に戻った?それにドラゴンを取り込んで?

「絵面がよくわからない。」俺は言った。

「俺だってどう説明すれば良いのか分からん。ただ、突然剣の柄に付いてた水晶が光ってドラゴンを照らした。するとドラゴンがみるみるうちに溶けていって、その液体が欠けた剣と剣の間を埋めるように吸い込まれ、一本の剣になったのだ。これは事実だ。」

「じゃあそれは今どこにある?」俺は理解できなかったが、尋ねた。

「ここだ。だから貴様を今日呼んだ。」そう言うとワグネスは俺を祭壇の前まで来させて、そこに置かれている一振りの剣を指差した。

「これだ。」それは、俺があの日持っていった剣と形は一緒だった。しかし、色と水晶の色が違っていた。

「なんでこんなに真っ黒になってんだ?お前が塗装したのか?」俺は言った。

「そんなわけあるか。ドラゴンを取り込んだ結果この色になったのだ。確かにイカしたグラデーションだとは思うが。」

「それでこれは元に戻るのかよ?」俺は尋ねた。

「分からない。とにかく分からないことだらけなのだ、この剣は。ただ、少なくとも言えるのは、この剣は最早前とは一緒ではない。何かが取り憑いている。」

「それはまあ普通に考えればドラゴンだろうな。」

「そうだ。」

「お前さ、このドラゴンの魂的なの呼び出すことできるの?」俺は聞いた。

「可能だ。ただ少し時間をくれ。召喚陣を組まねばならん。」ワグネスはそう言うと、謎の液体の入った瓶と筆を持ってきて、それで地面に何かを描き始めた。

大きな円を描いてその中に内接する五芒星を描き、その五芒星の各頂点から円の外に向けて直線を引いた。そして円の中に何か文字を書くと、

「天界、霊界の王、火と闇の精霊を使役せん。地獄の業火をここに移して、死霊を炙り出さん。カーヴェント・クローツ・セニバリェト・フィネーノ・タイラーチェニト!」と言った。すると、描いた部分が急に激しく燃え上がり、書いた文字が紫色に怪しく光る。少し経つと、火の中から黒々とした影が見えた。—ドラゴンの影だ。そして炎の中から

「我を呼びしは汝か?」と低い声が聞こえた。

「ああ、そうだ。」俺がそう言うと炎が弱くなり、ドラゴンの姿が現れた。

「汝は(たそ)?」とドラゴンが尋ねる。

「お前を斃した者、といえば十分か?」

「なるほど、なるほど。して何の用であるか?」

「なぜお前が剣に取り憑いている?」俺は尋ねた。

「なぜ?我とて斯様なところに入りたくはないわ。むしろ我は取り込まれた側ぞ?もしや汝、この剣が斃した敵の魂を吸い取るのは知らんのか?」

「は?」俺は驚く。この剣に取り憑いているのはこのドラゴンだけではないのか?

「この剣は他にも数えきれない程数多の戦士を—人間だけではないぞ?オークも、ゴブリンも、ドラゴンもトロールも全部—を取り込んでおる。汝は感じていなかったかもしれんが、これは既に呪われし剣、呪化武装(じゅかぶそう)ぞ。そして此度、魔法生物である我が取り込まれたことで、この剣は伏魔呪器(ふくまじゅき)となった。」ドラゴンの言葉にワグネスが驚く。

「伏魔呪器だと?」

「それってなんなんだ?」俺はワグネスに尋ねる。

「神話に出てくる伝説の武器だ。魔法生物を取り込むと、武器としての性能が上がる。単に斬れ味が落ちにくくなるとかではなく、特殊なアビリティを持てる。そのアビリティは取り込んだ魔法生物によるが。」ワグネスの答えに続けるようにドラゴンが言った。

「我はエンピレネス山脈の主、爆発爆風の炎龍だ。」

「ということは、身体能力の補助と爆発爆風の固有魔法付きか。」ワグネスが言う。

「そうだ。魅力的な武器だろう?」ドラゴンが言った。

「そうだな。これすぐに使えるのか?」俺は尋ねる。

「ああ。契約を交わせばすぐにだ。」ドラゴンは嬉しそうに言う。すると、

「待て!早まるな。」ワグネスが言った。

「どんな契約をされるか分からん。」ワグネスの言葉に俺はハッとする。そうだった、そうだった。元の世界でも悪徳商法には注意だった。

「くそ、良いところまで行ったのだが。」ドラゴンが悔しそうに言う。

「まあ良いだろう。極論、呪器となってしまった我に残る欲と言えば、血肉や魂を欲するくらいだ。汝が斃した敵のそれを我に与えてくれるのなら契約を交わそうではないか。」

「そんなんで良いのか?」俺は尋ねる。

「ああ。ただし、汝が我以外の武器で敵を斃すのは許さん。斃したら呪詛返しで汝の血肉、魂を頂く。これでどうだ?」俺は少し考えてから、

「うん、それくらいなら。」と言って同意した。

「待て待て、本当に良いのか?」ワグネスは確認する。

「そんなに問題ねえだろ。俺が剣で敵を斃してけばいいだけじゃないのか?」

「そうだろうが、、、。本当にそれだけなのか?」ワグネスはドラゴンに尋ねる。

「ああ。それだけだ。というか、契約以上に此奴が我を手にして如何様にこの世を切り裂くのかに興味があるのだ。」ドラゴンは言った。

「オッケー、信じよう。ワグネス、俺は契約を結ぶぞ。」俺がそう言うと、ワグネスは少し黙ってから

「、、、承知した。」と言った。

「そうしたら、まずこの剣で指先を少し切って血を出せ。」ワグネスが俺に言った。俺がは言われたようにする。黒々とした剣はとても重かった。指先に刃を滑らせる。鋭い痛みの後、赤い血が指から流れ出た。

「その血を剣の刃先から柄まで垂らせ。」俺が血を垂らすと、剣にどんどん染み込んでいった。全体が赤い血の色になった。するとドラゴンが、

「我、汝の血を得ん。汝、我の血を得ん。」と言い、直後、剣は白銀の鉄の色に戻っていった。しかし、水晶だけは赤色のままだった。

「これで契約は完了だ。」ドラゴンが言う。

「それではこれから宜しく頼むぞ、マスター。」ドラゴンがそう言って消えようとするのを、

「待って、待って」俺は呼び止めた。

「なんだ?」ドラゴンは聞く。

「お前の名前ってなんだ?」俺は尋ねた。

「名前?」

「いや、だって、まさか“剣”とか“ドラゴン”と呼ぶわけにもいかないだろ?」

「我は構わんが、、、。」

「俺が嫌だよ。」と俺は言った。

「だが名前なんぞ覚えておらん。そもそも我に名前が有ったのかも分からんわ。」とドラゴンが吐き捨てた。

「なら名前つけてやるよ。そーだなー、、、うーん、、、あ、ドミンゴにしよう!」

「ドミンゴ?」ドラゴンが聞き返す。

「うん。爆発炎上が一致するし。はい決定!よろしくなドミンゴ。」俺がそう言うと、

「ああ。」と素っ気なく言って、ドミンゴは消えた。


ドラゴンが消えた後、ワグネスが

「剣を取ってみろ。」と言った。俺は言われたように剣を取る。すると、

「あれ?軽い。」俺は驚いた。

「振ってみろ。」ワグネスが言ったので振ってみる。すると剣は、まるで俺の腕と一体化したように、違和感も重さも感じないで動かすことができた。それに剣を振るう速さも、以前よりも格段に速くなっているように感じる。

「早速身体能力強化の効果が出ているようだな。」ワグネスが言う。

「それ以上に剣との相性が良すぎて気味が悪いぞ。」俺が言うと、

「当たり前だ。もはやその剣はお前に完全に付き従う物だからな。むしろ違和感があれば、それは剣が反抗しているときだ。」とワグネスが説明した。

俺は剣を窓から入ってくる日の光に当ててみる。刃に光が反射されて美しく輝く。—この剣一本あれば誰にも負けない。そんな気にさえなる。するとワグネスが、

「ミファエル、武器に呑み込まれるなよ。」と言った。

「え?」俺は聞き返す。

「お前が強いからこの剣を上手く扱える。この剣が強いから上手く扱えるわけではない。そこを勘違いして鍛錬を怠ると武器に呑み込まれて、武器にお前が操られることになるからな。」ワグネスは俺の気持ちを見抜いてたしなめてくれているようだった。

「ああ。分かった。」俺は答えた。


この剣と(あいつ)から教わる兵法を使ってこの王国の危機を救ってやる、俺はそう気合を入れたのだった。

いや〜お久しぶりです。the August Sound—葉月の音—です。なかなか更新できないでお待たせしてすいませんでした。久しぶりの投稿なんで長くなっちゃってます←平常運転

てかみなさんドミンゴっていう野球選手知ってますかね?ンゴっていう語尾の元になった人ですね、はい。詳しくはググってみてください笑

次も一回こっちを書いてから、荒野戦記書いて真夜中の蝉を更新します。良ければこれらの作品もお読みください。

ではではこの辺で〜。

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