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恋愛請負人・鉄平  作者: 強炭酸
Case4 主人公 雄大

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17/25

Case4 ダイエット⑤ 完

【女神様パート/鉄平視点】


白い空間に、軽やかな音が弾んでいた。


ぽん。


「ほっ!」


ふわり。


「はっ!」


ソフトバレーボールが宙を舞う。


神の領域とは思えないほど、平和な光景だった。


「お疲れ様ー、鉄平。はいパース!」


女神様が満面の笑みでボールを投げてくる。


「おっと!」


反射的に片手レシーブ。

少し体勢を崩しながらもトスで返す。


……まあ遊びだし、二回触ってもセーフでしょう。


ボールがゆっくり弧を描く。


白い空間に、ぽん、ぽん、と軽い音だけが響く。


「なんかねー、人間たちがスポーツしてるの見てたら身体動かしたくなっちゃって」


神様にもそういう衝動あるんだ。


「女神様もスポーツやるんですか?」


「はっ……たまにね!」


軽くジャンプしてトス。


髪がふわっと揺れる。


「人の姿借りて混ざったりするわよ。認識とかちょっと誤魔化して」


さらっと恐ろしいことを言う。


「それ絶対クラスに一人いる“誰だっけこの人”枠ですよね」


「便利なのよ、あれ」


神、楽しそうである。


ぽん。


ボールを打ち返したところで――


「……ふう」


鉄平は汗を拭き、上着を脱いだ。


タンクトップ姿になる。


その瞬間。


視線。


めちゃくちゃ視線を感じる。


……いや。


ガン見されている。


しかも。


カシャ。


カシャカシャ。


「……今シャッター音しませんでした?」


女神様はそっぽを向いた。


「あの、鉄平」


声が妙に落ち着かない。


「いま体脂肪率いくつ?」


「一桁いきましたよ。ダイエット一緒にしてたら結構絞れて」


「そ、そう……」


視線が泳ぐ。


頬がほんのり赤い。


「あの……ちょっと腕、見せて?」


「? はい」


何気なく腕を上げる。


浮き出る血管。

締まった筋肉のライン。


その瞬間――


女神様、硬直。


(これは……)


(えっちすぎる!!)


挿絵(By みてみん)




ぶんぶん首を振って目を逸らす。


「一旦上着着なさい!!」


次の瞬間。


鉄平の身体が、すぅ……と半透明になる。


「うわぁ!?消えてる!!」


「消えてない!ちょっと透明になっただけ!!」


完全に動揺しているのは女神様の方だった。


深呼吸。


咳払い。


そして厳かに宣言。


「禁じ手リストを追加します」


空間に文字が浮かぶ。



【禁じ手リスト】


・SNS大量アカウントによる情報操作

・筋肉で誘惑

(※ただし女神様が見たいと言った場合は例外)←NEW!!



「どういう事ですか!?」


当然の疑問。


女神様は腕を組み、真顔で言った。


「筋肉フェチの私に筋肉を見せつけるのは拷問に等しいの」


神、完全に私情。


(……もっと見たいけど……でも私が保たないかも……)


(ていうかなんで触れないのよぉ……)


高次元存在、物理干渉不可。


最大の欠点である。


「そんなあ……」


鉄平、過去一理不尽なルール追加を受ける。



しばらくして。


女神様はふと首を傾げた。


「そういえば今回、暗躍してないわね?」


ボールを軽くトスしながら聞く。


鉄平は受け取り、少し考えて答えた。


「理由はあります」


ぽん。


静かな往復。


「ダイエットって、一番必要なのは知識じゃないと思うんです」


「ほう?」


「真横で、同じ痛みを共有できる仲間です」


女神様の動きが止まる。


「ダイエットって、自分との戦いなんですよ」


「孤独で、逃げたくなる」


「なんで自分だけこんな思いしてるんだって」


少し笑う。


「でも、横を見ると同じように頑張ってるやつがいる」


「それだけで前に進める」


「だから俺は――強化魔法バフをかけたかったんです」


前回学んだこと。


ファッションも。


SNSも。


全部同じ。


「苦しいだけじゃ続かない。だから楽しさで塗り替える」


女神様は黙って聞いていた。


腕を組み。


ゆっくり頷く。


そして――


目が少し潤んでいる。


「……満点よ、鉄平」


小さく笑う。


「なにより暗躍してないのが良いわ」


やっぱりそこ重要らしい。

暗躍=マイナス要素かぁ…


女神様は空中に座り込み、次のページをめくるように指を動かした。


「さて……次は」


少し楽しそうに。


「大学生編ね」


いたずらっぽく微笑む。


「少し大人な恋になるわよ?」


そして――


「頑張ってらっしゃい」


その声は、神の宣告というより。


どこか。


応援してくれる、近所のお姉さんみたいだった。

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