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それは突然現れた。
ルーフを中心に6つの魔法陣が地面に浮かび上がった。
浮かび上がった魔法陣は次第に光を増していき、周囲を光で染める。
光が去った後には6つの影が残った。
あるモノは、超絶美形な男。
どこまでも染み渡る様な黒髪、
白い部分の無い光沢を伴った黒目、
黒いスーツ姿なのに気品ある佇まい、
悪魔を象徴するかの様に尻尾が付いていた。逆に言えばそれ以外はただの人間にしか見えない。
またあるモノは、見た目は幼女。
幼げな顔に似合わぬ白髪。
しかし、良く見るとその髪は極細の透明なチューブでできている。
また、彼女が人間ではないとすぐわかるのは、上半身と下半身を繋ぐのが歯車のみである事。大小様々な歯車がカタカタと音をたてながら回っていた。
またあるモノは、一言で言えば獣。
それは馬の様で馬でなく。
狼の様で狼でなく。
熊の様で熊でなく。
そう、それに決まった形はない。
対峙したモノが思う、最も気高く強い獣の姿になる。
今は雷を纏った狼の姿をしている。
またあるモノは、美しい人魚。
空中に生み出した水の玉の中で、優雅に漂う姿は、明るい青色の髪に、胸元は何かしらの水草から作られた水着で覆わており、下半身は美しい髪と同じ色の鱗に覆われていた。
またあるモノは、アンデットのマミー。
全身を包帯に巻かれているが、その大きな双丘ははち切れんばかりに自己主張をしている。以外と包帯は新しい物だとわかるくらいに解れも汚れも見当たらない。
またあるモノは、パッと見は妙齢の女性。
他の5人?に比べ、人間の様に見えるが良く見ると違う。
その肌は白樺の様な白い木。
髪も緑色かと思いきや、細い蔦。
服装は大きな花を逆さにして着込んでいた。
突如として現れた6人?は呆気に取られていたエバン達3人と、これから起こる事に半ば諦めの念を抱えたルーフとピノをよそに、一斉に話し始める。
「ルーフよ、あの屋敷を出る時は我と一緒だと言っておっただろう?」
「マスター、ココハ危険。コロニーイコ?」
「ルーフ、お前さんまだそんな貧弱な体をしとるのか。肉を食え肉を。」
「ル〜フ、ご飯〜食べに〜行こ〜」
「フガフガ、あー鬱陶しい。包帯巻かないマミーがいてもいいと思わん?ルーフ」
「ふふふ、皆んな元気ね。ルーフも元気そうで安心したわ。」
口々にあーだこーだと話しかけられ、ルーフとしても混乱していた。
友人達に会えての喜びと、これから起きるであろうイザコザを思い、ルーフは1人ため息をついた。