Case2 SNS炎上 ④完
【女神様パート/鉄平視点】
「はい、お疲れ様ー」
背後から、やたら軽い声が降ってきた。
さっきまで夏祭りの喧騒の中にいたはずなのに、
気づけば景色が白くぼやけている。
ああ、来たな。
反省会だ。
振り向くと、いつもの女神様が腕を組んで立っていた。
神々しいオーラ。
神話に出てきそうな衣装。
なのに近所の愉快なお姉さんみたいな雰囲気。
「今回はねー、ちょっとダークヒーロー感あったわよ?」
満足そうに頷きながら、俺の背中をポンと叩こうとして――
すっ。
手が、通り抜けた。
沈黙。
女神様、固まる。
「……え?」
もう一度。
すっ。
すり抜ける。
「……え???」
自分の手を見つめる女神。
ちょっとショックを受けた顔。
「いやまあ私は高次元存在だからね?
君たちの神様よりさらに上位存在ってやつで?」
早口になる。
「本来いろいろ出来るんだけど、この観測領域では直接干渉制限があってね!?決して触れないわけじゃ――」
言い訳が長い。
「……で?」
俺が促すと、咳払い。
コホン。
女神モード復帰。
「愚痴はここまでとして」
じっと俺を見る。
目が細くなる。
「アカウント二十個はやり過ぎよ」
間。
「スパイ?公安?一人国家機関?」
女神様は胸の前で腕を組み、露骨に身体をのけぞらせる。
神様にドン引きされていた。
「いやぁ……人格分裂するかと思いましたよ」
乾いた笑いが出る。
ははは。
沈黙。
女神様、無表情。
「……ははは、じゃないわよ」
圧が来た。
空間の温度が二度くらい下がる。
「いい?今回の件で正式に制定します」
指を突きつけられる。
どこからともなく現れる光のボード。
そこに文字が浮かぶ。
⸻
【禁じ手リスト】
・SNS大量アカウントによる情報操作 ←NEW!
⸻
「これ破ったら?」
にっこり笑う。
「即消滅ね」
「即消滅!!?」
思わず背筋が伸びた。
「気を付けます!!」
反射的敬礼。
女神様は満足そうに頷いた。
「まったくもう……」
ため息。
でも、その表情は少しだけ柔らかい。
「恋愛請負人なのに、裏で世界線ハックみたいなことするんだから」
ぼそっと呟く。
そして小さく笑った。
「……でも」
少し視線を逸らして。
「今回は、まあ……合格」
その声は、やけに優しかった。
⸻
※なお今回、鉄平が行った行動は
社会的にかなりアウト寄りです。
良い子のみんなは絶対真似しないでね。
女神様との約束だぞ。




