残酷な君 ……… おくすり屋さん
「兄さん、頼んどいた傷薬出来てるか?」
ボロいドアを潜ると、明らかに数日は風呂に入ってなさそうな三つ上の兄さんがニヤリと笑った
俺たちは昔は風呂なんて贅沢は出来なかったからそれは別に気にならないが………
なんだこの山盛りの洗濯物は
軽く三山はある積まれた使用済みの服
「金はいらねーからよろしくな!!」
「……また彼女に逃げられたのか」
「うっせ」
はぁ、とため息をつくも
カイのためにちゃんと効果のあって毒を仕込まれてない薬を買えるのはここくらいだから
渋々と洗濯物を持って裏手に出る
別に洗濯はいい
洗濯は良いんだが──……
「やっぱりニーは口煩くねぇし、最高だな。もう俺の嫁になれよ」
「死んでも嫌だ」
「あはは、ニーもライムも連れねぇなぁ」
兄さん、薬と女関係は色んな意味で酷い
薬学はそれでも夢中になると返ってこないだけだから大丈夫だが………
「あー、やっぱ彼女いないとか無理だ。酒場でも行くかなぁ」
女関係はマジで最悪だ
カイと違い兄さんは完全に遊びだからたちが悪い
「いつか刺されんぞ」
「いーんじゃねぇの? ヤりたいことヤって死ぬんなら本望だし。お前もそうだろ?」
「兄さんのはたちがわりぃんだよ」
「お前だって十分タチがわりーとこに居んだろうが」