情熱の引き算
前よりマシになった
今回は多分1話で終わりません
冒険者の仕事は楽ではない。
何かを成し遂げるには必ずたゆまぬ努力とそれを支える才能が必要だ。俺にはありえないほど足りなかった。みんなにはどこか少し足りなかった。
それだけだ。
5年前に大成することを一緒に夢見て固く誓い合った仲間たちはそれぞれの綺麗さを求めるあまりすみずみまで擦過傷なんて目もくれず血なまこになって尖らせ、光沢に気づいたら自分達は極限まですり減ってた。
今にも人を風景になさんとする濃厚な夕日のもと、あの時の約束の地に来た。五年。
··········
まあいなかった。
強さを求めた勇敢なる少年共はもういない。
しかしだ、今日はこんな昔に浸るために来たのではない。
いや、だけど今が1番執念に染まってるかもしれない。
剣が振れずに茨の道1歩目で誰よりも早く諦めてしまった
自分はまもなくして蒸発してしまうだろうと思った。
そんな矢先に魔導書が家に届いた。
曰く付きでとても素人が扱えるものでは無いとは聞いていた。
しかし、買った当時はある意味で滾るような燃えがあって何でも出来る気になったのに任せて勢いで購入。かなり昔のもので届くのに時間がかかると聞いたが、こんな夢折れた時に届くなんて。
こんな庶民でも買える魔導書だ。どちらかというとおふざけの意味合いが大きいだろう。知識を得ようとする前進の姿勢というよりは後退という強さからの決別の意味で読んだその書はまるで何が書いてあるか分からなかったし異常だった。
まず、普通に魔導書というものは筆者の魔力により自然保護されてるはずなのにものすごくボロボロだった。
そして文字数も少ない割には見たことも無い図や表が記されていた。
さらに神聖な書物にもかかわらずひどい落書きだらけだった。
いたずら書きの字が汚いのも頂けない
読めないと言ったが落書きは読めた。
別にバカ丸出しのラクガキではなくそこには真面目に対価交換の魔法について書かれていた。にしても書く場所ぐらい他の紙とかあるだろ。
でも、後に分かった。
これは物から物へのただの対価交換ではない。
対象が生命までに拡張された超エキセントリックな殴り書きだった。
しかも、そこには人の命1個で10%の確率で握力0.3kgUPという常識の対価交換を超えた恐ろしく効率の悪い仕様になっていて…
僕は最強系は嫌いなので主人公を無条件にムキムキに強くはしません。
近いうちにすぐ投稿したいな