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恋愛請負人・鉄平  作者: 強炭酸
Case5 主人公 晶

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18/24

Case5 マッチングアプリ&コスメ①


【鉄平暗躍パート/鉄平視点】


季節は五月。

春の柔らかさが抜けきり、少しだけ夏の気配が混じり始めた初夏。


大学構内には、新歓の喧騒が嘘みたいに落ち着きが戻っていた。

芝生の青は濃くなり、開け放たれた学食の窓から、生ぬるい風と揚げ物の匂いが流れ込んでくる。


俺は鉄平。

……いきなりだが、今回は初手から暗躍パートだ。

正直、自覚はある。こういう立ち位置が板についてきた気もする。


挿絵(By みてみん)


今回の主人公は――あきら

俺の友人で、同じ大学一年生。


昼休みの学食。

トレーの上の唐揚げ定食を箸で突きながら、晶が深いため息を落とした。


「どこかに良い出会いは無いものかなぁ……」


その声には、軽口に見せかけた本気の疲労が混じっていた。


「お前さ、見た目も悪くないし、人当たりもいいじゃん。普通にしてりゃ彼女できそうだけどな」


俺がそう返すと、晶は苦笑いを浮かべる。


「……いやさ。四月の新歓で出会った子がさ」


一拍。


「宗教やってて」


箸が止まった。


「必死で縁切って来たのよ」


……ああ。なるほど。


周囲のざわめきが遠のく。

新入生特有の浮ついた空気の裏側で、そういう事故は確かに起きる。


「……おおう。それは災難だな」


晶は笑っていたが、その目は少し警戒していた。

出会いそのものに、ブレーキがかかっている顔だ。


――傷ついた経験は、人を慎重にする。


だが。


俺には、それを越える手札がある。


胸の奥で静かに意識する。


『運命の可視化』


縁のある者。

縁のない者。

近づけば破滅する関係。


それらが、俺には分かる。


「なあ」


俺はジュースのストローを回しながら言った。


「もうちょっと頑張ってみないか。マッチングアプリとか」


晶が即座に顔をしかめる。


「……ええ?また宗教とかマルチ引かされそうじゃん?」


当然の反応だ。


だから俺は、少しだけ笑った。


「ふふふ」


わざと含みを持たせる。


「俺にはそいつらを見破る眼力があるんだよ」


晶の眉が跳ねる。


「マジ?」


――マジだ。


運命の可視化は、単なる勘じゃない。

ご縁のない相手。

危険な接続。

未来が破綻するルート。


それらは最初から弾かれる。


「俺が遠隔で指示出す」


スマホを軽く叩く。


「宗教かマルチっぽかったら、店入る前に理由つけて逃げろ」


晶は数秒黙り込み――


やがて、小さく笑った。


「……なんか、お前といるといける気してくるな」


その言葉を聞きながら、俺は内心で頷く。


そうだ。


これは恋愛指南じゃない。


事故を回避し、本来進むべき運命へ戻す作業。


背中を押すだけの、ほんの少しの調整。


こうして。


俺の遠隔支援による――

マッチングアプリ作戦が、静かに開始された。


初夏の風が吹き込み、

テーブルの紙ナプキンがかすかに揺れた。


誰も気づかない。

 

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― 新着の感想 ―
拝読させていただきました。 命を懸ける設定は良かったです。文章も読みやすいです。 ただ、攻略パートの感情のやり取りが浅い感じがします。 女の子の汚い部分を見せない物語にするのであれば 男の子に見せ場を…
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