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旅立ち

「これがワープリングかぁ……」


 マリンちゃんを助け、村長の家まで送り届けた後、みんなは一旦ログアウトするらしくパーティを解散した。


 俺は村長の家のある高台に座り、月に照らし合わせながらまじまじとワープリングを見つめていた。やっぱり自分たちの力で何かを手に入れるっていうのはいいよなあ。

 

 ワープする感覚があまりにも新鮮で、この高台から飛び降りている途中でワープリングを使い村の入り口まで戻る、なんて遊びを繰り返していた。そんな遊びにも飽きて来た頃。


「さて、と。そろそろこの村から旅立ちますかね」


 村は相変わらず大勢のプレイヤーで賑わっている。これからの俺の冒険はどんなものになるだろうか。


 旅立ちは朝日と共にというのがテンプレだが、夜に旅立つっていうのも趣があっていいと思う。


 薬草はたくさん持った。全滅の心配はないだろう。まあ、危なくなったらワープリングでこの村に戻ればいいのか。


 なんだかイマイチ緊張感がないなと思いながらも、俺は村の出口に向かう。相変わらず村の出入り口は募集の場となっていた。


 せっかくだし、ここで次の町まで一緒に冒険してくれる仲間を募集しようかな。ソロも悪くないけど、すっかりパーティプレイの楽しさを知ってしまったので旅は楽しいものにしたかった。


「俺と一緒に次の町までいきませんかー!?」


 何度か叫んでみたけど、なかなか集まらない。ほとんどの募集がレベル上げや、ボスの討伐の募集ばかりで、俺の募集なんかお門違いって感じだった。


 やっぱり一人で行きますかね。そう思って村から出ようとしたとき。


「ちょっと待ってください。次の町に行くんですよね? 俺もいいですか?」


 派手なピンクの髪をした青年のアバター。“とっしー”という名前の戦士が俺を追って声を掛けてきた。


「もちろんいいですよ。なかなか集まらなかったんで一人で行こうとしてたところだ」


「俺はとっしーって言うんだ。よろしく!」


「俺はスカイ、よろしくな」


 がしっと、握手をして2人で村から出る。


「俺、中二なんですよ。スカイさんは?」


「えっ、俺は……」


 リアルのことを聞いてきた人は彼が初めてなので驚いた。あまりリアルのことは話さない方がいいって聞いたことがあるけど、フレンドを増やしたいって気持ちもあって、話してあげることにした。


「中三だ」


「うわ、歳近いっすね」


「だな」


「ボス強くなかったっすか? 俺戦士だったからなかなか募集に入れなくって」


「強かったな。俺一度全滅して、薬草使ってのごり押しでようやく勝てたよ」


「マジかー、俺、3回くらい全滅したかも」


 とっしーって言う名前の男はよく喋る喋る。俺が知っている中二の後輩よりもなんとなく大人びているような気がする。容姿のせいもあるのかな。


 歳が近いこともあってか話は盛り上がった。そのせいかあっという間に次の町、マレットの町に辿り着くことが出来た。


「いやあ、楽しかった。フレンドいい?」


「もちろん」


「サンキュ。ホントはもっと一緒に冒険したいけど、そろそろ飯食いに行かないと親に怒られちまうから落ちるわ。またな、スカイ」


「うわ、俺んちみたい。じゃあな」


 そうしてフレンド登録を終えると、とっしーはログアウトした。ログアウトすると自動でパーティから外れるようだった。


「ここがマレットの町か……」


 大きな灯台があるのが印象的だった。奥に広がる海には大きな船が泊ってある。あの船に乗って他の大陸に移動するのだろうか。


 マレットの町はクレーア村とは異なり、人間以外の種族がちらほらと見かける。あのケモミミが飛び出してるキャラは獣人かな?


 とにかく、真新しいものばかりで風景を眺めているだけで飽きない。こちらもたくさんの人が歩いていて何度もぶつかりそうになる。


 これで他のプレイヤーにも追いつけたのかな? 5日という遅れを取り戻すことが出来たんだろうか。


 ――まあ、そんなのはどっちでもいい。俺はもっともっと強くなる。最強プレイヤーとなってこの世界に名を刻むんだ。


 心の中でそう決意した夜だった。


第一部完結


よろしければランキングタグに設定している“VRMMOで知り合った彼女がネカマのギルドマスターに寝取られていた”も読んでみて下さい!



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