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恋愛請負人・鉄平  作者: 強炭酸
Case5 主人公 晶

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23/25

Case5 マッチングアプリ&コスメ⑥完


【女神様パート/鉄平視点】


白い空間に足を踏み入れた瞬間。


――ページをめくる音が聞こえた。


ぺらり。


ぺらり。


妙に真剣な沈黙。


視線を向けると、女神様がソファに腰掛け、分厚い写真集を膝の上に広げていた。


男性モデルの写真集だ。


しかも筋肉特集。


「うーん……」


真剣な顔で唸っている。


「イケメンが筋肉あっても、『はいそうですね』なのよねぇ……」


ページをめくる指先がやけに真剣だ。


「完成されすぎてるのよ。意外性がないの。ギャップが足りないというか……」


ふむ、と頷く。


そして。


俺の知らない角度から撮られた――


俺の写真を取り出した。


……待て。


「やはりフツメンからの筋肉こそ至高であって……」


見比べる。


写真集。


俺。


写真集。


俺。


「……鉄平、やはり逸材」


挿絵(By みてみん)


なに評価されてるの俺。


声をかけるべきか迷う。


というか、話しかけづらい。


「あの……女神様?」


次の瞬間。


シュバッ!!


音がした気がした。


写真集も俺の写真も、超高速で消えた。


「はい、お疲れ様ー!」


満面の笑み。


いつもの近所のお姉さんモード。


……今の見なかったことにしろ、という

神からの無言の圧を感じる。


俺は察した。


触れてはいけない領域だ。



女神様は腕を組み、満足そうに頷く。


「今回は女の子側をプロデュース、ね」


少し誇らしげな目。


「魔法使い役、板についてきたじゃない」


「いや、まだ全然です。メイクのことなんて全く覚えられなくて……結局、人に頼りましたし」


すると女神様は、ふっと柔らかく笑った。


「それでいいのよ」


声の温度が少し下がる。


神としての声音。


「全部自分で出来なきゃいけないなんてことはないわ」


ゆっくりと指を立てる。


「出来ないなら、出来る人を頼る。その道を示せた時点で――合格」


胸の奥に、すとんと落ちる言葉だった。


だが。


女神様の表情が、急に引き締まる。


「……ただし」


空間に光が走る。


文字が浮かび上がった。



【禁じ手リスト】


・SNS大量アカウントによる情報操作

・筋肉で誘惑

(※ただし女神様が見たいと言った場合は例外)

・マッチングアプリや合コンでの「運命の可視化」乱用 ←NEW!!



「これはね」


女神様は額を押さえ、ため息をつく。


「強すぎるのよ」


本気の顔だった。


「力を与えた私にも責任があるから、多くは言わないけど……これは封印」


確かに。


宗教もマルチも完全回避。


恋愛事故ゼロ。


「最強の組み合わせですね」


「でしょう?」


ちょっと誇らしげに胸を張る。


……いや作ったのあなたですけど。


女神様はぱん、と手を叩いた。


「さあ、気を取り直して次行きましょうか!」


空気が軽くなる。


いつものテンポ。


――だが。


このとき。


俺はまだ気づいていなかった。


『運命の可視化』


この力を巡って。


次の試練が――


俺の心を、大きく抉ることになるなんて。


女神様が指を鳴らす。


満面の笑み。


「次回!!」


妙に楽しそうに宣言する。


「『失恋編』!!鉄平死す!!」


「勝手に殺さないでください!!」


白い空間に、俺のツッコミが虚しく響いた。


 

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