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水沢紫と七人の悪魔たち  作者: リノン
水沢紫の帰郷
5/22

第4話:悪魔

『初めまして』

「はぁ……こちらこそ、初めまして」

 目の前にいる七体の悪魔たち(?)は、皆三等身でだいたい身長が約十センチメートル。いえ、十五センチメートルぐらい?

 悪魔というからもう少しごつい格好をしていると思ったけれど、人間らしくない姿というのがこういうことになるとは。さっき見た本の通りであれば、どうやら私は素質がなかったようです。

 しかも服はジャストサイズ。ちゃっかり背中には小さな翼が生えてるし。あ、尻尾もあった。

「ほれ、せっかく契約したんだ。挨拶ぐらいしたらどうなんだ」

 このおじいさん、相変わらず無茶を言ってくれますね。

「は、初めまして。私、水沢紫って言います」

 悪魔たちにお辞儀をすると、あちらさんも律儀にお辞儀を返してくれました。

『それではこちらも自己紹介を』

『じゃあ私から』

『ボクから』

『だったら俺が』

『『どうぞどうぞ』』

「待って下さい。そんないっぺんに言われても困ります」

『では貴方から向かって左から自己紹介をば』

「ならそれでお願いします」

 幸いなことにそれぞれ見た目が違いますし、特徴さえ覚えれば区別は出来そうです。

『ではまずウチから。ウチは嫉妬です』

 一番左の悪魔が一歩前に出て自己紹介。何故海賊の帽子をかぶっているのでしょうか?

『アタシは色欲よ』

 ああ。こちらはすぐに予想がつきました。……ビキニだし。『怠惰ッス』

 こちらもパジャマ姿なのですぐにわかりました。

『俺は憤怒だぞ』

 スーツ姿が似合う彼はどうやら憤怒のご様子。課長か何かでしょうか。

『ボクは傲慢だよ~』

 こちらは眩しい金髪が存在感をアピールしています。

『私は暴食。よろしくね♪』

 アホ毛が似合うこのお方。暴食なのに太っていないのはどうしてでしょう。

『オイラは強欲。よろしく』

 ……手に小さな万札みたいなのが見えますが、あれ偽物ですよね?

「何はともあれ、これからよろしくお願いします」

『『『あいさー』』』

 全員どこかへ消えていってしまいました。

「どうやら掴みはばっちりのようだな」

 椅子に座っていたおじいさんがこちらへやってきました。というか今のでばっちりだったんですか?

「そういえば、悪魔たちはいつでも喚び出せるみたいですけど、何かやり方とか呪文とかはあるんですか?」

「いや、頭の中で念じれば喚び出したい悪魔が出てくる」

 ということなので、早速喚び出してみましょう。えぇっと……。

『そうそう。忘れてた』

「わ!」

 喚ぼうとする前にあちらからやってきました。この方は確か。

「色欲さんでしたよね」

『ピンポーン。はいこれ』

「あ、どうも」

 色欲さんが渡してきたのは、何かが書かれている紙。どれどれ。



 傲慢:★★

 嫉妬:★★★

 怠惰:★★★★★

 色欲:★★

 暴食:★

 憤怒:★★

 強欲:★★★



「あの、一体何ですかこれ」

『あなたのステータス』

 え? ステータス? 私の?

 渡した当人に尋ねようにも、彼女は既に消えたご様子。

「そういえば言い忘れていたな。契約の際に自分の性格について診断されるんだ」

「それがこの七つの大罪ですか?」

「ああ。五つ星の評価をされるんだが、なるほどこうなったか」

「私はとことん怠惰な人間であるとみなされたわけですか」

「当然だろう。火を見るよりも明らかなことだ」

「失礼なおじいさんですね」

 私はただ、身に余る苦労をしたくないだけだというのに。

「これで契約は完了した。他に聞きたいことはあるか?」

「いいえ。今はありません」

 帰郷の長旅やら契約やらで、今日はもうヘトヘトです。温かいベッドで眠ることにしましょう。

「紫」

「なんですか」

 ドアを開けて部屋を出たところで、おじいさんに呼び止められました。

「よくがんばった。今日はゆっくり休みなさい」

「……もとよりそのつもりです」

 後ろ手にドアを閉めて寝室へと向かうことにしましょう。

 昔は褒められたことなんてあまりなかったのですが、珍しいこともあったものですね。

「ふぁ……もう限界……」

 昔懐かしの寝室に到着し、いの一番でベッドに潜り込みます。するとすぐに瞼が落ち、意識はまどろみの中へ沈んでいきました。

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