1.貞操観念の逆転した異能世界
新作、出しました!
……これで4作品同時連載、ですか……あはは……
(??視点)
「やあ、そこの平凡そうな男!……ぼかぁ神様だぞ~?」
「……ハァ?」
えっと……え?
何これ。
……取り敢えず状況を整理しよう。
周りは真っ白、俺は全裸、目の前には萌えキャラのお面を被った白衣の男……
……夢か幻か死後の世界の3択ってところか……
「ん?……やけに落ち着いてるね?」
「人間、あまりにも現実離れした場面に遭うと冷静になるもんだ。……もっとも、しばらくして現実を受け入れたら発狂しかねないが……」
「あ~……うん。……なら、早く説明しよっか」
「頼む」
いや、本当に何なんだよ。
夢にしろ幻にしろ死後の世界にしろ、こいつの話を聞かねぇと先に進まなさそうなんだよなぁ……
「じゃ、説明するけど……君は死んだんだ」
「……ハァ?」
「だから、君は死んだんだって。……死因はスズメバチに刺された事による……この場合、症状名って何だっけ?」
「いや、思い出したから良い」
そうだ。
確か、ちょっと外に出た時に運悪くスズメバチに遭って刺されたんだっけか。
しかも、前にも1回刺された事あったから……死んだって訳か……
そうか、そうか……
「おや?……意外と落ち着いて……」
「嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!死にたくねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「……ないね。……やっぱり、人間って死ぬの怖いんだ~」
「当たり前だろ!?……ってか、この空間何だよ!怖ぇよ!帰してくれよ!」
ああ駄目だ落ち着いてられねぇ死にたくねぇ
「帰すのは無理だね。……何せ、君は死んだんだからね」
「なら、お前は何なんだよ!……もしかして、俺をどっかの世界に転生でもさせてくれんのか!?」
「うん、するよ?」
「……へ?」
……え?
今、何って言った?
「だから、させてあげるよ?……異世界転生」
「な、何で俺なんだ?」
「ん~?……特に理由はないね。……というのも、最近神々の中では適当な魂を異世界転生させるのが流行っててね~。……勿論、そんな事したらイザナミ様や閻魔君達に苦言を呈されちゃうんだけど……どうも誘惑には勝てなくてね~」
「…………………」
……イザナミやら閻魔大王やらに苦言を呈されても尚、そんな事をするとか……神々ってよほど娯楽に飢えてんだな……
あまりのアレさに、冷静を取り戻しちまったよ。
「……ま、これが異国から来たあの神様だったら世界線を1つ作ってる所なんだけど、ぼかぁそこまで高度な事は出来ないからね~。……適当な平行世界に放り込む事しか出来ないかな。……あ、一応転生だから赤ん坊から生きて貰うけど、記憶は適当なタイミングで思い出す事にしとこっかな♪」
「え、おい!……取り敢えず、俺はどんな世界に転生させられるんだ!?」
流石に終末寸前の崩壊した世界とか、モヒカンがヒャッハァァァしてる世紀末世界は嫌だぞ!?
後、出来れば生き返らせて欲しいんだが!?
友達は居なかったけど、家族に別れは告げたいし……それに漫画の続きも気にな……
「君を放り込む世界線は男女比が1:9で貞操観念が逆転した世界だね。……しかも、一夫多妻制だからハーレムも作り放題ヤり放題だよ♪」
「なっ……」
何だその夢みたいな世界……なんて言わねぇぞ?
ハーレムなんて現実になれば女性同士のトラブルを抑え込むのがやっとの地獄みたいな生活になるって知ってんだ!
「あ~、その心配はないよ♪……勿論選ぶ人にもよるだろうけど……ちゃんと選べば寧ろ妻同士で結束してくれるしね♪」
「そ、そうなのか?」
なら、ハーレムも良いかもな……
「そしてこれが重要♪……君にはチートレベルの能力をあげよう♪」
「え?」
「ぼかぁ、チートを得た人間がいかに堕落せずに生きられるか見るのが好きなんだよね~。……ま、今のところは半々だけど……」
「な、何が半々かは聞かないでやる……」
……半分は多分、破滅したんだろうなぁ……
何か、この神の性格が悪ぃって事は分かった。
でも、貞操観念が逆転した世界でチートレベルの能力……もし異能力なら隠し通さねぇとな。
「じゃあ、そろそろ君を放り込むね?」
「……俺としては帰りてぇが、どうせそれは無理なんだろ?……だったらさっさと転生させてくれ……じゃねぇと、元の人生に未練がどんどん湧いて来ちまう」
「うん、そうするよ……じゃ、男女比の狂って貞操観念が逆転した異能世界……行ってらっしゃ~い♪」
「っ!?……おい、今何って……」
最後に聞き逃せない言葉が聞こえた気がしたが、その時点で俺はどうする事も出来なかった。
そのまま俺は意識を失い、その間に転生させられたのだった……
……………………
……………
……
…
「……いさま……お兄様!」
「兄さん、大丈夫なのです!?」
「んっ……んんっ……ん?……ああ、光華に影華か……」
全部思い出した。
俺の前世……は、今更思い出したところで関係ねぇので割愛だ。
問題は神によって転生させられた場面。
ここが男女比の狂った貞操観念逆転世界って紹介だったが……忘れちゃならねぇ要素がありやがる。
「……ここ、異能が日常レベルで存在してる世界じゃねぇか!」
「「っ!?」」
「あっ……」
そうだ、ここにはこの春から高校1年生になる双子の妹が居たんだった……
……ん?
何かやけに頭が痛いな……
……って、そうじゃねぇ!
この世界、世界人口の95%が何かしらの異能力を使えるっていう、ヒ○△カからヒーロー要素を抜いたみてぇな世界してやがった!
とか何とか考えていると……
「……お、お兄様?……頭を打たれて変になられたのでしょうか……」
「いや、兄さんは元々アレだったのですよ?」
「影華、お兄様に何て事を……」
「光華姉さんこそ、現実を見るべきなのです」
光華と影華が喧嘩を始めた。
あ、光華はオレンジの長髪ストレートとDカップ、そしてしいたけ目が特徴的な女子で、基本的に俺を盲目的に慕っている。
逆に影華は紫色のボブヘアとAカップ、そしてジト目が特徴的な女子で、基本的に俺に辛辣……というか、ほぼ無関心に近い。
「お兄様は存在そのものが尊いんです!……それこそ、お兄様の入ったお風呂の残り湯を飲めと言われたら喜んで飲める程には……」
「うえっ……いきなり気持ち悪い事を言わないで欲しいのです。……誰が入ろうが風呂の残り湯なんてばっちぃだけなのです……」
……あ~……うん……これなぁ……
言ってしまえば、光華は明らかに俺に家族以上の情を抱いているし、影華は反対に本気で俺に無関心だ。
現に、光華は事ある毎に俺に関するドン引き発言をし、対する影華は以前俺を全くタイプではないと冷淡に言ってのけた位だ。
まあこの世界、兄弟姉妹間での異性結婚は認められてたりするから問題はねぇんだが……
「えっと……そもそも俺、何で意識を失ってたんだっけ?」
「……お兄様、もしや覚えてないんですか?」
「……まあ、覚えてなくても不思議はないのです」
「ん?……それはどういう……」
そうして後ろを向いた俺は、何が起こったのかを思い出した。
俺の後ろにあったのは階段、そして床には微量な血、更に頭にも血……
……うん、階段で足を踏み外した訳か……
「……いや、俺が言うのも何だが救急車は!?」
「今呼んでいます!」
「ま、兄さんは男性なのですぐに救急車が来る筈なのです。……という訳で兄さん、男に生まれた事を精一杯感謝すると良いのです!」
「……まあ、感謝するか……」
間違っても、あのクソ神には感謝したくないがな!
結局、俺こと禍津 明はそのまま救急車で病院に搬送された。
……それにしても、出来ればもっとマシな思い出し方したかったなぁ……
ご読了ありがとうございます。
先に言っておくと、影華は主人公のヒロインにはなりません。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。