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7.指輪の注文と分身体

今日はこれが限界です……

(禍津 明視点)


「お兄様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~!」


ードンッ!


「ぐはっ!」


LHR等の諸々の事が終わった昼前、俺と同じく諸々の事を終えた光華が思いっきり胸に飛び付いて来た。


「ハァハァハァ♥️……お兄様の匂い、お兄様の胸板、全てが愛おしいです♥️!」


「……影華、ちょっと聞いても良いか?」


「ん?……何でも聞くのです」


「光華なんだが……中学時代よりも酷くなってねぇか?」


少なくとも、以前の光華なら人の目がある場所でこんな事はしなかった筈だ。


「それは……恐らく、兄さんが自分から離れてしまうかもしれないという焦りから来るものだと思うのです」


「俺が……光華から離れる?」


「はいなのです。……これまで兄さんは引きこもっていたので、光華姉さんも兄さんが自分から離れる事はないと思い込んでいたのですが……」


「俺が通学を始めたから、焦りに焦っていると……」


この男女比が1:9の世界において、男性は特権階級に当たる。


例えば男性はハーレムを築けるし、妻の限界人数は決まっていない。


精子を提供するだけで金を貰えて、犯罪が起こった時も男性側が有利になる。


……そんな世界において、"俺が光華に愛想を尽かして離れる"かもしれないと光華が考えるのは、至極当然の事だった。


「お兄様、私から離れたりしませんよね?……いえ、これだと強制している様ですよね……ごめんなさい」


「いや、良いんだが……」


ヤバいヤバいヤバい!


ロマンチックさを考えて夜にしちまったが、逆に夜までどうやって不安定な光華を凌げば良いんだ!


そう思っていると……


「……ごにょごにょ……」


「ごにょごにょ……ごにょごにょ……」


「ん?」


先程まで近くに居た影華と秀光が、少し離れた場所にて小声で会話していた。


そして……


「明君、少し夜まで僕と語り合わないかい!?」


「ハァ?」


「光華姉さん、少し私の相談に乗って欲しいのです」


「えぇ?」


俺は秀光に、光華は影華に、それぞれ連れられる形でその場を去る事になった。


……多分助けてくれたんだろうが……これ、俺は何処に連れられて行ってるんだ?



そして数分後……


「さて、今夜光華さんを受け入れる……もとい光華さんにプロポーズするとなると、足りない物がある筈だよね。……それを買いに行くとしよう」


「……何処にだ?」


「ああ、明君は知らなかったね。……その辺りの設備もこの高校の敷地内に存在しているのさ!」


「……マジで言ってるのか……」


改めて、この高校が分からねぇ……


多分、男性優遇か強い異能力者優遇の一環なんだろうが……流石は異能力者を鍛える学び舎だな……


「それじゃあ、指輪を選ぶとしようか」


「え、俺は光華の指のサイズなんて……」


「そこはまぁ……影華さんに教えて貰ったから問題はないさ」


「……何か、男として不甲斐なさを感じるんだが……」


せめて、そこは自分でサイズを……って、いや待て!


「ん?……どうしたんだい?」


「いきなり指輪は重くねぇか?」


「ハァ~!……あのさぁ、明君はこれまで光華さんの好意を流し続けて来たんだよ?……それで受け入れるって言うなら、もう交際を通り越して婚約までするべきなのさ!」


「そ、それは暴論じゃ……」


でも、光華なら泣いて狂喜乱舞するだろうなぁ……


……するか、婚約……


「さて、今回作るのは婚約指輪になる訳だけど……金銭面は大丈夫かい?」


「あ~……クレジットカードって使えるか?」


この世界において、婚約指輪は女性にとって(・・・・・・)かなりの高値になるものだ。


だが、男性は日々の精子提供やら男性助成金やらで、未成年の時点からかなりの臨時収入を得ている。


その上、俺には強異能力者助成金もあるので……銀行の口座にはとんでもない金額の預金が、使われる事もなく死蔵されていたりする。


「うん、問題なく」


「じゃあ、それで支払うか……」


婚約指輪となると、軽く数十万円はするだろうな……


預金残高全体で見れば軽微なものだが、それでも充分な大金になるだろう。


もっとも、光華への婚約指輪代と考えれば痛くも痒くもないが。


と、ここで……


「ふぅ……これで明君の準備も整ったみたいだし、早く買いに行こうか」


「……そうするか……」


「ところで、影華さんにも連絡を返さなきゃいけないんだけど……シチュエーションはどんな感じにするつもりだい?……やっぱり、無難に夜の町で優雅なデートを……」


「いや、寧ろ……」


俺はそこで、自分が申請したシチュエーションを秀光に話した。


「……ってな感じのシチュエーションにしたいんだ」


「へ、へぇ~……まあ、確かに光華さんは喜びそうだね……」


「まあ、本当に喜ぶかは分からねぇがな」


「でも、良いと思うよ?」


「……ありがとな」


ちなみに、この申請も結構金がかかったんだよな……


流石に無料とは行かなかったか。


「じゃあ、特に婚約指輪以外に必要な物は無い感じかな?」


「そうだな……一応、服装変更もプランに入ってたんだよな……」


「……なら、影華さんにもそう伝えておくよ」


「あ、光華には教えるなよ?」


「分かってるさ」


そうして俺達は、婚約指輪を買える店にやって来た。


そして、その店に居たのは……


「おお、いらっしゃいなのじゃ!」


「……何でラヴィ校長がここに居るんだよ!?」


何と、ラヴィ校長だった。


「ん?……ああ、校長(それ)はワシ等の本体の事じゃろ?……ワシはラヴィ・リンスゥが作った分身体の1人、ラヴィ・リンスゥ・アルチザンじゃ!」


「ラヴィ・リンスゥ・アルチザン!?」


な、何というか……


【迷宮創造】って分身までありなのかよ!?


「明君もその反応になるよね?……僕も初めて知った時はそうなったっけ……」


「そこまで驚く事ないじゃろうに。……あ、他にも食堂で料理人を務めるラヴィ・リンスゥ・シェフや、図書館で司書を務めとるラヴィ・リンスゥ・ライブラリアン、複数人で清掃員を務めておるラヴィ・リンスゥ・ジャニターズなんて分身体まで居るから、覚えておいて欲しいのじゃ!」


「お、おう……」


そこまで行くと、校長のラヴィさんも本体なのか怪しくなってくるな……


「……で、ここに来た理由があるんじゃろ?」


あ、そういやそうだったな。


「ああ……このサイズで、婚約指輪を作って欲しいんだが……」


「金額は?」


「……一般女性の平均月収3……いや、5ヶ月分の金額で頼む」


「それなら……」


そこから、俺とラヴィ・リンスゥ・アルチザンさんとの間で指輪の金額やデザインについて話し合い、作って貰える事となった。


「それじゃあ、夕方にお届け……いや、衣装変更のタイミングで一緒に渡してやるのじゃ!」


「それで頼む」


「ふむ……これでどうなるか、だね……」


秀光が意味深な事を言っているが、俺としては成功させる気しかねぇ。


「……後は夕方まで待つだけだが……光華の方はどうなってるんだ?」


「えっと、何々……あ~……どうも影華さんが光華さんを気絶させて寝かせてるらしいけど……確か、実際に気絶させられる方法は殆んどなかったよね?」


「その筈だ。……スタンガンやクロロホルム、首の後ろを叩いて気絶させられるのはフィクションの中だけで、実際は……まあ威力が高ければ気絶はさせられるそうだが、ほぼ間違いなく後遺症が残るらしいからな……いくら何でも、影華がそれを知らねぇとは思えねぇし……」


「なら、安全に気絶させられる近未来的なSF兵器でも作ったのかな?……影華さんの異能はその辺りも有効らしいし」


「かもな……」


結局、俺達はそのまま夕方まで時間を潰して、指定の場所に向かった。


……光華に対する告白を、成功させるために……

ご読了ありがとうございます。


高校の敷地内には、至る所にラヴィ校長の分身が居ます。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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