プロローグ 誕生日にこんなひどい仕打ちってないよ!?
はじめまして。いいのが思いついたので書いてみました。初めてなので拙い部分が多々ありますでしょうが、どうぞ暖かく見守って頂ければ幸いです。
俺の名前は山田優斗。3月15日生まれのうお座。O型。次の誕生日が来たら25歳。20代の折り返し地点に突入するわけだ。いままでパッとしない人生だった分今度こそ周りを見返してやる!!つもりだった…どうしてつもりだったって?そりゃ、
―――今日が俺の誕生日であると同時に俺の命日になったからさ。――――
俺は昔から平凡だった。学生の頃だってそうだ。特別成績が良かった訳でもなければ、特別運動神経が良かった訳でもない。特別人望が厚かったこともないし、特別モテたこともなかった。ただ勘違いなきようにいっておくが、だからといって友達がいなかった訳では決してない。断じて。間違いなく。友達はいた。はず。いろいろと引っかかってることはあるが。それでも相手にされないよりはマシだ。
恋も人並みにした。告白もした。だが告白した人全員に「あなたみたいな平凡で面白みのない男とは世界中からイケメンと面白い人が消滅しないと付き合えない」とフラれ続けていた。
大学を卒業した後、一般企業に就職した俺だったが、出来る先輩や同僚と出来ない先輩や同僚の間で板挟み状態になり、部長からは出来る先輩や同僚との力量の差を引き合いにいびり倒され、出来ない先輩や同僚の分であるはずの仕事まで押し付けられた。会社の人たちは基本的にみんないい人だ。部長以外は。そんな部長も定年を迎え会社を去るということで送別会を開くことになった。なんだかんだ世話になったからと開くそうだ。そんなにいい思い出もないのに律儀だねぇ。
「あっ、山田も強制参加な。思うところはいろいろあるだろうけど、気持ちよく去ってもらうための送別会だからなっ、恨み節は持ち込んでくれるなよっ」そういうと先輩は俺の背中を叩いていった。
へーへー、言われなくても十分心得ておりますとも。
けど、一つだけ納得いってないことがある…
なんであんなクソ部長のための送別会がよりによって俺の誕生日の日なんだよ!!
いじめ!?いじめなのかなぁ!?俺、先輩に嫌われるようなことした!?
そして、送別会当日。つつがなく送別会も終わり、送別会の発案者である先輩と共に帰路につこうとしていた
「今日はありがとな。それから…すまない。部長もこの際叱責ばかりしていた山田のことを少しでも労ってくれると期待してたんだが…」頭を下げながら先輩は俺に詫びた。先輩が悪い訳じゃないのに。
気分が悪くないと言ったら嘘になる。むしろ無茶苦茶嫌な気分になった。立つ鳥が跡を濁しまくっていった。
「山田ぁ~~、お前みたいな平凡なだけのボンクラぁなぁ仕事出来ない奴らの代行業務という仕事ぅお~与えられてっからぁ~社会の片隅に置いてもらってることぉ忘れんじゃねぇぞ!!…ったは~~もう一杯っ」そういう部長の顔はずいぶんと満足げでとてもお酔いになられていた。個室を貸し切って送別会をやっていたわけではなく普通の居酒屋の畳席での発言だったから隣の団体どころかオーダー聞きに来た店員さんもドン引きしてした。ざまぁみやがれってんだ。
「先輩が悪い訳じゃないのに謝らないでくださいよ。むしろあのバケモノといままでよく一緒に仕事できてましたよ。お互い、よくあんなヤバい魔獣に耐えきったっていうことで讃えあいましょうよ。」俺はそう返した。
「山田…。お詫びと言ってはなんだが、飲みなおさないかその……今から。」今から!?オイオイ、勘弁してくれよ。こちとら、あのクソジジイにビール15杯以上飲まされて今すぐにでも横になってしまいたいというのに…。
「先輩の気持ちはありがたいですけど、明日も仕事ですし先輩もお疲れでしょう。その気持ちだけ受け取っておきます。」俺はそう返した。
「そうか。わかった。.....しかし、あんなにのびのびとした部長にお目にかかれることもなかった。送別会、開いて良かったなっ。」
「そうかもしれませんね…。」
先輩と別れてからしばらくして
送別会、開いて良かったなっ......じゃねぇよ!!あんなものなにが良かったんだよ!!ただでさえ、会社内で撒かれていた公害を外に放って何が良かったんだよ!?あのクソ部長と人が良すぎる先輩は気づいてないかもしれないけど、クソ部長のエンジンがかかり、いつも以上に暴言が止まらなくなってた時、一人、また一人と客がとっとと会計を済ませて逃げるように店を後にしていった。店に入ろうとする客が店の自動ドアが開くたび聞こえてくるクソ部長の暴言のせいで入る気が失せたようで、一人、また一人と通り過ぎていった。会計中も会計後も担当していた女性店員がすごい顔でこちらを睨んでいた。まるで「もう二度と店に来ないでくれ。」と言いたげな様子だった。しかし、あの先輩の人の良さにもいい加減にしてもらいたいよな~。巻き込まれる周りの身にもなってみ…ん?あれは…子犬?リードに繋がれてる。いやいや、リードに繋がれてる子犬がどうして野放しなんだよ。飼い主なにやってんだ。
ブロロローー
トラック?思わず信号を見た。!?赤信号じゃねぇか、バカッ!!
思わず横断歩道に飛び出して犬をかばった。
ピピィーーーキュイィィィーーーーーーーードゥンッ!!
地面から体に伝わる低いクラクション、鼓膜に響きわたる高いブレーキ、そして自分よりも質量のある物が横からぶつかって吹き飛ばされる俺。あれ…?俺倒れてる…?しばらくして走る激痛。声も出せない痛みとはこういうことだったのか。
あ、そうだ子犬。子犬はどうなった?抱えていたはずの子犬はどこにもいなかった。は、はははっ。ったくよぉ、どいつもこいつも勝手なもんだな。俺…も…か。
――――3月15日、 俺こと山田優斗は子犬をかばいトラックにはねられて息を引き取った。ちょうど0時をまわったところだった。――――
とりあえず、週一更新でいこうと思います。
次回更新4月22日に乞うご期待。