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第一話 こいつのせいで俺は死んで…ッ!!

前回までのあらすじ


~俺の名前は山田優斗。平凡な25歳を迎えたアラサーリーマンになる。はずだった…。赤信号なのに飛び出していった子犬をトラックからかばって死んでしまった。.....じゃねぇよっ!リードが付いてたってことは飼い犬のはずだ。誰だよっ!リード離したバカ飼い主は…。見つけたらただじゃおかねぇ。一発お見舞いしてやらねぇと気が済まねぇ。男だろうと女だろうとなぁっ!!

目が覚めると、そこは草原の上だった。澄み切った空。心地よい風。…なんで俺、草原の上で寝そべってるんだろう?ここはどこ?そもそも俺誰だっけ?まぁいい。それらの疑問がちっぽけに思えるほどに素晴らしいロケーションにいるのだから。澄み切った空。心地よい風。目の前に広がる 熊の顔ぉ......?

熊ぁ......くまぁ......まぁ......ぁ......


「ギャァァァァァァァァァァ!!」

――山田はめっちゃビックリした―――

「グラァァァァァァァァァァ!!」

――熊もめっちゃビックリした―――

「グラァ!」

――すかさず、熊が山田に平手打ち!山田の顔面にクリーンヒットォ!山田は数メートル吹き飛ばされた―――

「痛っ!?夢じゃないのか…!?」

――間髪入れずに熊が山田に目掛けて突進しようとこちらに走ってくる―――

今の一撃で体が思うように動かない。どうすれば…

「そこまでだ。私の客人にこれ以上の乱暴は謹んでもらおうか。」

後ろから声がしたと思ったら突如、光が辺りを包み込んでっっっ!




しばらくして、目を開けるとさっきまでの色鮮やかな世界が嘘だったかのように草原も森林も青空も全て灰色に染められていた。いや染められているというより、むしろ世界から色が抜け落ちているような…

「お、ようやく目を開いてくれた。」後ろから声がした。振り向くとベージュの着物にブラウンの羽織、

黒の足袋に白を基調とした草履、灰色のボーラーハットを被ったボサボサの白髪をした顔立ちがいい青年が立ってこちらを見下ろしていた。

「うぉわっ?!」俺は驚いておもわず後ずさりした。

「ははは、申し訳ない。驚かせるつもりはなかったのだよ。ほらっ、立てるかい?」

そういうと少しかがんで、手を差し伸べてくれた。その男は意外にも紳士だった。

「あぁ、っしょとぉ。ありがとう。…なぁここはどこなんだ?あれはなんなんだ?そもそもあんた一体誰なんだ!?俺はなんでこんなところに…ッゴホッゴホッ!!」

「まぁまぁ落ち着いて。さっきの攻撃で体力がごっそり削られたようだからね。回復させながら一つずつ教えることにしよう。」

――そういうと男は山田を指パッチンで召喚したソファに座らせ自身も横に座り手を握って回復させながら山田の疑問への答えを話し始めた―――




「君の質問について一つずつ答えていくこととしよう。まずここはどこだ?というずいぶんアバウトな質問だったかな。()()()()のことは追々教えることにして、とりあえず()()()()について説明しておこう。この空間は所有者、そして所有者の一存で招き入れた他人以外は一切干渉出来ない。そしてあそこでとびかかろうとして私の高貴なる光によってのけぞっている獣はただの熊ではない。マッドベアーといって闇の瘴気にあてられた熊がああいう姿になる。この世界だと普段は主に夜が奴らの動きが活発になる時間帯のはず…やはりなにか狂い始めて…あぁ、すまない。こちらの話だ。気にしないでくれ。そんなことより君の質問を片付けよう。そんな猛獣マッドベアーがどうしてあんな間抜けな姿でいるのか。それはこの空間を広げた時点でこの空間以外の空間範囲内の時間が止まっているからさっ」

「時間が…止まっている…?」少しずつ声が出せるようになってきた。

「そう。止まっている。もちろん私の一存で。なぜそんなことができるかってぇ~~?そっ、れっ、はぁ~っ、この私こそが全ての時を司る、時の神クロノス様だからさ~~!!どうだ~いっ!すごいだろ~!っ君も恐れおののきひれふs…えぇ......めっちゃスンとしてる......なんで?」

そりゃそうだろ。たった今までフィクションの中でしか見たことのなかった魔獣という生き物に襲われていたのだから、その窮地から救い出してくれたのが神様だったとしてもおかしくはない。そんなんでいちいち驚いてたら心臓がいくつあってもたりない。なにしろ......こんな顔立ちのいいヤツが同じ人間だったとしたら絶望して当分引きこもる自信がある。





「それで?なんで俺はこんなところにいるんですか?」

一応神だと知ってしまったからな。タメ口だと不敬に思われかねないから敬語にしないと。

「急に改まっちゃってぇ~どうしたぁ、どうしたぁ?まぁいいや。君ぃ、この世界に来る前の現世での最後の記憶ある?」

確か…クソ部長の送別会終わり、人の良すぎる先輩と別れた後、赤信号なのに飛び出していった子犬をかばって......子犬......ハッ!!

「あの子犬っ、あの子犬は無事ですかッ!?」思わず立ち上がって聞いてしまった。

「今思い出したわりにはずいぶんと必死に聞くんだねぇ。そんなに気になるのかい?」

クロノス神も立ち上がり俺の目の前に立った。思わず固唾をのんで身構えてしまった。

「ふっ、......大丈夫さ。ピンピンしているよ。君のおかげでね。改めて礼をさせてくr」

ドサッ

「!?大丈夫かい?まだ傷は癒えきってなかったか、すぐn」

「......良かった......よかったぁ......いなくなってたから…なにかあったのかと......」ソファに膝から崩れ落ち思わず泣いてしまった。口に出しては言わなかったがこの時、誕生日を誰かに祝ってほしかったが為に見てしまった幻覚だという可能性も頭をよぎっていた。でも何より、子犬の無事を聞けて安心したことがうれしかった。

「俺ェ、今までの人生でめちゃくちゃ不幸だったわけでもなくて…でもめちゃくちゃ幸福だったわけでもなくて…ただ平凡で退屈な人生だったんですけど…その命で最期くらい誰かの大切な何かを守れたなら本望だなぁって…つい......みっともないとこ見せちゃいましたね。」

「いいや、そんなことないさ。一人で抱えきれる量にも限界はある。抱えきれないものは誰かに押し付けちゃえばいいのさ。例え、一方的になってしまったとしても。.....それに!!私の愛犬を守ることができたという栄誉を手にすることができたんだ!これ以上の勲章も称号もあるまい!」

「はい、ありがとうございま.....愛犬?」

「そうなんだよ!君が助けてくれたあの子犬は我が愛犬のケンちゃんなのだよ~。いや実はね、今までは天界をお散歩させてたのだけども、さすがにケンちゃんも飽きたみたいで仕方なく最近現世の道をお散歩させることにしたんだ。いや~しかし、あの日は流石に肝が冷えたよ。気付いたらリードが手から離れてケンちゃんが遠くに駆けてゆくもの。もしあのまま轢かれて、妻のげきr…いやいやケンちゃんに恨まれでもしたらどうしようかと.....」

――山田は考えるのをやめた――

「ん?どうした、私の愛犬の恩じnッ!?ど、どうしたんだい?すっ、すっごい顔して.....」

――理性という糸が切れ考えるのをやめた山田は――

「なっ、なんで何も言わずに胸ぐら掴むのっ!?ねぇ、なんか言ってってぇっ!」

「…とんど…んぶ…」

「え?今なんかいっt」

「ッ!!ほとんど全部テメェのせいじゃねぇかぁァァァァッ!!!」

――そう叫びながら時の神クロノスに頭突きを食らわせた――

次回更新は4月29日を予定しております

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