霊探偵i.LIN~花愛HANA~
DLsiteで販売している「霊探偵i.LIN~蒼空に抱かれて~」の続編を小説化してみました。
宜しくお願い致します。
自宅で眠る霊愛莉。
夢を見る。
霊界堂万里(mari.LIN)師匠「霊愛莉…愛莉ちゃん…愛莉ってアイリとも読めるわね。
アナタの通り名、i.LINはどうかしら?」
万里「霊能力者は自身の生命エネルギーである魂を削って能力を使い、他人に奉仕する職業上、みんな寿命が短いの…。
私の仲間だった人達もみんな亡くなってしまった…。」
その後
愛莉(いけない、この人を好きになっては…)(ダメ、諦めるのよ私…)
愛莉は苦悩しながら好きになりかけた相手を諦めてきた。
朝、目が覚める愛莉。(悲しい夢を見たな…。)
コーヒーを煎れる。
霊探偵i.LIN事務所に出向くと電話が鳴る。
刑事「実は京都駅から少し離れた個人事業の会社が火事になり、死者が結構出ましたが、発火の原因が見つからないためアナタに依頼したいと思いまして…。」
愛莉「わかりました、今から現場に向かってみます。」
愛莉が出向くと
社長と娘がガックリうなだれていた。
愛莉「被害者の若原将さんと娘さんの若原将子さんですね?」
若原将「私は出張に出て、娘は女子野球部の大会に出場していたので無事でしたが、
留守を預かっていた妻の七奈美と社員16人が巻き込まれて亡くなってしまい、会社も失ってしまいました…。悔しいです…。」
将子「お父さん…。」
悲しげな表情になる愛莉。
愛莉は幽体離脱して異次元をワープして過去をさかのぼる。
愛莉(幽体は時を超える。まれに死後の魂が過去にさかのぼって輪廻転生して生まれ変わった事例もあるの。)
放火魔を見つけて確認した愛莉は現代に帰る。
放火魔は無事に逮捕された。
若原将は妻を失った喪失感と、愛莉に事件を解決してもらった感謝の気持ちが入り交じり、愛莉に恋心を抱く。
若原将「あの、i.LINさん、是非ともお礼をさせて頂きたいのですが…。」
愛莉「え?あの、お礼は報酬の謝礼金で頂きましたので…。」
(あ、そっか…奥様が亡くなられて寂しいのね…。
まあ、この人の寂しさがまぎれたり、楽しくできて立ち直るキッカケになるのなら、ちょっとくらいだったらイイかな…。)
一緒にドライブしたり、食事したりする。
愛莉(この人と一緒に居ると楽しい…。なんだか心が安らぐ…。
ハッ、イケないイケない…私ったら…。)
夜空を見上げる若原将「i.LINさん、突然こんな事を申し上げてもしかしたらヘンに思われるのを承知で言わせて頂きますが…。」
愛莉「…ではい、なんでしょうか?」
若原将「実は、その…私、i.LINさんの事を好きになってしまいまして…。」
愛莉
若原将「どうか私と一緒になって頂けないでしょうか?
絶対に幸せにしてみせますので!」
涙を浮かべる愛莉。
若原将「ど、どうされました…?私、何かイケない事を言ってしまったのでしょうか…?」
愛莉「実は……霊能力者は自身の生命エネルギーである魂を削って能力に変換して他人に奉仕する職業なので、短命なんです…。」
若原将「な…長生きできないんですか…?」
愛莉「霊能力者の多くは40代で亡くなられる人が多いですし、それで私、自分が恋をして相手を悲しませるくらいなら一生誰も好きにならないようにしようと…。」
若原将「え?も、もしかしてしょ、処女…なんですか…?」
真っ赤になる愛莉「は、はい……。」
若原将「う、嬉しいな~、私と出会うまで誰ともお付き合いされた事が無いうえに処女だったなんて~!
よけい大切にしてあげなければならないという気持ちになりました!」
愛莉(た…大…切に…してくれるの…?)
若原将「i.LINさんの残されている時間が短いのでしたら、尚更早く一緒にならねばなりません!
時が惜しいですし、できる限りの時間一緒に居たいです!」
若原将に惹かれて行く愛莉。
帰宅後、布団の中の愛莉(私が早く死んだら、若原さんは…将さんはその後ずっと独り身で過ごすのかしら…?
それとも…今回前の奥様が亡くなられたら私を好きになった時みたいに、私が死んだら他の女性を好きになって一緒になるのかな…?)
次の日の朝、愛莉のスマホにメールが来る。
若原将「今日の3時頃、i.LINさんにプロポーズしたいと思い、京都駅前にてお待ちしております。
もしOKでしたらお手数をおかけしますが駅前までいらして頂きたく願います。」
ツラそうな表情を浮かべる愛莉。
4時。
腕時計を見る若原将(あ~あ、フラれちゃったか……。)
引っ越し業者のトラックに荷物を積ませ、新幹線に乗る愛莉。
愛莉(ゴメンなさい、将さん……。やっぱり私、自分の苦しみは自分一人で背負っていたいの…)
京都を去る愛莉。
~完~
読んでくださり誠にありがとうございました。