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57.近付く体育祭とトラブルの種

作中における現在の総理は、是正の妹の子孫になります。


それと、一旦この話で別の自作の更新の専念に移らせて貰います。

(前々話の最後から約1時間後、禍津 明視点)


俺が"獄落姉妹"に襲われてから、1時間は経っただろうか……


「グハハハハ!……満足満足ってかぁ!」


「ギヒャヒャヒャヒャ……もう離れたくねぇなぁ……」


「……あ~あ、ヤっちまったよ……」


……いくら無理矢理襲われたからだとは言っても、俺の中で"獄落姉妹"とヤった事実は精神に重くのしかかっていた。


エレジーさんは許可していても、光華とアヤノは許可をしてねぇからな。


……こりゃ、どうするべきか……


「グハハハハ!……ん?……明、そんな顔してどうしたんだぁ?」


「ギヒャヒャヒャヒャ……やっぱり、私達とヤるのは心の底から嫌だったのかぁ?」


「……満更でもなかったのは事実かもしれねぇが、今はそれどころじゃねぇんだ……この事実を、光華とアヤノに何って伝えるか悩んでんだよ……」


特に危ねぇのが光華。


仮に百歩譲って俺は許されたとしても、ほぼ確実に俺を無理矢理襲った"獄落姉妹"の事は殺そうとしてくる筈だ。


アヤノも物理的に難しいってだけで、同じ感じになるかもしれねぇし……


ほんと、どうしたもんか……


「グハハハハ!……そんな真面目に考える事かぁ?」


「ギヒャヒャヒャヒャ……無理矢理襲われたって言えば済む話じゃねぇかぁ……」


「馬鹿なのか?……それをしたら、お前等2人の立場は完全になくなるんだぞ?……かといって、黙っておくのも不誠実だし……」


……短期間で恋人増やしまくった俺が何言ってんだって話ではあるが……


「グハハハハ!……なら、私達の事なんて見捨てちまえば良いんじゃねぇかぁ?」


「ギヒャヒャヒャヒャ……ま、仕方ねぇよなぁ……」


……"獄落姉妹"の言葉はもっともだった。


でもな……


「どうしてか分からねぇが、今となっては2人とも見捨てたくねぇんだよ……これ、何でだろうな?」


「グハハハハ!……それはあれだぁ!……えっと、"スタックフォルムしょ~こ~ぐん"……だっけかぁ?」


「ギヒャヒャヒャヒャ……それを言うなら"ストックホルム症候群"だなぁ……被害者が加害者と一定期間一緒に居ると同情的になって繋がりを作っちまうってアレの事だぁ……」


「グハハハハ!……それだそれだぁ!」


……ストックホルム症候群、か……


そうなんだろうが、それにしたって……


「……ギヒャヒャヒャヒャ……まさか、私達の事を恋人にするとか言い出さねぇよなぁ?」


「え?……それは……」


「ギヒャヒャヒャヒャ……辞めとけ辞めとけ……私達みてぇな凶悪犯をここに移す事自体異例だろうに、そんな凶悪犯を恋人にするとか正気の沙汰じゃねぇのは分かってるよなぁ?」


「その通りなのは分かってるんだが……う~ん……」


結局、俺はこの場で答えを出せねぇまま、今日の特訓は終わりを迎えちまった。


そしてこの悩みは体育祭当日まで、誰にも相談出来ずに燻らせる事になるのだった……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(時は進んで体育祭前日の某所、俯瞰(ふかん)視点)


「ぐぬぬ……今回の任務、この"裏玄武"だけで執り行う予定だった筈だカメ……」


「だというのに、まさか"裏騰虵(・・・)"に"裏勾陳(・・・)"、挙げ句の果てには"裏大陰(・・・)"まで追加で来るのは予想外シュル!」


そう叫んだのは、黒装束で全身を隠す2人の人影。


その前には、同じく黒装束で全身を隠す2人の人影が立っていた。


「愚かだボォォォォォ……主からの命令をもう忘れたかボォォォォォ?」


「まあまあ、こいつ等としちゃあ自分達だけでやる手筈だったのに予定が狂ったんシュラ~ン。……そりゃこうもなるシュラ~ン♪」


「……"裏騰虵"も"裏勾陳"も、喧嘩売ってるんカメ?」


"裏騰虵"、"裏勾陳"と呼ばれた人影達の割と筋の通った言葉を聞いてもなお、"裏玄武"の片割れは不満そうだった。


と、そこに……


「そこまでにしなよ。……これに関しては、ボク様が国立異能力専門高校へ簡単に侵入出来ちゃったのが理由なんだから♪」


先日、カミラエルのもとへと現れた西洋人形が会話へと混ざって来た。


「……"裏大陰"、また転写(トレース)元の喋り方を真似してるんカメか?」


「そ~だけど?……というか、ボク様が俗に言う()()()()()()()()()()()()()()のは周知の事実だろ?」


「それでも、その時々の喋り方にまで慣れれる訳じゃないシュル!」


"裏大陰"と呼ばれた西洋人形に対しても、"裏玄武"は文句を言い始めた。


「う~ん、ボク様に対しても注文が多いな~……異能で分かってたとはいえ、これ以上何か文句や屁理屈言い出したら【風が吹けば桶屋(バタフライ・エ)が儲かる(フェクト)】で全員潰してあげても良いんだよ?」


「……チッ、分かったカメ!」


「納得いかないシュル……」


「こっちは良い迷惑だボォォォォォ!」


「おっかないシュラ~ン♪」


先程まで好き勝手言っていた式神達が、"裏大陰"の言葉を聞いて渋々といった様子で引き下がった。


「ふふ♪……可憐な蝶の羽ばたきが地球の裏では竜巻になる様に……少し風が吹いただけで巡り巡って桶屋が儲かる様に……世の中の事象は、些細な事が大きな結果に繋がるものさ……そして、それを自在に観測して好きな結果に導けるボク様こそが、最強で無敵の式神だと思わないかい?」


「調子乗ってるカメな~……」


「何かムカつくシュル!」


「足を掬われるなボォォォォォ!」


「ってか、例えの2つは極端な例シュラ~ン♪」


"裏大陰"の言葉を話し半分に聞き流す他の式神達。


「ハァ……ま、後でボク様に泣きついたって知らないからね?……じゃ、さっさと準備しようか?」


「「「「……異議なし……」」」」


そうして"裏大陰"の言葉を皮切りに、その場を去り始めた式神達。


……彼等を止める者は、誰も居なかった……



同時刻、とある高級ホテルにて……


「ふふ、ここなら邪魔も入りません」


「では、例の件についての話し合いを始めるとしましょう」


そこでは2人の妙齢女性が、面と向かって話し合いをしていた。


「……それにしても、上にバレずに済んで良かったですよ。……何せ、今の総理はこうした利益優先の不正を嫌がる御方ですからね……」


「このためにわざわざ、警察上層部の一部に賄賂まで流して隠蔽する羽目になったのは痛手でしたが……もうすぐ私達の懐に大金が……」


2人が話す内容は、明らかに悪事の隠蔽に関する話だった。


……そして、そんな悪事がバレない訳もなく……


「……ほんと、やる事やってるニャね~」


「「っ!?」」


突然、2人の女性のどちらのものでもない声がその場に響いた。


「お前達の言う通り、今の総理は悪どい事が嫌いだニャ。……それがまだ民のために清濁併せ持った結果ニャら大目に見て貰えた可能性が高かったんニャけど、お前達はよりにもよって清を忘れて濁に溺れた救いようのニャい奴等ニャ……」


「お、お前は……くっ、ここまでですか……」


「内閣情報統制室の……そうか、バレていたか……」


2人は悟った。


もう自分達は社会的に詰んだのだと。


「はニャしが早くて助かるニャ~。……これでもミャ~は明日、子供達の体育祭に行くんだからさっさと用事は済ませたいのニャ~」


……そう言って侵入者こと内閣情報統制室室長の三毛猫は、2人の妙齢女性を捕縛した。


「……ははは、私達をこうも簡単に出し抜くとは……」


「ニャ?……そりゃ、希少ニャ異能力者の子種を高値で国外の奴等に売ってたら嫌でも気付くニャ!……こんニャんが与党の議員に紛れてたとか、勘弁して欲しいニャ……」


「そう、ですか……」


「ニャ~……明日の体育祭はニャんの憂いもニャく観戦に集中したいところだニャ~……」


日頃の激務がキツいのか、そんな言葉を吐き出す三毛猫。


だが、彼女は知らない。


式神と呼ばれる異能生命体達が体育祭当日の国立異能力専門高校を狙っている事や、娘の影華が胡蘭(フーラン)を体育祭に招待した事、更には息子の明が"獄落姉妹"と肉体関係を持ってしまった事すら……


……知らぬが仏……


その言葉を後に思い出す事になるとは、この時の三毛猫こと禍津 魅怪は予想だにしていなかった……

ご読了ありがとうございます。


三毛猫こと禍津 魅怪、性根は享楽主義者なのですが、自身が管理職に就いているせいで苦労人と化しています。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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