おにいちゃん猫を飼う
弟が、46番目の側室を召喚すると聞いても
俺にはなんの関係も興味もなかった
俺は毎日薬壺で、薬草を煮詰め効能を研究出来れば良い。そのために王位を弟に譲ったのだから
だからその日も、城下町で薬草を仕入れ
太陽光などで煮詰まり具合の誤差が出ないように暗幕で仕切られた昼間でも薄暗い自分の部屋に戻る
ぼっ、と小さなランプを点けたとき
俺は初めて気がついた
「………………」
部屋のすみには猫耳娘が丸くなって眠っていた
『お兄ちゃん、猫を飼う』
一応言っておくが俺の世界では極少数魔法使いなんてものが存在するが、基本的にこんな非現実的な生き物は存在しない
存在はしないが
『46番目の側室を召喚する』
召喚することは出来る
ああ、この子が新しい側室か
何で俺の部屋にいるんだと思うも、まぁある意味仕方がない
だって突然この世界に喚ばれて、側室になんて言われたら逃げたくもなるだろう
俺は彼女の近くにコトリと果物と水を置くと、そのままいつも通りかまどで薬壺を煮詰め出した…………────
それから、日も傾き始めた頃合いになりようやく作業から我に返り確認をすると
水も果物も無くなっていた。
そして猫耳娘は