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海の家 SS 835文字

作者: 現世神無


 燦燦さんさんと照りつける太陽、引き込まれるような雲ひとつ無い蒼い空。初夏が過ぎ、夏真っ盛りな八月。僕が一番嫌いな季節が又今年もやってきた。

 ここは○○県××市の港付近に存在しているビーチで、カップル客やナンパ目的の青年、家族連れなどが多々いる中、はっきりと自分達だけが異質だと理解できる。

 恋愛? 相手がいないし、いたらこんなところには来ない。

 ナンパ? なんだかんだ言って性に合わない。

 家族で来る? 両親とも仕事で忙しいから無理。

 という、とりとめの無いいろいろとした思考を、香ばしいソースの匂いと潮風の匂いが僕を刺激し、無意識になっていた動作から僕を開放した。

 これはマズイ、と一瞬で思考復活、丸い窪みのある鉄板に流し込まれた炭水化物の海に蛸足が浮かんでいるものをひっくり返す。

 3……2……1……よし、出来た。

 船を用意し、そこに出来たものを八つ乗せ、青海苔とソースをかける。


「焼きそば一丁上がり!!」

 店長の威勢の良い声が響く、どうやら向こうもできたみたいだ。

 それを聞いて、出来上がった焼きそばをいそいそと取りに来る女の子。艶やかな黒髪を三つ編みに纏めて、まん丸めがねを掛けた可愛い感じの娘、(かえで)ちゃん。

 彼女について語るのは又今度の機会にしようか。

「ユウ君、たこ焼はまだなのかい?」

 いつの間にかリーダー格になって、僕達を纏め上げていた人。茶髪の忍先輩。

 彼についても同様。今度にしよう。

 そして、かったるい夏を少しでも役に立てよう、なら夏の間に一財産築こうと思っている僕。祐一。

 僕に関しては語ることは無い。恥ずかしいしね。

 全員が同じデザインのつなぎを着て、店長と僕は手を、そして楓ちゃんと先輩は足を動かす。僕達の動きは他と比べて洗練されている(という自負があり)、僕達はこの界隈の中では常勝無敗の猛者である(と勝手に考えている)



 何故なら僕達は……


 何処よりも『味』を意識し


 何処よりも的確な『量』を提供し


 何処よりも『儲け』に貪欲であれ


 という三カ条を意識する海の家の店員だからだ。

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