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ーただひと時の安らぎを求めてー
辺りは薄暗く、街の明かりが天井を折り返して僕の目の中に入り込んでくるのみだ。空調が効き、心地よい涼しさが顔と足元を包み込む。しかし、身体は毛布に包まれていて暖かく、寒暖のコンビネーションが一日の終わりの睡眠を心地よいものにしてくれている。ありふれているがささやかな幸福に意識ごと飛び込もうとする。しかし、できない。させてくれない。何者かが飛び込もうとする意識を掴み、強引に引き戻す。ここ数日繰り返されるこのやり取りにこれさえ無ければと落胆と諦めを感じる。僕は仕方なくその夜行性のそいつに付き合うことにする。これは僕と彼の夜の安らぎをかけた闘争の記録だ。