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40.エレジーの告白?

エレジーは良くも悪くも面倒臭がりかつ打算的です。

(禍津 明視点)


「おやまぁ……派手にボロボロになられているではございませんか~」


「……取り敢えず、金世は無力化したぞ……」


金世から驚きの推測を聞かされて少し経った頃、俺のもとにあの吟遊詩人を肩に担いだエレジーがやって来た。


「グハハハハ!……なるほど、銀砂はやられちまったかぁ……」


「一応、生きてはおられるのでございますが……だいぶ私がトラウマになってしまわれた様子でございまして……」


「グハハハハ!……あいつにトラウマ刻むとか、今度私と戦ってくれねぇかなぁ!」


「面倒臭いので遠慮したいでございます~……」


……エレジーがここに来た時点で分かってた事だが、どうもエレジーは銀砂をちゃんと倒せたらしい。


しかもトラウマまで刻んだ上でって事は、俺と違って楽勝だったんだろうな……


「グハハハハ!……つれねぇなぁ……」


「……それはそうと明様、結構出血が酷いでございますね~?」


「ん?……まあ、流石に無傷って訳には行かなかったんでな……」


一応、ある程度は金世の攻撃を防げたとはいえ……俺の体には幾つかの傷が出来ちまってた。


「大丈夫でございますか~?」


「ん?……別にそこまで酷い傷でもねぇよ。……ただエレジーさん、何か目が怖いんだが……」


「怖い?……どう怖いのでございますか~?」


「何というか……獲物を(・・・)前にした(・・・・)肉食獣(・・・)みてぇな……」


エレジーさんが俺の傷口を見る目は、正にシマウマを前にしたライオンの如き目で……


……あ、これマズいかもしれねぇ……


「ふふふ♥️……ええ、そうでございますよ~♥️」


「認めるのか……」


エレジーさんが俺を見る目……それを指摘した瞬間、エレジーさんは笑顔でその指摘を肯定した。


……のだが、驚くのはここからだった。


「ふふ♥️……ふふふ♥️……ふふふふふ♥️……」


「え、エレジーさん?」


「ふふふふふふふふ♥️……あへへ♥️……」


「ちょっ!?……エレジーさん、とてもじゃねぇが他者に見せられねぇ顔してるぞ!」


エレジーさんの笑顔はどんどんとエスカレートし、やがてア◯顔と呼んでもおかしくねぇものへと変わっていた。


「グハハハハ!……そうじゃねぇかとは思ってたが、お前もこっち側かぁ!」


「金世、頼むから今は入って来ないでくれ!」


「誤解を招かない様に弁明しますと、いつもこうではございませんよ~♥️?……あへへ♥️……ただ、今回は少し本気で戦った影響か吸血鬼としての本能が昂っているのでございますよ~♥️……あへへ♥️……」


「吸血鬼の本能って……エレジーさん、俺の血液がそんなに魅力的なのかよ……」


もう突っ込むのも疲れる……


要は、エレジーさんにとって俺の血液がそんなに魅力的だと?


「血液だけではございませんよ~♥️?……少し前から狙っていたのでございますが、やはり明様の異能はとても優秀でございます♥️……お嬢様も同性という事で子供を作れない影華様ではなく、明様にすれば宜しかったと……いえ、こればっかりはお嬢様の判断を信じるべきでございますね♥️」


「……つまり何が言いてぇ?」


「明様♥️……不躾なお願いだとは理解しているのでございますが、どうか私を明様のハーレムの末席に加えていただけないでございましょうか♥️?」


「……やっぱり、そう来たか……」


……多分、エレジーさんが俺に向ける感情は恋慕じゃねぇ。


良くて友情、最悪だと何とも思ってねぇ可能性すらある。


エレジーさんにとって大事なのは俺の血液と異能……遺伝子だけだ。


「これでも、明様を好きになろうと面倒なデートをしたのでございますよ~♥️?……あへへ♥️……結果は辛うじて親友程度には思える様になっただけでございましたが……」


「親友……俺は別にそう思っては……」


「うっ……けどまあ、恋人が駄目であれば愛人でも構わないのでございます♥️……だからどうか、私を……」


「そもそもの前提から聞いて良いか?……何で、俺なんだ?……優秀な遺伝子なら秀光だって……」


「あの方は眩し過ぎるのでございます!」


「お、おう……」


本当に、秀光はどう見えてんだ?


俺に昔から病的な愛を向けていた光華を除けば、俺に告白して来た相手は秀光を眩し過ぎるって言うが……


「……明様を選んだ理由は、秀光様を除いた上で最も優れた遺伝子であったのと……今日の午前中に冗談っぽく言っていた通り、明様の女になればお嬢様相手に義姉面出来るからでございます~♥️」


「マジか……聞かなかった方が良かったかもな……」


本当に、"俺"である必要がねぇじゃねぇか……


……これは、きっぱりフるとするか……


そう思っていたのだが……


「……とは言いましたが正直なところ、明様とならば上手く付き合って行けると感じたのも大きな理由でございましょう♥️」


「え?」


……最後の最後で、マトモな事を言って来た。


「……お嬢様が国立異能力専門高校に居を移して以降、私は久方ぶりに心の余裕が生まれたのでございます。……そんな精神下で考えると、かつて廃墟暮らしをしていた頃に比べ今の環境はとても自由で……お嬢様が恋を楽しんでいるのならば、私だって恋を楽しみたいと思う様になるのは自然な事でございました」


「それで、俺に目をつけたと?」


「ええ♥️。……強い異能の情報が含まれているであろう優秀な遺伝子、上手く付き合えそうな性格、お嬢様にマウントを取れそうな立場……全てが私にとって好都合でございました♥️」


「……何か複雑な気分だな……」


打算まみれで、俺への感情は精々親友止まり……


なのに俺は、エレジーさんを拒絶出来ねぇで居た。


……エレジーさんを受け入れるべきか、拒絶するべきか……


その2択を悩ましく思っていた、その時だった。


「……おいベイビ~!……さっきから聞いてりゃ優柔不断にも程があるぜ!」


ーギュイィィィィィン!


「っ!?……えっと、冥堂さんだっけか?」


突然、冥堂さんがエレキギターをかき鳴らしながら現れたのだ。


「大事なのはよぉ!……お前がどうしてぇかだろ?」


「俺が、どうしてぇか?」


「確かにさっきから話を聞いてりゃ、エレジーって嬢ちゃんの言い分はだいぶイカれてらぁ!……でも、お前はそれでも拒絶する気になれねぇんだろ?」


「あ、ああ……」


あんなに悩んでいたのに、いざ言葉にされるとだいぶ陳腐な悩みに思えちまう。


いいや、実際に陳腐な悩みだったんだろう。


「でだ!……お前はエレジーの嬢ちゃんとどんな関係になりてぇんだ?……恋人か?……愛人か?……はたまた友人?……それとも赤の他人か?」


「……別に俺としちゃ、友人でも良かったんだが……下手に段階踏んだところで性的に食われるのは時間の問題っぽいし、かといって愛人ってのも不誠実な感じがするんでな……恋人1択だろ」


友人になるのを選んだところで、性的に食われるのは時間の問題。


愛人関係は不誠実。


赤の他人はわざわざ言葉にするまでもねぇ程には論外な選択肢だ。


となれば……恋人1択だった。


「……マジで!?……マジでその選択肢選ぶのかよ、ベイビ~!」


「何だ?……恋人の選択肢を選ばせたかったんじゃねぇのか?」


「う~ん、それはそうなんだが……いざ選ばれると俺っちもドン引きするというか、改めてお前は藤四郎(・・・)さん(・・)と同じタイプの人間なんだって実感するんだぜ……」


「藤四郎?……誰だ、そいつ?」


「知らなくて良いぜ、ベイビ~!」


ーギュイィィィィィン!


「そっちが言っといてそれかよ……」


結局、冥堂さんって何者なんだか……


と、そのタイミングで……


ーウ~!……ウ~!


「おっと、もう警さ……ゴホン!……ポリ公のお出ましかよ、ベイビ~!……つう訳で、俺っちは退散させて貰うぜ、ベイビ~!」


「あ、おい!」


近くからパトカーのサインが聞こえて来て、それを聞いた冥堂さんが退散すると言い出した。


「あ、最後に1つだけ伝えとくぜ!……半グレ女子共は軽い洗脳状態になってるんで、気付けでもして覚まさせとけ、ベイビ~!」


ータッタッタ……


「待っ……って、もうどっか行っちまった……」


冥堂さんはそのまま、何処かへと去っちまった。


……なお、この後警察に事情を話すのに手間取る事になるのだが、それは別のお話……

ご読了ありがとうございます。


結局、冥堂は"吟遊詩人(バード)"を取り逃がした言い訳すらせずに退散しました。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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