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33.狂気の獣

明の異能って結構なチートなんですが、当たる相手が毎回ヤバ過ぎて噛ませ犬感が半端ない……

(禍津 明視点)


「……つっても、相手の技を食らったら1発でお陀仏だ!……なら、この技を試してみるか……」


金世へと走り出した俺だったが、奴の技は1発でも食らえばお陀仏確定だ。


となればこう、禍神の力を鎧の様に纏うイメージで構成して……


「グハハハハ!……何をするつもりだ!」


「こうするつもりだ!……【鱗鎧(リンガイ)】!」


俺はそう告げ、禍神の力を鎧の様に纏った。


客観視出来ねぇので正確な外見は定かじゃねぇが、黒くてスマートな鎧をイメージしたつもりだ。


「グハハハハ!……なるほどなるほど、防御を固めたかぁ!……だったら遠慮なく、【猛突進(ハードタックル)】だぁ!」


ーダンッ!


「なっ!?」


ードン!……ドゴォォォォォォォン!


防御を固めた俺を見て、金世は俺にタックルをかまして来た。


……が、その威力はとんでもなく強く、そのまま隣の部屋まで壁を貫いて押し出されちまった。


「ふぅ~、グハハハハ!……どうだぁ?……【念力(サイコキネシス)】の鎧を纏った上での突進(タックル)を食らった気持ちはぁ?」


「ハァ……ハァ……この鎧のお陰で、俺に大したダメージは入ってねぇ!」


……【鱗鎧(リンガイ)】のお陰で大したダメージは入ってねぇが、これを何発も食らうのは流石にマズい。


「そうかぁ……ところで、私を倒すなら早くした方が良いぞぉ?」


「……何だと?」


「銀砂は私と違って戦闘そのものを楽しむタイプじゃねぇからなぁ。……相手の攻撃をわざと受けてやったりしねぇし、ひたすら相手の死角に移動してネチネチ攻撃を続けるタイプだぜ?……グハハハハ!」


「チッ……そうかよ……」


多分、単純な実力なら金世の方が上なんだろう。


ただし、戦闘そのものを楽しむが故に相手の攻撃をわざと食らうっていう金世と違い、銀砂はひたすら相手の死角からネチネチ攻撃すると……


頼りの再生力も銀製ナイフがどう作用するか分からねぇ以上、エレジーさんには厳しい相手だな……


「さてと……それじゃあ私を倒してみなぁ!」


「望むところだ!」


俺は再び、金世に向かって走り出す。


「グハハハハ!……おらぁ!」


ーブンッ!


金世は何の小細工もせず、真っ直ぐ拳を放って来た。


「食らってやるか!」


ースカッ……


俺は何とか金世の拳を避け、その肉体に【闇爪(ダーククロー)】を突き立てた。


すると……


ーザシュ!


あっさりと、その肉体に浅い傷を作る事に成功した。


「っ!?……グハハハハ!……まさか、私が纏う【念力サイコキネシス】の鎧を破るとはなぁ!」


「最近は秀光みてぇなチート異能やエレジーさんみてぇな無限再生持ちと戦ってて活躍出来なかったが、俺の異能も大概チートなんだよ!」


って、それを金世に言っても意味ねぇだろ。


いくら俺がそれを気にしてたからって……


「グハハハハ!……ならばこれだ!……【念力波(サイコウェーブ)】だぁ!」


ードシィィィィィン!


「ぐはっ!」


金世は自身の目前にまで来た俺に拳を当ててその先から【念力波(サイコウェーブ)】という振動波を出し、俺はそれに吹っ飛ばされる。


「グハハハハ!……今後は攻撃した後の事も考えるんだなぁ!」


「くっ……まだまだ!……【(アギト)】!」


「グルァァァァァ!」


吹き飛ばされた俺はすぐさま【(アギト)】を召喚し、金世へとけしかける。


「グハハハハ!……ならば、そいつ諸共消してやろうかぁ!」


「グルァァァァァ!」


金世は俺にやったのと同じく、拳を【(アギト)】へと振りかぶる。


……が、【(アギト)】は自立行動が可能な技で、馬鹿じゃねぇ。


「……避けろ」


ースカッ……


「むっ!?……グハハハハ!」


(アギト)】はいとも簡単に金世の拳を避け、その首筋へと狙いを定める。


そして……


「グルァァァァァ!」


ーガブリ!……ブシュゥゥゥゥゥ!


……【(アギト)】が金世の首筋から少しズレた場所へと噛みつき、傷から勢い良く血が噴き出した。


「い゛っ!?……グハハハハ!」


「……これでもまだ笑うか……流石に戦闘狂だからっていくら何でも……」


俺としちゃ、可能な限り急所を外したつもりだ。


現に、首筋付近とはいえ1時間以内に治療すれば充分助かる場所に傷を……


「グハハハハ!……まだ……まだまだここからだぁ!」


ーブシュゥゥゥゥゥ!……チョロチョロ……ポタ……


「……何?」


……何が起きた?


先程まで金世から勢い良く噴き出していた筈の血が次第に勢いをなくして行き、最後には出血が止まったのだ。


「グハハハハ!……【念力サイコキネシス】の応用で止血した!……これでまだ戦えるぞ!」


「お、おいおい……キマってるとかそういう次元じゃねぇだろ……」


どんだけ戦闘狂なんだよ……


いい加減、諦めてくれ……


「グハハハハ!……さあ、どっちかが死ぬまで殺り合おうぜ!」


「……ったく、仕方ねぇか……」


殺すまでは行かなくても、どうにかして気絶させねぇとな……


ここで殺人の十字架なんて背負いたくねぇし……


「グハハハハ!」


ーぐる……ぐる……ブンッ!


金世は手を振り回し、俺に拳を突き出す。


「受け止めてやるよ!」


ーゴンッ!


金世の拳は、【鱗鎧(リンガイ)】の表面とはいえ俺の顔面にぶち当たった。


……ただ、それで殺られる俺でもねぇ。


「お?」


「……言ったろ?……受け止めてやるって!」


俺は【鱗鎧(リンガイ)】で金世の拳を受け止めると、そのまま流れる様に金世の全身に【闇爪(ダーククロー)】を突き立てた。


ーザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!


「グハハハハ!……そうだ!……そうでなきゃなぁ!」


俺は金世の全身を軽く切り裂いたが、金世は全く意に介さずに歓喜していた。


「くっ……倒せる気がしねぇし、寧ろ遊ばれてやがるなこれ……」


ここまで()って分かったが、さっきから金世はあまり異能を使ってねぇ。


それこそ数発の攻撃や、防御用の鎧としてしか……


いや勿論、その方が俺としてもありがてぇんだが……未だに底が見えねぇんだよな……


「グハハハハ!……ならば今度は私だぁ!……【念力(サイコキネシス)パ~ンチ】!」


ードシィィィィィン!


「くっ!」


何度目かは覚えてねぇが、俺は再び背後の壁まで吹き飛ばされる。


「グハハハハ!……異能を使っちまうと、相手がぶっ飛んじまうのが欠点だなぁ……連続で攻撃出来ねぇ」


「ハァ……ハァ……ゴフッ!」


相手が吹っ飛ぶのが欠点って……


そんな連続攻撃、食らってたまるかよ……


ってか、そろそろやべぇ。


本格的に、次食らっちまったら……


ん?


……そうだ、何も俺がトドメ(・・・・・)()刺す(・・)()()()()()


そう考えた俺は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「グハハハハ!……何だそりゃ、狙いがバレバレだなぁ!」


当然、俺の狙いは金世に(・・・)バレる(・・・)


……それでも、俺はこれに賭ける。


「ああ、バレるだろうな。……でも、それで退くお前じゃねぇだろ?」


「グハハハハ!……分かってるじゃねぇかぁ!」


金世は戦闘狂故に、この誘いに乗って来る。


……この、危険な賭けに自ら乗って来てくれるのだ。


「ハァ……ハァ……やっぱり、チートな異能持ってるだけじゃ勝てねぇんだな……」


俺の【禍神招来(まがかみしょうらい)】は結構なチート異能だが、今のところは負け越し続きだ。


秀光という、同じチート異能かつ俺と違って努力を積み重ねた男。


エレジーさんという、無限再生を持つ吸血鬼。


そして……金世という、圧倒的なフィジカルと狂気……


俺じゃ越えられねぇ、化物揃いだ。


「グハハハハ!……だが、ここは4階(・・)だぁ!……当然、ミスれば死もあり得る……」


「……このまま続けても死ぬなら、賭けるのも悪くはねぇ……」


「グハハハハ!……やっぱお前、面白(おもしれ)ぇなぁ!」


「……あんたに気に入られても嬉しくねぇよ……」


こいつはもう、熊とかそういう獣みてぇな奴だ。


「さぁ……これで決着つけるぞ!」


「グハハハハ!……【猛突進(ハードタックル)】だぁ!」


俺と金世、どちらも無事か、どちらかが負けるか、どちらもくたばるか……


どうなるかは誰にも分からねぇ最後の喧嘩が、そうして幕を開けたのだった……

ご読了ありがとうございます。


圧倒的フィジカルと戦闘狂の狂気が合わさった怪物こと金世は、良くも悪くも戦いを楽しむタイプで自分から負け要素に突き進む事もあります。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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