6.女王様、自身の短所を知る。
幼い頃から魔力はずっと高めてきた。理由は暇だった
からなので、とても真面目にやったという訳じゃない。
だが、私は魔力に関して、魔術に関して自信があった。
<まあ、分かると思うが、これは敗北フラグである。
いくら主人公であろうと、そのフラグからは逃れられ
なかったのだ!!>
「にしても、見れば見るほどプリンセスだな!」
「…おはようございます。先生。」
「さぁ、今日は魔術の実力を計らしてもらうぞ!
弱いファイアーボールで十メートル先の的に当てて
みせろ!」
魔術の実力を計るって、チート発覚しそうだな…
まあ?幼い頃から私は鍛練してきた訳だし?
いやあ、楽しみだな!!わっはっはっはっ!!!
「…ば、馬鹿な…。こんなはずじゃ」
「リリー、お前」
ああッ!!やめて!!言わないでッ!!!!
「魔術、ヘッタクソだな!!!」
くっそぉぉおおおお!!!!!!
何で、何でなんだ!?あれ程色んな修行をしたのに!!
「まさか、全て的に掠るだけとは、逆に才能だな」
「もう一度!!もう一度やらせてくださいませ!!!」
結果、5つの的に一つも当たらなかった。
「くッ、殺せ!!!」「殺さんって」
思えば、私はただデカイ魔術をぶっぱなしていただけ
のような…だから、弱い魔術で当てるのは、何て言うか、その…苦手だったのかもな。屈辱だが…
「まあ、そういう子供もいるんじゃないか?多分、一つくらいは当てられそうだが…まあ、気にするな!」
「そういう気遣いが一番キツイですわ…」
「…そうか、なら今日克服すればキツくないな!」
「…え?」
「…先生、ここってもしかして…」
「ああ、ここはBランクダンジョン、メドゥーサの城だ」
「目の前にいるこいつって」「メドゥーサだ」
ジジーッ… ドゴオォォォオン…!!
メドゥーサの目から放たれたビームがダンジョン
の固い床に傷を付ける。
「安心しろ、当たったら即死だが、こいつは弱いし、
目を潰せば撃てなくなるぞ!」
あ、当たったら即死…?
「目を潰すには、ロックシュートを小さく鋭くして
撃たなきゃならんぞ!修行だからな!頑張れ!!」
今の私の天敵じゃないか!!!!
ジジーッ…ドゴォオオォォン…
避けたビームが砂ぼこりを巻き上げて爆発した。
刹那、命の危機を感じたリリー(女王様)は、瞬時に
ロックシュートを生成した。かつてない程、リリーは
研ぎ澄まされていた…だが、襲い来る即死ビームと殺気に、リリーの集中はついに切れたのだった!!
「危ないぞ!!よそ見をするな、ってしてないな?!
…いいか?一緒に撃とうか。3…2…」
リリーはもう一度、集中した。
「「 1 」」
その瞬間、リリーの放ったロックシュートは、メドゥーサの目を切り裂き、頭を貫通した!
「や、やったぞ!!!」
「…口調が戻ったな!そっちの方がいいと思うぜ」
「そうですか?!ありがとう!!」
リリーと先生が持ち帰ったメドゥーサは、魔石だけ収納して家族にプレゼントしたらしいが…どうなったのかは
ご想像にお任せしましょう…
次の次、マーキュリア大学編開幕。