11.彩ノ進についての相談
ハァ……面白い小説を見つけてしまったせいで、更新が滞ってる……
(禍津 明視点)
多数の同クラス女子達から追われた日の昼休み……
「……さて、今日ここに集まって貰ったのは他でもない、彩ノ進についての事だ」
俺は高校の校舎裏の隅で、光華、影華、秀光、そしてついでに写美を呼び出して彩ノ進についての相談をしていた。
「……アヤノ先輩についてですか?」
「アヤノ先輩についてなのです?」
「アヤノ君についてかい?」
「アヤノ先輩についてっすか?」
「……全員アヤノ呼びなのか……」
「何か悪いっすか?」
まさか、既に全員アヤノ呼びとは……
これじゃあ違和感を感じて彩ノ進って呼んでる俺が馬鹿みたいじゃ……
……そもそも、そうなると彩ノ進って呼んでるのは俺と武音子先生ぐらいなのか?
……って、そんな事はどうでも良い。
「いや、悪くはないが……本題に戻ると、最近何故か彩ノ進を見ると胸がドキドキして……」
「最近って、まだ編入して1週間程度なのですよ?」
「うっ!……そ、そうだが……」
そこを突かれると痛いな……
そう考えていると、光華が口を開き……
「まさか、お兄様の2人目の恋人はアヤノ先輩なんですか!?」
「それは大スクープっすよ!」
「いや勝手な事を言うな!……俺に、彩ノ進と付き合う意思なんてこれっぽっちも……な、ない筈だ!」
「……自信喪失してるのです……」
「こりゃ告るのも時間の問題っすね」
「う、煩い!」
「……兄さん、思ったよりも必死なのですね……」
本当、ああ言えばこう言う……
そもそも、俺はノーマルだ。
……しかし実際の事を言うと、俺は前世で男の娘モノのBL系R18漫画を何冊も読んでいた。
ただ、あれは絵柄の関係で女性っぽく書かれてたから読めただけで、ガチムチタイプのBLは受け付けなかったし、3次元の女装男性にも興奮しなかった。
……そんな言い訳を脳内で展開しながらも、俺は言葉を続ける。
「た、確かに彩ノ進は男とは思えないぐらい可愛いし、何なら下手な女性よりも……」
や、ヤバい……
前世や今世で女装男性で興奮……というかここまで良いと思ったの、彩ノ進が初めてなんだよなぁ……
だからこそ、認めたくないというか……
「……で、お兄様は惚れたんですか?」
「い、いや、まだだ!……まだ、彩ノ進の異能の効果って線も……」
「でも、アヤノ君の異能は本人の居ない場所じゃ効果はない筈だよ?……それに、アヤノ君の異能は常時発動型じゃない上に本人が居なくなると効果も切れちゃうし……」
「……そ、そうなのか……アヤノの異能、意外に制限が多い異能なんだな……」
本人がその場に居ないと発動しない上、常時発動でもなく本人が居なくなると効果が切れる。
これでA組に居るって事は、よほど異能の魅了効果が強いのか……
「ただし、これでも僕が見る限りまだ発展途上って感じでね?……もう一皮剥けたら、それこそ映像越しでも異能を発動出来たり、本人が居なくても効果が継続する様に出来るんだろうけど……」
「な、なるほど……」
あれでまだ発展途上となると……
……敵に回すのだけは嫌だな……
「まあ、お兄様が言いたい事は分かりました。……取り敢えず、お兄様がどうしたいかハッキリしてから相談してください」
「は、はい……」
「兄さん、私達だって暇じゃないのですよ?」
「そ、その通りだが……」
結局、俺がどうしたいかハッキリしてなかったが故に、俺は光華と影華から苦言を呈されてしまった。
……特に、普段は俺を全肯定する光華から苦言を呈されたのは衝撃的だったが、光華はこういう相談ではちゃんと苦言を呈する性格だったか……
「じゃあ、僕はこれで」
「アタイも行くっす!……あ、答えが出たら教えて欲しいっす!」
「わ、分かった……」
秀光も写美も俺が答えを出すまではノータッチを貫く気にしたらしく、この場を立ち去ってしまった。
「……お兄様、早く答えを出してくださいね?」
「兄さん、光華がこう言うって相当なのですよ?」
「か、返す言葉もない……」
そうして俺は、彩ノ進に対してどういうスタンスを取るか考える事になった。
……さて、どうしたものか……
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(萌ヶ原 彩ノ進視点)
「うぅ……駄目だよ~!」
「諦めたらそこで終了じゃぞ!」
「でも、やっぱりボクには今より異能を強くするなんて事は出来っこ……」
「ええい!……煩いのじゃ!」
……ボクは今、ラヴィ・リンスゥ・ティーチャーって名前のラヴィ校長の分身体によって異能強化の訓練を受けさせられていた。
ちなみに、ラヴィ・リンスゥ・ティーチャーは白衣を着て眼鏡をかけた女教師って雰囲気で、ボクが言うのも何だけどかなりエッチだった。
……ボクに必要なのも、あんな感じの扇情的な雰囲気なのかな~。
「……そもそも論として、ボクの異能は結構頭打ちみたいな気がするんだけど……」
「そんな訳ないのじゃ!……アヤノ、お主の異能はまだ伸び代が……」
「じゃあどうすれば良いって言うのかな?」
「そ、それは……」
多分、ボクの異能には本当に伸び代が有るんだと思うよ?
でも……ボクじゃ、それを引き出せない。
引き出せないんだよ!
と、その時……
「あァ~……彩ノ進、まだ異能の強化は出来てねぇ感じかァ?」
「っ!?……む、武音子先生!?」
「何の用じゃ!」
突然、ボク達が居た場所に武音子先生が現れた。
「いやァ、ちょっと彩ノ進の様子見でもしようかと思ってなァ?……別に担任だし良いだろォ?」
「武音子、お主は感覚派で人に教えるには不向きじゃろうに……邪魔するでない!」
武音子先生は強いんだけど、感覚派なので体育以外を教えるのは不向きなんだよね……
だから、ラヴィ・リンスゥ・ティーチャーは武音子先生を邪魔だと判断してるっぽい。
「まァまァ、落ち着けって。……何もオレだって邪魔しに来た訳じゃねぇ。……おい彩ノ進!」
「は、はい!」
突如として武音子先生に名前を呼ばれて、思いっきり背筋を伸ばして返事してしまった。
「……自分の殻を破りたきゃ、思いっきりぶつかるこったァ。……あの明って奴なら、お前を分かってくれるかもしれねぇぞォ?」
「わ、分かってくれる?……あ、明がボクの何を分かってくれるって言うのかな?」
「……恋愛対象だろォ?」
「っ!?」
……本当に、ストレートに言ってくれるよ……
「しっかし難儀だなァ。……心の性別は男性の癖に、女装が好きで恋愛対象は男性……ややこしい上にこんな世界じゃまず受け入れられねぇ個性だァ!」
「うぅ……」
ボクは昔から、女性に対して恋愛感情を感じる事はなかった。
それだけならよくある話だけど、よりにもよってボクは同性愛者だったし、女装をするのも好きだった。
しかも、その割に性自認はちゃんと男性ってのも話をややこしくした原因だったっけ……
「……アヤノ、あまり気にする必要はないのじゃ」
「ううん、気にするよ。……でも、確かに挑戦してみる価値はあるかもね……」
他のクラスの男子生徒は傲慢だったし、秀光は家柄がハードル高めだし……何より、秀光本人がボクには眩し過ぎた。
……そんなボクも、明相手なら何とか……
そう思わずには居られなかった。
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(俯瞰視点)
とある廃墟……
そこには、まるで病気にかかっているかの如く色白な肌をしたメイドが多く居た。
そして、その最前には……
「お~っほっほっほ!……さあ、いよいよ作戦実行までもうすぐザマスよ!……この予行練習も上手く完了させて、さっさと作戦に移るザマス!」
「「「「「「うおぉぉぉぉぉぉ!」」」」」」
黒のゴスロリドレスを着た、ポニーテールにした赤紫色の長髪が特徴的な色白肌の少女が居た。
なお、その少女が告げた言葉に対し……
「うおぉぉ!……頑張るでございます!」
オレンジ色のボーイッシュヘアーが特徴的な色白メイドは熱血らしき反応をし……
「う、うおぉ……周りが熱過ぎるでございます……」
目元が隠れる程にボサボサな水色の長髪が特徴的な色白メイドは他の者の反応を忌避する反応をし……
「ハァ……面倒でございます……」
黄色のショートボブが特徴的な色白メイドは面倒臭そうな反応をした。
「お~っほっほっほ!……私の眷属であるお前達は、私が死なない限りどんな攻撃を受けても死なないザマス!……だから思いっきり陽動に専念するザマス!」
「「「「「「「はいでございます!」」」」」」」
「特に"吸血三連星"……お前達は他のメイド達の指揮を頼むザマスよ?」
「うおぉぉ!……燃えるでございます!」
「ひぃっ……か、可能な限り頑張るでございます……」
「面倒臭いでございま~す」
「……ふっふっふ……この調子じゃ、今回の予行練習もグダって失敗するザマスね……」
そう言ったゴスロリドレスの女性……カミラエルの予想通り、その日の予行練習は結果的には失敗に終わった。
果たして、彼女達が国立異能力専門高校に侵攻出来るのはいつになるのか。
それが分かる者は、誰も居なかったのだった……
ご読了ありがとうございます。
カミラエルには大勢の眷属が居ますが、指揮系統はかなりグダグダです。
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。