1.破天荒爺、電車に乗る。
奴隷要素、虐待要素有り。
多分ハーレム要素も有り。
ご都合主義・主人公チート&最強成分強め。
苦手な方はブラウザバックの後、見なかった事にする事を推奨致します。
3.15:修正。何話かわかりづらいので、今後タイトル前に話数をうつことにします。
「次は、終点~。終点~冥界閻魔庁前。冥界閻魔庁前~。皆様、お降り下さい。
なお、この電車は折り返しません。皆様お忘れ物なきよう、お降り下さい。」
ふと、目が覚めてぼんやりと顔を上げる。
すると目に映ったのは満員、というほどではないものの、椅子の埋まった電車だった。
寝ぼけた頭で何故この電車に乗ったのかを周防仁は考えてみる。
(冥界閻魔庁前、とか言ってたが…そんな名前の場所に行く用事なんてねぇよなぁ…)
なんとなく窓の外を見るが、どうやら地下鉄なのかトンネルの中のようだ。
つまらない景色にも誘われたのか、くわぁ…と小さなあくびをしながら伸びをする。
その際に隣にいた高校生くらいの少女の肩に触れてしまったので、小さく頭を下げてみる。
驚いたのか、隣の少女もビクッと身体を震わせながらも頭を下げ、震えた声で仁に問いかける。
「あ、あの…ちょっとよろしいですか?」
「ん?どうしたんだい、お嬢さん?」
なにやら落ち着かないのか、胸に手を当てて深呼吸をする少女をゆっくり待ってやる。
「わ、私…さっき、死んだはずなんですけど…お兄さんが助けてくれたんですか?」
「はぁ?…俺はそんなの知らねぇぞ?」
あまりにも突拍子のない言葉に仁の声も裏返った。
しかし、その会話で全ての今の出来事が理解できたのだ。
「あーそうか。随分ハイカラになってるからわからんかったが…そういうことか。」
「あ、あの…どういうことでしょうか?」
「さっき、アナウンスが冥界閻魔庁前、って言ってたろ?
つまり俺とかこの電車に乗ってるお嬢ちゃん達、皆死んだんだよ。
ほら、三途の川を渡る船の代わりだよ。」
「…え?」
あまりに突拍子のない発言だったせいだろうか。
少女の目は見開き、口も半開きになってしまっている。
仁は笑っちゃ悪いと口を閉じて反応を待つことにした。
「あぁ、じゃ…やっぱり死んだんですね。
そういえば、さっきも気づいたら駅の改札で切符買って、この電車に乗ったっけ…。」
「渡し賃の代わりだろうなぁ。
前に来たとき、最近人が死にすぎて昔ながらのやり方じゃ運びきれないから電車にしたって聞いたわ。」
仁は死んだせいか軽くぼやけた記憶を引っ張り出しながら言う。
すると電車はすーっと大した反動もなく、どこぞの巨大な駅のホームへと滑り込む。
駅のホームは何個もあり、何個もの列車から何百人という人が電車から降りて、幽鬼のようにぼんやりとした表情でフラフラと階段を上っていく。
「…皆、落ち着いてますね。」
「違うだろ、多分さっきの俺達みたいに、寝ているような状況になるようにされてるんじゃないか?
大抵のヤツは死んだって聞かされても納得しやしねぇだろうし。」
「そりゃまぁ…そうですよね。
ところで、前に来たって…どういうことです?」
「俗に言う臨死体験ってヤツだなぁ。若い頃に一度死に掛って、閻魔大王と御対面ってね。
さて、俺らも行こうか。」
事も無げに仁が言うとシートから立ち上がり、少女を促す。
他の客は他のホームの客と同様に、フラフラとした足取りで既に階段へと向かっている。
階段は優に百段はあり、それを見上げるだけで仁からはため息が漏れる。
(やれやれ、この年寄りにゃこの階段は辛いやねぇ。)
そんな事を考えながら階段を登りだすと、ふと自分の足とともに身体が目に入る。
それはどう見ても自分の若かりし日々の肉体だった。
(嬉しいサービスだね、こりゃ。
とはいえ、周りには俺に近い歳の人もいるって事は…前に死んだときのままなのかね?)
「ところでお嬢ちゃんは死ぬにゃ早いと思うが、何があったんだい?」
「その…今更かな…。イジメです。
そこそこの進学校の女子高だったんですけど…派閥みたいなのに睨まれちゃって。」
「うへぇ…最近の若い子は怖いねぇ。」
少女も軽くふぅふぅと息をつきながらも着いてくる。
無言で登り続けるのも悪くはないが、ふと気になったので問いかけてみた結果が陰惨な言葉だ。
聞くんじゃなかったかな、などと後悔をしてみるがここで区切っても気まずいのでさらに会話を続ける。
「で、そのイジメっ子に殺されたのかい?それとも自殺かな?」
「自殺、です。もう辛くて。
お腹の子供には悪いかな、とは思ったんですけど…誰の子供かもわからないし。
親にも、言え…ない、し…。」
ポツポツと語る内に少女の言葉に嗚咽が混じる。
表情に出すことはなかったが、仁の内心は気持ち悪いくらいの怒りが湧き起こっていた。
「…ヒデェ時代だよなぁ。
俺が若かった頃もそういう子はいたがよ、食うために仕方なく、って身体売ってる子だったよ。
今や遊び金欲しさに身体売って、挙句の果てにはイジメて無理矢理売らせんのかい。」
「…はい。多分…私、地獄に落ちるんでしょうね。」
「さてねぇ…酌量の余地はあるんだろうけどね。」
仁は実際にどういう流れで少女がそういうことになったのかは知らない。
しかし、掘り起こしたところで彼女も仁も幸せな気分になる事はないのは明白だったので何も言わなかった。
「金、金、金か。俺もそれが原因で死んだからね…どこでこの国はおかしくなったんだか。」
「お兄さんは、どうして?」
「俺は、お兄さんって歳じゃない。90越えてるからね。
知人のダーツバーで飲んで、楽しく投げてたら強盗がね。
どうも外国人だったようだが…まぁ撃たれておしまい、さ。」
「…どう見ても、20代にしか…。」
「多分だが、この歳くらいの時に一回死んだせいじゃないか?
蘇りはしたけどな。…ほら、見えてきた…どう見ても役所だけどな。」
軽く嘆きながらも、死んだ身にはどうにもならない事と割り切る。
実際どうしようもないことなのだからそうするしかない、と齢を重ねた経験で仁にはわかっている。
会話をしている間も足を緩めずに、流れに乗って登り続けたら大きな建物が見えた。
その建物はどう見てもただの鉄筋コンクリートの省庁や市役所、といった様相だった。
「ほんと、風情もへったくれもねぇな、おい。」
「地下鉄やホームって時点でもう風情とかないような…。」
二人で建物を見上げながら苦笑するしかなかった。
というわけで何度も投稿しつつ、最終投稿です。
誤字等あれば、また修正するかと。
転生するまで何話かかることやらw
…まぁまったりとやっていきたいと思います。