7.女王様、家族仲を取り戻す。
我が家には今とある問題がある。
それは…<<気まずい雰囲気問題>>だ!!
しかも、原因はこの私、リリーホワイトにあるのだ。
少し前、王宮魔術師の立ち会いで、魔力測定を行った。
そこで私は、53万…いや、5300という数字を
出してしまった。これにより、私は皆に煙たがられる
様になった。これは非常によろしくないと思う。
私自身、寂しいし、切ないじゃないか。
そこで、私は今日、ある作戦を実行することにした。
その名も、「お菓子で仲良し大作戦」だ!!!
小さな娘からお菓子をプレゼントされるというのは、
親心にはとても嬉しい…はず。
今日のクソ家庭教師から出された宿題は終わらせた。
早速、城の厨房を借りてクッキングだ。
作るお菓子は、前世に好きだったチョコレートだ。
私は甘いのしか食べられなかった。いつか苦いチョコも好きになりたかったが、まあ仕方がない。
そもそも、こっちにはカカオが無かったので、
チョコもどきを作るのだが、作り方が簡単なのだ。
カカオマンというモンスターからとれるデカイ目玉を
潰して出てくる液体を、冷やして固める。
そうするとあっという間に甘いチョコの完成だ。
<何ともご都合主義だけど許してね☆>
砂糖を入れなくとも最初から甘いのである。苦いのが
食べたかったら目玉の黒い部分だけを潰したらできる。
あとは、ラッピングもしたので、渡すだけだ。
まずはお父様。思いっ切り猫被ってやる。
「お、お父様…。」
「…なんだい?今は仕事中で…」
「いつも頑張ってて尊敬しています」
「…どうしたんだ」
「お菓子作ったんです、食べてください」
「泣かないで、リリー」
「…お父様、私を避けないで下さいですわ」
「……ごめんね、そうすることを誓うよ。」
まずは一人目ェ…
ふっ、私の泣き真似は会社一番と言われてたんだぜ…
次はお兄様だな…
「お兄様」
「えっ、リリー、どうしたの?」
「私が怖いんですの?」
「…分かってくれるとうれしいよ、リリー」
「分かりますわ、人は分からないものを怖がるのです」
「いや、君のことは分かるさ」
思わずキュンとしたが、予想外の回答だ…
「じゃ、じゃあ何で怖いんですの?」
「君のことはずっと見てきたんだ、兄弟だからね。
だからこそ、君がとんでもない才能があるって分かる」
私は前世の記憶があるだけでも十分チートだけど、
更に賢者とか成長加速とかももってるからな…
「きっともう、僕より君は頭が良いでしょ?多分、
僕のこれは嫉妬なんだよね」
「お兄様…」
申し訳ないな、マジで…。私はお兄様が頭悪いなって
思ったことなんてないし、むしろ子供らしさは微塵も
感じない。それを私、大人が踏み潰して良い訳がない。
「でも、きっと君は優しいから、こんなことを言えば
手加減しちゃうでしょ?気を遣って」
「…そ、そんなこと…」思った…正直…。
「血筋は同じだからさ!追い付いて見せるよ!妹に!」
…カッコいいな、私のお兄様。惚れそうだ。
「負けませんよ!お兄様!」
チョコが完全についでになったが、順調だ!この調子!
最後はお母様。私は、若干お母様が怖い。
美人なのに溢れる迫力や、厳しい物言いが苦手だ。
別に私に対して当たりが強いんじゃないけど、本能で
怖いというか…まあ、頑張るしかない。
「お母様…」
「どうしたの?私の可愛いリリー」
…驚いた、多分お母様は私を怖がったりしてなさそうだ。
「あ、あの、お菓子を作ったんですの」
「そうなの!リリーはお菓子も作れるのねえ」
「これですわ、どうぞ」
たじたじしてしまうな、オーラがすごい。
「彼らはあなたにどう接すればよいやら
分からなかったのよ。許してあげてね」
彼らっていうのはお父様とお兄様だろう。
「分かりましたわ」
「実を言うとね、私、あなたに女神様の加護があるって知っていたの」
加護っていうのはチートのことか!?
「何故ですの!?」
「ほら、私エルフなのよ、実は!エルフは女神様に一番近い種族だから、何となく分かるの」
エ、エルフ。はじめてみたぞ、エルフなんて…
というか、耳隠せるのか!
「あなたが作ってくれたお菓子、後で紅茶と一緒に
食べるわね!ありがとう!」
そう言ってお母様は私を優しく抱き上げると、
扉を開いて私の部屋まで運んでくれた。
優しいな、お母様…
これで、家族問題は解決だろう!
私の手にかかれば皆チョロいのだー!!
チョロさランキング
一位 リリー
二位 ネオ
三位 お父様