執筆が終わって4年が経ちました ――小説になろう版あとがき
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。
この作品は、集英社のオレンジ文庫新人賞に投稿しようとして間に合わず(出雲がエストニアで倒れたところで時間切れになりました)、ポプラ社小説大賞に投稿して一次で落ちたものです。
それが4年前の2022年。
落選後、なろうで投稿したものを完結させずにしばらく放置していたのですが、最近なろうで読んでくださる方がいたので、この際だからちゃんとなろう版も完結させておこう、と、カクヨムから張り付けたりして投稿しました。
更新するときにまあまあ読み返すと、一次落ちも納得できすぎてしまいます。わかりづらい面もあり、甘すぎる場面や、話の流れでの矛盾点や、ひっかかりがあったりして、お恥ずかしい限り。作者でこれだから、下読みの方にはわかっちゃいますね。読み手に対するホスピタリティが足りないというか。改めて読み返すとわかるのですが、書いていたりする投稿という算段になると、作者の堪え性のなさというか、「さっさと終わらせて次に行きたい」と思ってしまい、推敲が甘くなることがあります。
それでもなんでしょうかね。今までの人生、投稿した後読み返せない小説というものをたくさん書いてきましたが、この小説が実らなかった今でも、わりとこの作品好きだな、と思える手ごたえを感じさせてくれます。
一言でいえば「よく書いたな、これ」と昔の自分を感心してしまいます。ほんと、よく書いたな……。
人間、小説のネタやら展開を思いついたときって割と血圧が上がったりして平静でなかったりするのですが、こういう構成にする、という風に決めたときは、なんか大変なことをやろうとしているな、自分、と正気を疑ったものです。同時にわくわくしたというか、ちょっと興奮したんですよね。しかしいざ書いてみると、人の一人称が切り替わるのも初めての経験だったので、かなり苦労しました。美里さんとダニーの章は特にきつかった。
ある意味で正気と平静の間を保つのが今後の課題なのかもしれない。
そのたびにこのキャラならこう言うだろうな、と想像し、考え、一つの長編としてまとめ上げるのがいかに大変かを学びました。と、同時に章やキャラクターをコントロールする能力が欠けると大惨事になることもね……。
しかしながら、それぞれのキャラクターに愛着があり、彼らは生き物であるということもまた学んだことです。出雲はもちろんですが、瑠佳を含めた7人の語り手は、私と一緒に頑張ってくれてありがとうと言いたい気持ちでいっぱいです。
特に真一はよく頑張ってくれたな……。
物語構成の甘さ、というものはここから改稿できますが、これをもう改稿するよりも、これはこのままにして別の小説に生まれ変わらせるのもありだろう、という思いと、これはこれで好きだという思いが二つあります。
なので、この甘さは自分の自戒であり愛でもあるため、この小説はこのままにしておこうかと思います。
(あと改稿するよりほかの小説を書きたいという、創作者としては間違っていないかもしれないが小説の完成度を求める人間にしては自覚の足りない思いがあります。笑ってください)
神原出雲のソチ五輪までの物語はここで閉じますが、「神原出雲は羽生結弦にあらず」なので、彼にしか描けないスケート人生があることでしょう。4年前にもそう書きましたが、また彼のスケート人生が動き出すのかもしれません。
また別の作品で少し違った彼に出会ってくださると私は嬉しいです。
最後に。この小説を初稿から読んでくださった方、カクヨム版も読んでくださった方、書けなくなった時間を支えてくださった方。本当にありがとうございます。
特に、友人の天上杏さんには格別の感謝を申し上げます。この小説は天上さんの『氷上のシヴァ』を読んでいなければ生まれない小説でした。いい影響をいただいている友人がいることに、謝しきりです。実際に結構影響を受けているのです。あれとかあれとかあれとか。
スケート作品に限らず、また別の物語でお会いできたら、私は嬉しいです。
2026年7月20日 神山雪




