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10.新聞部の1年生

取り敢えず、現代ダンジョン配信ハーレム作品の息抜きに更新しました。

(禍津 明視点)


俺と光華が付き合いだしてから1週間後……


「明様、私とも付き合って~!」


「馬鹿っ!……私が先よ!」


「いいや私がぁぁぁぁぁ!」


ードドドドドドドドド!


……俺は何故か、2年A組所属の女子生徒達の大半に追いかけられていた。


「何で俺なんだよ!……秀光や彩ノ進も居るだろ!」


「だって、秀光様は家柄や顔面偏差値でハードルが高いし……」


「アヤノちゃんは男性だと思えないし……」


「だから1番行けそうなのを選んでるのよ!」


「そんな理由で選ばれても嬉しくないに決まってるだろうが!」


……分かっている。


この手の貞操観念逆転世界モノでは、女子に優しくした方がモテると。


だが、俺自身を見ていない癖に自分を選べと迫って来る奴に優しく出来る程、俺は聖人君子じゃない。


と、そろそろか……


「……皆様、私のお兄様に何か用ですか?」


「兄さん、いい加減この程度なら自分で対応して欲しいのです……」


俺が女子生徒に追いかけられていると気付いた光華と影華が、俺を助けるためにやって来た。


……もっとも、影華は心底面倒臭そうな表情を浮かべていたが。


「うげっ!?」


「あれは駄目ね……」


「明様……いや、明君は手加減してくれるけど、あの2人はマジで来るから……」


「……となると……」


「「「「「「「「総員、撤退!」」」」」」」」


ードドドドドドドドド!


……結局、女子生徒達は光華と影華を恐れて逃げて行った。


あの様子なら、教室で襲いかかって来る可能性も低いだろう。


そう考えている時だった。


「あっ!……もう終わっちゃったんすか~?」


「ん?……誰だ?」


そこに居たのは、1人の女子生徒だった。


その女子生徒は黒髪のボーイッシュヘアーに茶色のハンチング帽を被っている快活そうな人物であり、首からはインスタントカメラをぶら下げていた。


「ふっふっふ!……アタイは1年A組の新聞部所属、文屋(ぶんや) 写美(しゃみ)っていうっす!」


「ぶ、文屋って……」


まるで新聞を書くために生まれて来たかの様な名字だな……


「……で、明先輩!……色々と取材させて欲しいんすけど……」


「な、何でだ?」


「そりゃ勿論、良い記事になるからっすよ!……男性の事を書いた記事は人気が段違いっすからね~。……しかも、明先輩はそれ程傲慢でもなけりゃ臆病でもないっすし、更に秀光先輩みたく取材へのハードルも高くないっす!」


「なるほどなぁ……それはそうと、写美は俺を見てもグイグイ来ないんだな?」


他の女子生徒みたくグイグイ来ないから意外だった。


……いやまあ、別の意味ではグイグイ来てるが。


「そりゃまあ、アタイの家……文屋家は曾祖母の代から何人も記者を輩出してる家系っすからね。……男性相手に積極的な取材をする事はあっても、男性の魅力にうつつを抜かす事なんてあり得ないっすよ!」


「そ、そうなのか……」


「そもそも、本来なら記者ってのは警察や護衛官、医療従事者なんかと並んで男性相手でも平然と業務をしないと駄目な職業っす!……だってのに、最近の記者は本当に腑抜けばっかりで……」


「分かったから、それ以上は言うな!」


何というか、写美は記者って仕事に並々ならぬ誇りを抱いてるんだな……


ちなみに、この世界では多少のトラブルまでは男性が優遇されるものの、流石に重罪を犯した場合は捕まって生涯を種馬扱いされて過ごす事になる。


なので、この世界の男性は犯罪にならない範囲で好き勝手している場合が多かったりする。


「……という訳で、明先輩には色々と取材をさせて欲しいんすけど……」


「写美さん、お兄様を困らせないでください」


「写美、光華を怒らせたら面倒臭いのですから、先にそっちの了承を取って欲しいのです……」


「……そ、そうっすね……」


写美、悪い奴じゃなさそうなんだが……


光華を先に説得出来なきゃ厳しいぞ?


「ちなみに、写美の異能は何なんだ?」


「え?……興味あるんすか?」


「まあ、長い付き合いになりそうだしな……」


「へぇ~、そうっすか~」


これは警戒の意味もある。


こういう新聞部を敵に回したらヤバいのは、学園モノでよく……とは言わなくても、たまに見かける展開だしな。


「……あ、何か見返りを求めるなら聞かないぞ?」


「別に求めないっすよ。……こんなので手に入る情報なんてどうせ下らないものっすし」


「そうか……」


「……で、アタイの異能っすけど……見て貰った方が早いっすね!」


写美はそう言うと、首からぶら下げたインスタントカメラを空に向けて……


「な、何をやって……」


「あ、あの烏なんて良さそうっすね!……はい、チーズっす!」


ーパシャッ!


「え?……飛んでる烏を撮ったのか?」


写美は飛んでた烏の写真を撮ったらしく、すぐにその写真が現像されて写真が出て来た。


「さて、この烏の写真っすけど……【写像複製(プリンター)】っす!」


「カァァァァァ!」


ーバサバサバサッ!


「っ!?」


写美が【写像複製(プリンター)】と唱えた瞬間、写真に写っていた烏が実体化したのだ。


代わりに、写真の中の烏は消えていたが。


「ふっふっふ!……これがアタイの異能、【写像複製(プリンター)】っす!……ちなみに、これで実体化させた複製体は最長で1日は実体化し続けるっす!」


「カァァァァァ!」


「……やっぱり、この高校に入るだけあって凄い異能だな……」


写真の中身を立体化させる……


これは凄い異能だな……


と思っていると……


「……そんなに褒めてくれてるところ申し訳ないんすけど、あんまり良い異能じゃないっすよ?」


「いやいや、充分凄いだろ」


「そうでもないんすよ。……例えばこの烏、空も飛んで本物らしく動いた上で私の命令も聞くんすけど、問題は本物の烏よりも弱いって点なんすよ。……しかも、本物の烏とはコミュニケーションもとれないっすし……」


「……え、そうなのか?」


「そうっすよ!」


……本物より弱い上に、本物とコミュニケーションもとれないって……


かなり使い処が限られてくるな……


「あ~、他の物を実体化させた場合は?」


「無機物は基本的に本体よりも弱くなってたりスペックがダウンしてたりっすね。……逆に生物の場合、弱くなる上に自我もなくそれっぽい行動を繰り返すだけっす」


「……えぇ……」


あれ?


もしかして、意外と欠点多めか?


「だからまあ、使えるかどうかは時と場合次第っすね!」


「そんな胸を張って言える事か?」


「うぐっ!……ま、まあ今回は取材は無理そうっすからひとまず退くっすけど、次こそは取材を受けて貰うっす!」


「カァァァァァ!」


「君は取り敢えずどっか行くっす!」


ーバサバサバサッ!


そうして写美は烏を何処かへと飛ばすと、この場をすぐに去ったのだった。


そして、その直後……


「おや?……さっき、カメラを首からぶら下げた女の子が走って行ったけど……」


「何があったか、ボク達にも教えてよね?」


……遅れて秀光と彩ノ進がやって来た。


「あ~、実は……」


そうして俺は、何があったかを2人に伝えた。


「なるほど……光華さんに取材拒否されたと……」


「でもでも、異能まで見せてくれたのは破格だよね?……かなりイマイチっぽいけど……」


「……退いたタイミングと言い、もしかして俺の言葉が写美を傷付けちまったか?」


「いや、写美も自虐してたからそれはないのです」


「……なら良いんだが……」


結局、俺の言葉が写美を傷付けたか分かるのは写美本人だけだしな……


「ま、ボクは大丈夫だと思うよ~?」


「……彩ノ進に何が分かるんだよ」


「だから、アヤノって言って欲しいんだけどな~」


「……それをすると、マジで戻って来れなくなりそうだから嫌だな」


彩ノ進、見た目と言動はマジで可愛い女性にしか見えないんだよなぁ……


しかも、声も女の子にしか聞こえないし……


「もういっその事、戻れなくなっちゃった方が楽だと思うよ~?」


「……本気で悩ましいから()めてくれ!」


彩ノ進が可愛過ぎるが、こいつは男だ。


それは分かっている筈なのに……俺の胸は高鳴り続けていたのだった……


ご読了ありがとうございます。


写美の異能は使い処が難しいです。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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