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恋愛請負人・鉄平  作者: 強炭酸
Case4 主人公 雄大

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Case4 ダイエット②

【鉄平共闘パート(暗躍無し)/鉄平視点】


俺は鉄平。


スマホ越しに届いた雄大からのメッセージは、短かった。


――変わりたい。


それだけだった。


だけど、その一行に詰まっているものが何なのかは、なんとなく分かった。


焦り。

劣等感。

期待。

そして、最後に残った勇気。


だから俺は即座に返信した。


「OK。作戦会議な」



雄大の部屋は、どこにでもある高校生男子の部屋だった。


ゲーム機。

漫画。

開けっぱなしのお菓子袋。


けれど、机の上に置かれた一枚の写真が目に留まる。


家族写真だった。


両親と並ぶ、少し幼い頃の雄大。


――あれ?


思わず写真を手に取る。


父親は整った輪郭。

母親も柔らかく上品な顔立ち。


(……なるほど)


遺伝子的なポテンシャルは、かなり高い。


今は脂肪に隠れているだけだ。


つまり。


痩せれば、変わる。


見違えるほどに。


前回の出来事が、頭をよぎる。


ファッション。


外見を整えることは、ただの見た目の問題じゃなかった。


あれは――

自信と勇気を底上げする強化魔法バフ


俺は、それを目の前で見た。


成功例も。

変化の瞬間も。


だから今回は。


ダイエット回。


今度は、俺が魔法を掛ける番だ。



テーブルを挟んで向かい合う。


雄大は少し緊張した顔で座っていた。


俺はできるだけ軽い口調で切り出す。


「まずさ。ダイエットに必要なのって、めちゃくちゃシンプルなんだ」


雄大が身を乗り出す。


「食生活の改善と、適度な運動」


拍子抜けしたような顔。


でも、ここがスタートラインだ。


「ざっくりでいい。一日の食事、思い出せる範囲で書き出してみて」


ペンが走る音。


カリカリ、と紙を擦る音が部屋に響く。


少しして、メモを覗き込む。


「……なるほど」


カレー。

ラーメン。

唐揚げ。

揚げ物。


いかにも男子高校生メニューだ。


「これね、全部“脂質”が高い料理なんだ」


雄大の顔がゆっくり曇る。


「ええ……それは寂しいな」


分かる。


好きなものを否定される感覚は、きつい。


だから俺は首を振った。


「違う違う。禁止じゃない」


「置き換えるんだよ」


「置き換え?」


目が少し戻る。


ここが大事だ。


「例えば、ラーメンをスープ春雨にする」


「唐揚げを焼き鳥にする」


雄大が瞬きを繰り返す。


「食感とか満足感は似てる。でも脂質は全然違う」


我慢じゃない。


選択を変えるだけ。


「あと、魚な。特にサバ」


「EPAとかDHAって聞いたことあるだろ?脂肪燃焼をサポートしてくれる」


「ただし食べ過ぎは逆効果。脂質だからな。適量」


雄大が真剣な顔でメモを取る。


カリカリ、と音が続く。


「魚と鶏肉を交互にローテーション。野菜も必須」


「主食はパンとか麺より、ご飯」


「パンって意外と脂質多いんだよ。ご飯は腹持ちいいしコントロールしやすい」


「ほうほう……」


さっきまで不安そうだった顔が、少しずつ前向きになる。


理解できると、人は動ける。


そして――


俺は切り札を出した。


「あと、チートデイ方式」


雄大の手が止まる。


「チートデイ?」


「週一で好きなもの食べていい日」


「……有りなのそれ?」


思わず笑う。


「有り有り。これないと人間続かない」


「一日食べても、残り六日整えれば帳尻は合う」


沈んでいた目に、光が戻る。


「じゃあ……毎週金曜にカレーとかラーメン食べていいってこと?」


「そういうこと」


雄大の肩の力が抜けた。


「……なんか、やれる気がしてきた」


その言葉を聞いて、俺も少し安心する。


そして。


最後に、もう一つ。


「あとさ」


雄大が顔を上げる。


「俺も同じメニューで食う」


「え?」


「雄大だけ頑張ってて、俺が普通に食ってたら説得力ないだろ」


一瞬。


沈黙。


雄大の目が揺れる。


「……鉄平」


小さな声。


「ありがとう」


その言葉を聞いた瞬間、確信する。


ダイエットってのは――

知識でも、根性でもない。


一人じゃないと思えるかどうかだ。


魔法は、もう掛かり始めていた。

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