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恋愛請負人・鉄平  作者: 強炭酸
Case2 主人公 朝陽

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5/26

Case2 SNS炎上 ②

【鉄平暗躍パート/鉄平視点】


俺は鉄平。


朝陽の友人だ。


そして――

今回の件では、たぶん一番冷静な人間。


朝陽の幼なじみ、真宵。


無実なのに、SNSで燃えていた。


炎上ってやつは、不思議だ。


怒りも正義も最初は存在しない。

ただの「違和感」から始まる。


だから俺は、感情じゃなく――

ログを追った。


指先で画面を滑らせる。


スクロール。


スクロール。


拡散された投稿。

切り取られた画像。

匿名の断定。


そして、行き着いた。


最初の火種。



――――――――――

 2組のM(真宵)、街でオジさんと一緒にいるの見たんだけど、  なんか怪しくない? 友達とか?

  暁美

       15:45 既読 5人

――――――――――


たった五人。


炎上の始まりは、いつもこんなものだ。


静かすぎて、笑えるくらい小さい。


名前登録制SNS。


つまり――

「嘘をつくつもりじゃなかった」投稿。


スクショ。

名前を隠す。

匿名へ流れる。


それだけで、真実は形を変える。


ちなみに真宵は。


傘を忘れた父親と歩いていただけだ。


それだけ。


……それだけで、人は壊れる。



教室の隅。


暁美は俯いていた。


目の下に影がある。


炎上しているのは真宵なのに、

彼女の方が罰を受けている顔だった。


「……お父さんだろうなって思ってた」


声が震える。


「でも……朝陽くんと仲良かったから」


沈黙。


「嫉妬してて」


空気が止まる。


次の瞬間。


「……だとしてもどうするんだよ!!」


朝陽の声が弾けた。


怒りというより、悲鳴だった。


俺は腕を伸ばして止める。


「そこまでだ」


感情は燃料になる。


今、必要なのは水だ。



「SNS炎上を止める一番の方法は――待つこと」


噂は飽きられる。


熱は冷める。


時間が全部奪っていく。


……でも。


俺は画面を閉じた。


「人は違うと思う」


二人を見る。


「傷ついたやつは、その時間を耐えられない」


一日。


たった一日でも。


地獄になる。


だから。

一日でも早く助け出したい。


息を吸う。


「やるぞ」


少しだけ笑った。


「SNS消火作戦だ」


暁美が顔を上げた。


「……私もやらせて」


涙を拭きながら。


「止めたい」


その声は、逃げじゃなかった。


責任だった。


「OK」


俺は立ち上がる。


「ウチ来い。作戦会議だ」



部屋の電気をつける。


白い光。


机の上。


ずらりと並んだスマホ。


二十台。


静かに光っている。


鉄平

「全部、別々のHN登録SNSのアカウントがある。アカウントごとに性格が違うから、今までの履歴から矛盾しないように投稿してくれ。」 


朝陽が固まる。


暁美も言葉を失う。


「……え、今からこういうの揃えるんじゃなくて、もうそろってるの?」

暁美が念のため尋ねる。


鉄平

「こんな事もあるかと思って備えてたんだ。」

なんだったら、前回の春秋のときも裏で準備してた。


恋愛も、炎上も。


起きてから動いたら遅い。


「でも今日は動かない」


朝陽が眉をひそめる。


「は?」


「バズ待ち」


窓の外では夕焼けが沈みかけていた。


SNSは流れだ。


逆らえない。


なら――乗る。


「大きな話題が来た瞬間に流れを変える」


真宵が息を呑む。


「……上書きするの?」


「そう」


外側から話題を動かす。


内側の停滞を崩す。


学校SNSは閉じた水槽だ。


話題が腐ると、人を食い始める。


だから。


俺は手を前に差し出した。


「この、腐った停滞に風穴開けるぞ」


一瞬の沈黙。


そして。


「応!!」


三人の手が重なる。


体温が伝わる。


スマホの冷たい光とは違う、


ちゃんと生きている温度だった。

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