歩み出した道
カルザーバス王国のとある食堂の庭先に、アルスがいた。
朝日も昇りきっておらず冷たい風が吹いているにも関わらずアルスは、剣を構えていた。
見る人が見れば、瞳には強い決意のようなものが窺えそうな何かを宿しながらアルスは、剣を正目に振りかぶり頭上まで上げたら地面まで振り下ろし剣先と地面の間が10センチぐらいのところで止めていた。
この動作をゆっくりと、何処の筋肉を使っているか確かめながら行っていた。
ある程度地面を斬ったら今度は、斜めに下ろす動作も入れだした。
「ハァハァ ハァ」
いくらゆっくりと、素振りをしているからといっても真剣に集中すると疲れてしまう。
アルスは、息を切らしながらも素振りを止めようとしなかった。
次第に出てくる汗にも構わず今度は、水平に斬る動作も入れだした。
ある程度行うと徐々に素振りのスピードを上げはじめたところで、
「アルスご飯よ」
気がつくと朝日は、昇っておりパンの香ばしい臭いが香っていた。そんな時後ろより草を踏みつける足音が近づいてアルスが後ろに振り返ると、茶色いロングの髪をなびかせたアルスの叔母が立っていた。
「ご飯冷めちゃうわよ」
何時もの事ながら、呆れる叔母の声その声を聞いたアルスのお腹はグゥーと返事を返した。
「ご飯食べたら汗をお風呂で流しなさいね。今日から学園が始まるんだから。そんなんだと女の子にもてないわよ。」
それもそうだと思ったのかアルスは、頷きながら
「先に汗流してくる」
と、お風呂場に向かって走った。
叔母は、優しい顔をしながら
「家の中で走っちゃ駄目よ」
っと注意をするもアルスの耳には、届いておらずその言葉は、空をきった。
「おーい、リリア」
男の声で叔母を呼ぶ声が響いた。
「此処にいたのか」
男の正体は、カリムであった。カリムは、両手でお腹を触りながら空腹なのをアピールし
「朝ご飯にしよう」
優しく呟いた。