3.王女様、部下ができる。
「ネオ、この方の、部下!」「「そうでやんす!」」
「…はぁ?そんなまさか…」
「ちょうらろら!(そうなんだ!)」
私の作戦はこうだ。
まず、神輿を作り、シーシーとスースーに、
私を運ばせる。(この世界には神輿が無いらしく、説明にはかなり時間を要した)
それで、私の顔で城に侵入し、
お母様にお目通りする。(今はここ)
そして、お父様に雇ってほしい旨を伝える。
こんな感じだ。
…というか、何でこいつらは私を誘拐したんだ?
こんな簡単に私を手放してもいいのか?
そう思っていたら、シーシーが歩きながら話始めた。
「俺らは…ネオ様に拾われたでやんす…だから、お城で赤ん坊様に仕えるってんなら今よりももっと良いもんが食えるからって…ネオ様が…」
しんみりした雰囲気で二人は歩き続けた。
先頭の安全確認をしているネオは、ふと振り返って、
「ネオは、お前らに、幸せ、なってほしい!もし、二人が首を落とされそうに、なったら、ネオが暴れる。奥の手も、使う!だから、お前らは、ネオを殺して」
「「ぼ、ボス!!そんなこと、できないでやんす!」」
…こいつら、良い奴らだな…(誘拐はしたけど)
大丈夫だぞ、内通者が見つかったら、全部そいつのせいにするからな!私が喋れるとバレても!
話を聞いてるうちに、王城の門を通過した。
門番は新人なのか、訝しげに見ていたが通してくれた。
なんやかんやあって着いたお母様の部屋の前で、
作戦会議をしていたら、お母様が出てきた。
何事も初めの印象は大事とは私の持論だが、
それは恐らく考えうるパターンで一番最悪だろう。
まあ、こちらには内通者というカードがある。
内通者探しの前に打ち首にされそうだけどな…
ってそれはマズい…!!
「お母様!!!!」
私が口を開けた瞬間、私と同じ輝く白い髪の毛の男の子がドアを開けて叫んだ。
「そいつらはっ…私の部下なんです、実は!」
「は?何言って」(王子はスースーに圧をかけた!)
「…証拠はあるんですか?こんな何も出来なそうな奴らを部下に入れるメリットは?答えなさい、王子」
「…妹をこいつらは守ってくれたんですよ!野党や山賊から!妹の守護騎士として、鍛えてみれば分かります!」
何か私の知らないところで話が進んでいるが…
にしても、立派に兄上は成長したなぁ…
そんなに時間はたっていないはずなんだが…
そうしてしばらくお母様は黙った後、ほんの少し、空気を緩めて、厳かに口を開いた。
「よろしい。偉いわ!流石私の息子ね!但し、鍛えるのは貴方の責任よ。貴方が失敗したら…そこの…誘か…そいつらは処分しますからね!」
これ、誘拐したのがこいつらだってバレてるな…
王子は嬉しそうにして、元気良く返事をした。
「はい!お母様!!」
ちなみに、これは後日談だが、内通者というのは、乳母の娘だったそうだ。彼女はお腹を空かせたネオ達に同情して、裏口を開けてやったりしたんだそうだ。
もちろん、処罰を防ぐために報告はしなかったがな。
この後、王女様を城から追い出すか、追い出さないか迷ってます。