乙女ゲームとは何だ?
私は今、非常に困っている。
目の前には見知らぬ少女。
長い黒髪はツインテールで、勝ち気そうな茶色の瞳。
普通だが可愛さのある顔立ち。
よく言えばスレンダー、悪く言えば貧相な体。
身長も私より低いだろう、おそらく。
そうやってさりげなく観察していたら、彼女は顔を赤くして怒鳴ってくる。
「ちょっと、聞いてるの!?」
「一応は」
そう言えばますます顔を赤くしている。
ほとんど聞いていないのが分かったのだろう。
しかし、私がここに呼ばれたのは何故だ?
ここは空き教室で、昨日転校してきたばかりの私にはこの校舎内では初めて見た場所なのだが。
さらに少女の名前は知らない。
「もう生徒会は私のものなの!あなたはさっさと帰りなさいよ、高遠蘭!」
何で生徒会なんだ?
そもそも、生徒会をしているのがどういう人達なのか知らないのだが。
まぁ、別にいいが。
しかし観察してる時に気になる発言が聞こえた。
それについて聞いてみよう。
「先ほどから気になったが、乙女ゲームとは何だ?」
「乙女ゲームってのは…」
「それにヒロインとかいうのと生徒会がどう関係がある?私は昨日、ここに転校してきたばかりだから、生徒会のことを言われても分からん。
ここは学校、つまりは学ぶ場所だ。生徒会は生徒達の模範にもなる存在だ。
そもそも人は物ではない、なのに「私のもの」とはどういうことだ?人間としての品格を疑う。
それにどうやって私のいるクラスを知った?私と君は初対面な上にクラスが違う。君の名前すら知らない。
それにゲームとは何だ、ゲームとは。この世界は現実、三次元だ。虚構、二次元の世界ではない」
私がそう言えば押し黙る少女。
だが気にせず続ける。
「ならばこの世界を君の言う乙女ゲームの世界だとしよう。
私達の体は、感情は、過去は、現在は、未来は、関係は、出来事は、全て作り物となる。
だが、ここで矛盾が生じる。
私達を生み出した者は誰だ?
私達を生かしてる者は誰だ?
君は答えられるか?
……ほら、答えられない」
私は少女に背を向け、扉へと向かう。
そこであることを思い出して扉の前で止まり、振り返る。
少女は涙目になり、私を睨みつける。
「忘れていたが、一つ訂正しておこう。
私の名前は高遠蓮、蘭は双子の姉の名だ」
その瞬間、少女は絶望と驚愕を混ぜたような表情になった。
end
高遠蓮
黒い髪に黒い瞳、綺麗系な美少女。
ゲームヒロインの双子(一卵性)の妹。
ゲームでは名前しか出てこない。
転生者でも憑依者でもない、原住民(?)。
冷静で淡々としてる。
高遠蘭
蓮の双子の姉。
実は転生者。
少女
転生者。
ヒロインが来る前にと生徒会を攻略し、逆ハーレムを築いた。
だが蓮が来たことで焦りが生まれ、取り返しのつかないことになる。