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5.秀光と影華

そろそろ、別作品の更新に入ろうかと思っています。

(禍津 明視点)


「いてて……」


現在、秀光に敗れた俺は治癒系能力者の治療を受け、戦闘用スペースを後にしていた。


……暴走技まで使ってこの体たらく……本当に、俺は井の中の蛙だったらしい。


と、そこへ……


「お兄様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


「光華か……悪い、負けちまった……」


光華がこちらに向かって全速力で走って来るのが見えたが、俺としては不甲斐なさで一杯だった。


寧ろ、何でまだ光華が慕ってくれているのか分からねぇ程には……


「勝敗の結果なんて別に良いんです!……私にとってはお兄様が無事で居てくれた事が……」


「だが、俺が負けた事には変わりねぇ。……きっと、今後の学園生活で他の奴等から舐められまくるんだろうな……」


あんな惨めな敗北を喫した以上、他の奴等から舐められるのは当然だろうな。


特に大多数を占める女子生徒からの心証は悪くなった筈だ。


そう思っていたのだが……


「兄さん、その認識は甘いのです」


「うわっ!?……影華、いつの間に俺の背後に来てたんだよ!?……で、甘いって何だ?」


いつの間にか俺の背後に陣取っていた影華に驚きつつも、その言葉の真意が気になった。


「背後には今来たのです。……そして、言葉の真意は……周囲の声を聞けば分かるのです」


「え?」


影華から、周囲の声を聞けと言われた俺は、周囲の会話に聞き耳を立てた。


すると……


「あの明って男子、秀光様に異能を(・・・)使わせた(・・・・)らしいよ?」


「えっ!?……どんな異能力者相手でも、異能を(・・・)使()()()()()()()()()()()()()()()()()秀光様が異能をお使いに!?」


「つまり、彼は秀光様に勝てなかったとはいえかなりの上澄み……」


「金霊院家への嫁入りとか現実的じゃないし、その時はあの男子にアプローチしましょ」


……な、なるほど……


要は、滅多に異能を使わない秀光が異能を使う程の相手として認識された訳か……


……ってか秀光、異能力者相手に格闘技術だけで圧倒してたってマジか……


とか思っていると……


「おやおや、その娘が君の言っていた妹かい?」


「秀光……お前、滅茶苦茶強かったじゃねぇか……」


「君が異能に対して肉体面を疎かにしてなきゃ勝てたかもしれないレベルの実力差だよ」


「充分やべぇよ……」


秀光が俺に話しかけて来た。


……ま、勝負するまで抱いていた嫉妬心はどっかに行っちまったんで、秀光に対して今の俺は悪い印象を抱いていなかったから何とも思わないが。


「ああ、貴方はお兄様を負かした方でしたね。……何か用ですか?」


「いや、ただ雑談でもと思ってね」


「そうですか……まあ良いです、私はお兄様とイチャイチャしておきますんで」


「あ~……うん、好きにしておくと良いよ?」


……秀光ですら、光華に対しては戸惑っているのが分かるな……


まあ、気持ちは分かるが。


「それにしても、兄さんを圧倒した異能の数々……とても興味深いものだったのです」


「ん?……君は……」


「そこの激重ブラコン変態の双子の妹なのです」


「……そ、そうかい……」


影華は光華とは違う意味で距離感を測りづらいからなぁ……


秀光は戸惑ってばか……ん?


何か、秀光の様子が急におかしくなった気が……


「……ん?……どうかしたのです?」


「いや……き、君の名前は?」


「影華なのです」


「そ、それじゃあ影華さん……こ、恋人か婚約者は居るかい?」


……秀光が影華に対し、急に恋人や婚約者の有無を聞き出した。


まさか……いや、そんな筈はねぇよな?


ねぇと言ってくれよ?


「恋人も婚約者も居ないのです。……でも、それがどうしたのです?」


「……いやはや、まさかこの僕が一目惚れ(・・・・)するとはね……」


「「「ん?」」」


「……影華さん、僕と付き合ってくれないかい?」


秀光はそう言うと、まるで姫にプロポーズする物語の王子かの如き体勢になり、影華の返事を待ち始めた。


……いやいやいや!


どうして影華に一目惚れした!?


勿論、影華は俺の妹とは思えねぇ程に美人で、かつジト目も合わさってクールに見えなくもないが……


……モテまくってるイケメンがわざわざ告白する程の突出した何かが有るとは思えねぇんだよな……


そうこう考えている内に、影華の口が開き……


「ふっ……その程度のアプローチで私を口説こうなんて片腹痛いのです。……今回はお断りなのです」


ーざわざわざわ


……影華は秀光を煽るかの様な言葉を告げた後、秀光をフった。


いやこれ、下手すりゃ逆恨みされるパターンじゃ……


そう危惧していたのだが……


「ふふふ……それでこそ僕が惚れた女性さ。……ところで、今後もアプローチを継続して良いかい?」


「ほう、今ので折れないとは気に入ったのです。……私を口説き落とせるまで、アプローチを続ける事を許可するのです」


「それはありがたいね。……ところでどうだい?……今夜、共にディナーでも……」


「勿論、秀光先輩の奢りなのです?」


「当然さ」


「なら、行くのです」


あ~……うん。


何か、今のやり取りでハッキリした事が1つある。


そこでふと光華を見ると、彼女も同じ感想だったらしく……


「……なぁ、あの2人って……相性ピッタリだと思ったのは俺だけか?」


「いえ、お兄様……私も同感です……」


秀光は影華をおもしれぇ女として見て、対する影華も秀光をおもしれぇ男として見ている。


……これ、遅かれ早かれくっ付くな……


「「ふふふ……」」


「……秀光が未来の義弟になるかもしれないのか……」


「……複雑ですね……」


「あれ?……そういや、光華と影華の検査は?」


「あっ……影華、そろそろ頃合いですよ!」


なるほど、2人はまだ検査前だったと……


いや、俺の観戦に来てる場合じゃねぇんじゃ……


「ちなみに、2人はどんな検査するんだ?……まさか、俺みてぇに誰かと戦ったり……」


「いえ、普通にどんな威力の異能を出せるのか見せるだけですよ?」


「私も同じなのです!」


「……明君は異能が異能だったから僕と戦わされただけで、基本的に戦いで異能を検査する事なんてないからね?」


……チート級の異能だったが故に、俺は秀光と戦わされた訳か。


「では、私達はこれで」


「失礼するのです!」


そうして、光華と影華は去って行った。


と同時に秀光が俺の横に立ち……


「良い妹に恵まれているね」


「そうか?……激重ブラコンで変態な妹と、冷淡で俺に無関心な妹だぞ?」


「口でそう言ってる割に、顔は笑ってるけど?」


「え?……あっ……」


秀光に言われて、俺は自分が笑みを浮かべていた事に気が付いた。


「ふふ……僕も影華さんを口説き落とせる様に頑張らないとね~。……ところで、明君と光華さんの関係はどうなんだい?」


「なっ……普通に兄妹だが?」


「光華さんはそれ以上の関係を望んでいそうだけどね?」


「そ、それはそうだが……でも、俺だってちゃんとその気はないって……」


……俺は何度もその気はないと言っている。


言ってきた……筈だ。


「本気で言ったかい?」


「え?」


「本気で……彼女を拒絶したかい?」


「あっ……」


確かに、最近の俺は光華のドン引き発言をいつもの日常として流していた。


それを光華が感じ取っていたとしたら……


「人は誰しも、決断するべき時が来る。……明君の場合、その1つが……」


「……光華との関係、か……」


このままなぁなぁで済ませて良い事でもないし、そろそろ決めろって事か。


受け入れるか、本気で拒絶するか……


その2択を、選ばなきゃならねぇ訳だ。


「明君がどちらを選ぶか……僕も見届けさせて貰おうかな」


「……好きにしろ……」


いい加減、俺も覚悟を決める時が来た。


光華を受け入れるか、それとも拒絶するか……


きっちり決断しねぇとな……

ご読了ありがとうございます。


光華との関係をなぁなぁにしてきた明と、影華との関係を前向きに捉えている秀光……良くも悪くも対照的な2人です。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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