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ただひとつのもの

作者: 東京水平

 全てが欲しかった。全てを手に入れる旅に出た。妻と共に出発し、道中も妻と共にあった。思えばずいぶん無理をさせていた。


 妻の身体は疲弊した。それでも私は旅を続けた。妻は一言も文句を言わなかった。気づいたときには手遅れだった。


 妻の身体は動かなくなった。どんなに恨まれているかと思った。あなたの道が光の先へ届きますように、妻がそう言った。恨まれていた方がましだったかもしれなかった。


 泣きながら旅を続けた。光の先で私は全てを手に入れた。なんにも感じなかった。ただただ空しかった。


 何もいらない。全てに代えてもいい。あなただけがいてくれたら。あなたがいてくれたから。


 二度と手に入らないものがあると知った。全てを捨てても手に入らないものがあると知った。一番欲しいものは最初からそこにあった。ただひとつのものがそこにはあった。

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