平和だにゃん
私は毎朝、同じ道を通り、同じ家の前を通る。朝のお散歩だ。
その家のお庭を首を伸ばしてじろりと覗くと、いつも可愛い猫たちがいる。
毎日同じ猫がいるわけではなく、首輪のしていない、白や黒、濃いトラや薄いトラなど、様々な猫を見かけるので、飼い猫ではないようだ。
そのお家のお庭は、とても広くて、芝生が生い茂っている。縁側もあり、日向ぼっこをするには最適な場所だ。
その縁側の1番日が当たる端っこの部分には、猫1匹分(畳10分の1くらい)の正方形の可愛い畳が敷いてある。おそらく、その家の住人が近所の可愛い野良猫たちのために設置したのであろう。
猫は、毎日いるわけではなく、いない日もあるが、だいたいその畳の上で寝ていることが多い。
ついこの前は、その猫1匹分の畳に猫が2匹乗っていた。つまり、猫の上に猫が乗っていた。濃いトラ猫ちゃんの上に、交差するような向きで薄いトラ猫ちゃんが乗っかっていた。
最近は寒くなってきたので、上の猫ちゃんはお腹が温められて、下の猫ちゃんは背中が温められるのであろう。
朝から、可愛すぎて心が温まった。
白い猫ちゃんは、たまにしか現れない。目をクリクリさせて、まるでどこかの国のお姫様のようなお顔立ちだ。きっと、その美しさのあまり、悪い魔女の魔法で猫に変身させられてしまったのだ。
黒い猫は、家の周りを自由に歩き回っていることが多い。そのお庭だけではなく、お隣のお家や物置、細い路地、家と家の間の塀など、近所の様々なところで見かける。きっと、ここら辺のことは全て知り尽くしている賢い猫ちゃんなのだ。
朝のお散歩中、いつもそのどれかの猫ちゃんたちと目が合う。
私も猫たちに、「またいるよ、こいつ」と、じろりと見られているのであろう。