-翼飛龍の銀の鈴-
如何も今日は。此の話は有体に言えば童話の様な物です。
冒頭の通り此も又例に漏れずダークで、幻獣で、中二病な物語。只筆者が長編許り書いて短編が如何も苦手だった為、練習用に書いた物です。・・・高校生の時に。
でも割と気に入っている話なので、其に此だと割とちょくちょく書けると思うし、序でだから上げてしまおうと現在です。暇潰し程度になると良いですけれど。
さて、今回の話は銀の翼竜、ワイバーンの御話です。雪山が魅せるのは美しい幻想?其とも儚い・・・
昔、ある旅人が遥か先に見える皓い峻嶺を目指していました
其の危峰には数々の伝説があり、内一つを旅人は知っていました
峰には翼飛龍と呼ばれる龍がいる
皓く輝く淡雪の様な鱗を有し、吹雪の様に棚引く翼のある銀の龍が
其の龍は人身御供を求めた
差し出さねば、麓の村は吹雪に閉ざされるだろうと
人々(ビト)は一人の少年を峰へ送った
翼飛龍に分かる様、銀の鈴を付けて
翼飛龍は少年を見付け、鈴を自分の尾に括り付け、少年を呑み込んだ
翼飛龍は鈴を鳴らした
すると少年の母親が我が子と思い、泣き乍ら峰へ向かった
翼飛龍は又鈴を鳴らした
今度は父親が妻と子を探しに峰へ向かった
翼飛龍は人身御供を求めなくなった
代わりに鈴を鳴らした
人々は自ら人身御供となって行った
自らを守る為に捧げた人身御供だったのに
自らを犠牲にした事に気付けなかった
だから若し皓銀の峰で道に迷った時、鈴の音に誘われてはいけない
其処には翼飛龍の牙が横たえられているのだから
旅人は銀の峰を目指した
すると峰の麓に村があるのを見付け、人影絶えた村は旅人を厚く歓迎した
そして村人は語った
此の村に伝わる翼飛龍の話を
一人の村娘が薬草を取りに銀の峰へ向かった
でも、空山の天気は気紛れだ
先迄は晴れていたのに、少女は吹雪の中に取り残された
凍て付く寒さ
先見えぬ吹雪
死の子守唄
少女は途方に暮れていた
そんな中、突如転機が訪れた
銀の吹雪が少女を取り囲んだのだ
でも少女は寒くなかった
少女が目を凝らすと、大きな銀の翼が其処にはあった
淡雪の様に刻一刻と色を、輝きを変える鱗
そして優しそうな銀鏡の様に諭す瞳
其は一頭の翼飛龍
翼飛龍は翼と同化した手を少女に向け、ある方角へ振るった
少女は促される儘に歩き出した
翼飛龍の翼が少女を匿う事で、少女は全く歩くのが苦にならなかった
暫くすると、村が見えて来た
立ち止まった翼飛龍に、少女は唯一持っていた銀の鈴を翼飛龍の尾に結わえてやった
そして峰から鈴の音を聞き乍ら少女は村へ帰る事が出来た
だから若し皓銀の峰で道に迷った時、鈴の音に従わなければならない
でないと、永遠の眠りに誘われてしまうから
旅人は話を聞くと、早速空山を登った
程無くして旅人は吹雪に見舞われた
然も余りの視界の悪さに道に迷ってしまった
旅人は闇雲に歩き出した
何か、何かを見付ける為に
そして幾日か経った
旅人は確り準備していたので此処何日かは問題なかった
でも此以上は持たないかも知れない
旅人の顔に焦りの色が滲んだ時だった
小さな、でも確かな鈴の音がしたのだ
旅人がもしやと思い、辺りを見たが、場所は定かではない
又・・・鳴った
もう形振り構っていられなかった
旅人は音のする方へ走った
音は次第に大きくなる
声を出そうとした時だった
大きな轟く様な咆哮が谺した
旅人の足が止まった
何なのだ、今の声は
翼飛龍の物なのか
旅人が目を凝らすと、ちらちらと眩い曦が見えた
そして途轍もなく大きな翼も
曦は何処迄も続く様で、全体は見れた物ではない
旅人は思い出した
己の知っている物語を
其の中に渦巻く恐怖を
少年は如何なった
少女は如何なった
自分は如何なるのか
旅人は走り出した
後も見ず、我武者羅に
旅人は知らなかった
あの声が、村人が旅人を探す声だと
あの曦が、地を照らすランプだと
あの翼が、ただの雪吹雪だと
其の後、あの旅人を見た人はいない
然うとも知らない村人達は、旅人を探し続けた
鈴を付けて、探し続けた
暫くすると鈴の音が何処からかし始めた
村人達が旅人と思い近付いて行く
すると其処には皓き翼飛龍がいて・・・鈴が鳴った
あの村と峰に行く者はいない
だからあの村人達がどうなったのかは分からない
でも風の噂で囁かれている
彼所には翼飛龍の棲む峻嶺と、廃村がある丈だと
-Fin-
御帰りなさい。如何だったでしょうか。後味悪い?其が此の話の醍醐味です。然う思って貰えたら筆者冥利に尽きます。
先ずは筆者の大好きな龍達の中からワイバーンさんを選んだ訳ですが、皆さんも好きな幻獣等居るでしょうか?幻獣は例に漏れず大好物なのでコメントとかでこんなのいるよーとか、斯う言う所が此奴好きなのー等あれば次の話に生かして行きたいなーと思います。
ワイバーンさんも最近ゲーム等で引っ張り凧ですからね。其処で今回も割と有名な翼=手となった足もあるつまりは恐竜等で言う翼竜のタイプを出させてもらいました。実際には他にもワーム系(手足無いってか芋虫になってる)、脚のない奴とかとかいますので何処かで出せたらなぁと思います。
では今回は此の辺りで。
では皆さん良い物語を。