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傭兵の為に鐘は鳴る  作者: すいきょう
第二章 或る旅人達の協奏曲
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新人冒険者編⑨ アトル、忠告する

「なんというか・・・アトル殿は、その・・随分、手慣れているな」

ギルマスに誉められた。

「そうかい?いやぁ・・照れるなぁ・・」

テレテレ。

なんだかたどたどしいのが気になるけど。


「誉めてない誉めてない」シシットが茶々を入れてくる。

「・・え?そうなの?」

ほんと?ギルマス?

「・・・無論、アトル殿の手並みに感服している、ということだ」

何度も首肯しながら言った。

「ほらみろ、シシット」

「・・そうだな。俺の勘違いだったよ。悪かったよごめんよ」

誉めて伸びる子アトル君。

みんなで誉めよう。


「とりあえずは聞いた通りだけど・・・・・なにのんびりしてんです?ギルドの人と騎士団の人。はやく各所に連絡して、騎士団と連携して捜査しないと、犠牲者増えるよ。ヴィンガーにも連絡入れて捜査してもらわないと。

アイルゼンの民を食い物にする “敵” だよ?」


お茶を飲みつつ急かしてみると、ギルマスの目に凶悪なまでの光が宿った。

「コルロ」

「はっ!」

長髪さんが弾かれたように部屋をでてった。


「こちらもすぐに対応せねばならんので失礼する!」と騎士団の副長さんも席を立とうとしたけど、

「ああ、それはちょっと待って」と出ていこうとする騎士団の副長さんを引き留めた。

「まだ話が残ってるので、副長さんは残ってくれる?」

驚く副長さん。

「・・・ま・・まだ何かあると?」

そんなイヤそうな顔しないでよ。

「うん。一応聞いといた方がいいかな。あ、こいつの身柄はお願いできるかな?」

床で寝てるバイトを指さす。

「・・・了解した。おいっお前達、こいつを屯所まで連行しろ!ここでの経緯を団長に報告し指示をあおげ。このことは機密だ、いいな。行け」

「「はっ!」」

騎士の二人が元気よく返事をして、クタクタのバイトを抱えて出ていった。


(・・・登場も退場もグレイっぽいな・・)


アイルゼンはもう何百年も善政を敷いている、アルザントでも稀有な善良領なのだ。

そんな感じの平和な領なので、今回はその隙に付け込まれたが形だが、アイルゼンは恐ろしく郷土愛が強い土地柄でもある。

動き出したら止まらない気質がこの土地には流れているので、これ以上は俺の仕事ではない・・とは思うのだが・・。


「なんというか・・・大変なことになりましたな・・」と役所の人が呟いた。

「・・・アトル殿。まだ何かあるのだな?」

ギルマスが促してきた。


「そもそも、この拉致事件、ひとつ不可解なことがある」

名探偵ごとく、指を一本立ててみた。


「不可解?」

ギルマスが眉をしかめた。


「まず、この“冒険者狩り”共はどうやって新人冒険者を判断していたんだろうね?」

「それは・・下のロビーで観察してればすぐにわかると思うが?」

角刈りさんが困惑げ答えた。

「違う違う。ほとんどの新人ってのは、何らかの伝手があるんだよ。その5人みたいに新人が固まってることなんてそうそうない。普通、新人はギルドの募集でベテランのパーティーの中に入れてもらって、それなりの経験を積んで一人前になる、これが普通の道」

「それはそうですが・・」


部屋の隅で気配が薄くなってる人に訊いてみよう。

「ねぇ、バーコードさん」


「・・・」

「・・・」

「・・・」


おぉぅ・・頭の中が漏れた。

「・・・バーコードとは、なんでしょう?」

不思議そうに聞き返すバー・・じゃなくて、なんだっけ、あ、課長!課長さんだ!

「いえ、なんでもありません。課長さん」


訝しむ課長さん。

「はぁ・・・で、なんでしょうか?」


気を取り直す。

スーハー。


「サル頭退治は、諸々の不具合を避けるために事前申告がいるんですよね?」

「そうですな」

「申請書には、パーティー名とパーティーリーダーの資格証の提示が必要になる」

「そうです」

課長さん、表情硬いな。


「ねえ、一番最初に『バイトという冒険者の登録はありませんでした』って言ったの覚えてる?」

「・・・」

「ラベル、バイトが申請書を提出するところを見てたんだな?」

「・・・は、はい!」


「・・・なんでサル頭討伐の申請、通ってるんだろうね?」

偽造や詐称を防ぐため、申請のいる討伐の申請者はいちいち確認を受ける。

「・・・」

黙り込む課長さん。

「それも、仮にもクエストカウンターのギルド職員が、ベテラン一人に新人5人のパーティーになんかGOサインなんか出すかな?」

「・・そ・・それは」

「ラベル、その時カウンターにいたのは?」


「・・その・・その人です」とラベルが課長さんを指さした。


「「なっ」」

角刈りさんも副長さんも役人さんもビックリマークが飛んでいる。気がする。

ギルマスさんは話の途中から気づいたのだろう、それはもう凄い目で課長さんを睨んでいる。


「な・・何を急に・・そんな・・

そんなのは推測で濡れ衣ですっ!

この子供がでっち上げているだけだっ!

・・・そっちの5人とグルになって!!

私はそんな5人を見たことは無いし、会ったことは無いっ!!

私は知らない!

全部デマだっ!」


「最初、ラベル達5人がギルドに来た時騒ぎになってたな。なんで?」

ラベルに訊いてみた。

「え、あ、はい。その人が・・『あんた達エライことやってくれたな』って・・」

ラベルが思い出すようにたどたどしく答えた。


「そう、多くの冒険者がいる中で、

『君らがサル頭を街道に引っ張ってきた冒険者かっ!!えらいことをしてくれたねっ!』

・・みたいなことを言ったと聞いたよ。聞いた人結構いるらしいね。


しかし、良く分かったね?

コイツらがサル頭を退治に行ってた冒険者だって 」


「・・・ッ!!」

課長、顔真っ青。

そんなに下唇噛んで痛くないのかな。


「見も知らぬ新人冒険者5人がギルドに入ってきた。何をしてきたかなんて知らないし分からない」


「・・・」


「この5人とサル頭を結び付けられるのは、この5人がサル頭を退治しに行ったのを知ってる人間しかありえないんだよ」


「・・・あ・・ぅ・・さ・・先に!ドーマに来た目撃者から聞いてっ!」


「俺らは普通にドーマに来たけど、あの時あの場にいた馬車はどれも大型で俺らより足が遅い。徒歩の旅人はいないかった。

サル頭が出た場所からドーマまで、同じ行程を行くなら俺らも他の旅人もほとんど変わらない、いやむしろ俺らが一番早くドーマに着くことになる」


つまり、


「俺らがドーマに着いたとき、まだほとんどサル頭の件はドーマに広まっていないんだよ。それをあんたが、なぜか知ってて、広めた」


「あ・・あ・・・」


「一番早く知る方法はたった一つ。

・・・聞いたんだろ?

さっきのバイトって男に。

あの5人を置いて、馬で一番早く逃げ帰ったらしいからな。


“冒険者狩り”と繋がってるのは、あんただね?」


「・・・あぁ・・あ・・・」

・・・課長、すっごい汗かいてるな。


バンッ


議事室のドアがすごい勢いで開いたと思うと、長髪さんがすごい勢いで駈け込んで来て・・

ガンッ

あ、殴った。


「キサッ・・キサマッ・・!!誇りあるギルド職員が・・・っ!!」

ドアの外で誰かが聴いてるのは解ってたけど。

結構、熱い人だなぁ。


「冒険者ギルドの職員が冒険者を売るとは言語道断。領法に照らし合わせて身柄を拘束する。ガイドウ」

「はっ」

ギルマスさんの命を受け、角刈りさんが呆けてバーコードが靡いてる課長を引っ立てて行った。


(・・・・)


バレてないよな?

これ、さっきバイトに訊いた方が早かったことを。

俺がちょっと動揺して、訊くの忘れたことを。



「さて、ギルドマスター殿、こういう結果になったね。どうする?」

この辺で一回、張っとこうか。


「・・・君の意見を聞こう」

ギルマスさんが疲れた様に俺の意見を促してきた。

「俺がここに居る理由は・・」

「・・・この5人の処分、ということか」

ギルマス、思い出したように後を続けた。もしかして忘れてたのか?


「どうなるの?」

ギルマスではなく、長髪さんが答えた。

「・・・情状酌量の余地はあるでしょう。しかし、この件と魔物を街道に誘導したのは別の問題だ。資格はく奪が妥当です」

うーむ。

騎士団の副長殿を見る。

「無論、この5人の冒険者に過失はありましょうが、住民からの被害届は出ておりませんし、領の法では騎士団の権限は彼らを拘束するまでです。

・・今はそれに相当する状況ですな。

それ以外に我らが動くのは代官殿などの上の方からの命令のみです。

後はギルドの裁定だけですな」

と言って、セレネ・アイルゼンを見た。


彼女はアイルゼンの支配者一族。

ドーマ代官は彼女の夫、バルザ・アイルゼン。

つまりは、この地のあらゆることの決定権は彼女にある。


しばしの沈黙の後、彼女が口を開いた。

「・・・規則は曲げる事は出来ない。相応の罰則は必要だ」


ふむ。まだか。


視線を、5人の新人冒険者へと向ける。

ちょっと早めに畳みかけているので、状況についていけないのかキョロキョロしている。

「・・・お前ら、まだ冒険者やりたいか?今回の事で懲りたろ?」


「・・・わ私は・・・」

ライラが何か言おうとしたが、被せて言う。

「今回は死ななかった、連れ去られなかった、ただ運が良かった」

「・・・」

黙り込んでしまうライラ。


「でも次は死ぬか売られるぞ。5人もいるんだからみんなで行商人でもなった方がいいんじゃないか?死ぬ気で探せば町での仕事だってあるかもしれない。しんどいだろうけど死にはしない。

今が人生を決める最後のチャンスかもしれない。よく考えて答えろ」


「・・・アトルさんは・・なんで傭兵になったんですか?」

真剣な顔でラベルが訊いてきた。


「今は傭兵をやってるだけだ。将来は魔術師になるかもしれないし。菓子職人もいいが、食う方が好きだからな思案中だ」

「僕らだって・・冒険者になるしか・・」

「意識も立ち位置も違う。

俺の生きてきた直線状に傭兵があったが、“傭兵”は俺にとって今立っている場所だ。終着点じゃないし、俺はそれを知っている。

じゃあ、お前達はなんだ?

まさか一生冒険者で食っていけるとは思っていないだろう?

冒険者をしながら将来の道を探すか?

見つける前に死ぬ可能性が高いな。


違うというなら、お前達はもっと真剣に冒険者として死なないように生きていけるよう考えないといけなかった。

幼馴染みと一緒に冒険者になって冒険をする。

アホか。

冒険者として生きていくなら、まず一人ひとりちゃんとプロの冒険者に混じって経験を積むべきだった。

信頼できる師を探し、生きるすべを学ぶべきだった。


知ってるか?

ここの1階の掲示板の脇に、“冒険者狩り”へ注意喚起の張り紙があった。それすらお前らは読まなかった、有る事さえ知らなかったんだ。

こんなギルドの初心者講習なんかクソの役にも立たないと、ちゃんと考えるべきだった」


ギルマスをはじめ、ドーマの冒険者ギルドのトップを見る。


「アトル殿・・それは言いすぎでは・・」長髪。


「勿論、偏見で言ってるわけじゃない。

俺はアザレアのギルドで臨時の戦闘訓練の教官もしてるし、あそこの講習も俺が行き始めた頃は酷いもんだった。

ここの講習の内容はこの5人から聞いている。


ただの施設とサービスの説明じゃねぇか。

戦闘訓練と評価が冒険者の任意ってどういうことだよ。

それも訓練時間が1日2時間を1週間だと?


ふざけんなっ!


新人冒険者を殺してんのは、ギルド! お前らなんだよっ!」



昔、一組の冒険者のパーティーが死んだ。

同じ村の幼馴染み同士で冒険者になったと言っていた6人組だ。

先生と一緒に旅をしてる時だった。

たまたま目的地が一緒だったので、道中、共にバカ騒ぎしながら旅をしていた。

バカで気のいい奴らだったが、やっと新米からちょっとだけ足が出たような奴らだった。

楽しいやつらっだったけど、

・・・とてもダンジョンで通用するような実力じゃなかった。


そいつらが、冒険者ギルドから勧められるままにダンジョンへ入って死んだ。

ギルド職員に奴らがダンジョンに入って行ったと聞いた時、全身の血が落ちたような感覚になったのを今でも覚えている。

その時にはもう後の祭り、慌てて俺が駆けつけた時にはもう、全員、魔物に食い散らかされた後だった。


なぜ、ギルドは実力も不明な冒険者に、未踏の新興ダンジョンを勧めたのか?


「未踏価格の入場料が取れるから」だってさ。

「ダンジョンの入場者数がギルドの成果になるから」だってさ。

「ダンジョンの踏破率がギルドへの名誉になるから」だってさ。


ああ、あいつらは、数を増やす為に、死んだのか。

俺が冒険者ギルドに不信感を持ったのはあの時からだ。



「私は・・それでも冒険者になりたいです」

ライラが真っ直ぐ俺を見て言った。

「・・・なりたいと思ったんですっ!一番っ!冒険者にっ!」


別に理由など聞かない。

これは理由の有無や強弱の話じゃないからだ。


「僕もなりたいですっ!!あの人達みたいな本当の冒険者にっ!」

「俺もっ・・俺もなりたいっ!」

「・・・私もっ」

「・・・・」

何も言わずとも、ドンコウの目は雄弁だな。

ゆっくりと一人ひとり目を合わすが、誰一人、目を逸らさない。


「後悔しない?」


「「「「「 はいっ!! 」」」」」


ふむ。


「セレネ・アイルゼン殿。司法取引をしようか」

別にここ裁判所じゃないけど。

「司法・・取引?」

聞きなれない言葉なんだろう、首を傾げている。

「5人の減刑と引き換えに、これを渡そう」


俺は先ほどシシットから受け取った封筒を見せた。


「その封筒が・・なんだと?」

「見ればわかる。この5人の処分より重大だと言っておこう」


「断れば?」

「燃やす」

「・・・しかし・・」

逡巡するギルマス。

「別に無罪放免にしろと言ってるんじゃない。資格を剥奪しないことと多少の情報操作でいい」

「情報操作?」

そう、みんな大好き情報操作。


「こいつらが街道にサル頭を連れてきた事は、バイトにネトられたくらいの所為にして流してくれればいい。その上でこいつらに“不確認不注意”くらいの罰をつけてくれれば」

「随分なことを要求するのだな」

「腹芸くらいできるだろ?」

「・・・・その書簡、それほどのモノなのか?」


「ラクティアがある」


「・・・・・」

どんどん、セレネ・アイルゼンの目が見開かれていく。

この意味が解るのは、俺とシシットとセレネくらいだろう。

他の人間には・・分らないだろうな。


「・・・・本当・・なのか?」

「この期に及んで嘘をつくように見える?」


しばらく考え込むように、瞑目するセレネ。

いろんなモノを秤にかけてるんだろうなぁ。


「・・・いいだろう。要求を呑もう。確認だけさせてくれ」

「セレネさまっ!?」長髪さんが慌てるが無意味。


封筒をギルマスに渡す。

しばしギルマスが書面捲る音だけが響く。

「・・・!」

ギルマス目が一枚の紙を目にして見開かれた。


紙の束は・・いわばブローカーというかクライアントからの指示書がほとんどなんだがなんだが・・問題はその中の一枚。

『・・商品は十代の男女を10人用意してもらいたい。できれば魔術が使用できる人間を一人か二人。手段は問わないが傷はつけないこと。受け渡しは・・』


問題は文ではない。

紙の方だ。


理由は不明だが、何故かこの一枚だけ“透かし”が入っている。

とてもマズイ“花”の透かしが。


「これは・・・実にまずいな・・」

「それが紙くずになるか切り札になるかは伯爵次第だろ」

「そう・・・そうだな・・・」

そう、これ結構重大な事なのだ。

使い方によっては洒落にならないことになる。

でもあとはアイルゼンの問題だ。



「とりあえず、お前ら、今回の事反省しまくれよ!?」


「ア~ニ~キ~~~~」

ぐわっタッカーが抱き着いてきた。

男に抱き着かれて喜ぶ趣味は無い。

「アトルさん・・いや先生っ・・・ありがとうっ」

テプラまで抱き着いてきた。タッカーを無理やり引きはがして。

「て・・テプラ・・先生って・・?」

「・・先生!そうアトル先生!」

ライラまで。

イヤな予感がする。

「うんうん、アトル先生、かっこいいんだ」ドンコウ

「お願いしますアトル先生っ僕たちに教えてくださいませんかっ!

冒険者として生きてくすべをっ!!」

ラベルが頭を床に着けんばかりに下げる。


「俺は傭兵だっ!」


どうなってんだコレ?

どうしてこうなった?


どうしていいかわからず視線をさ迷わせていると・・

議事室のドアが開いていて、

そのドアの影から、クーが半分だけ顔を出して見ていた。

(来てたの?)と目で問うと、

なんか人に囲まれて美味しいものを一杯貰ったイメージが返ってきた。

(ああ、よかったね)

クーは前足を雄々しく上げた。



「あともう一つ・・・ギルマスさん、心の端に留めておいて欲しい事がある」


要件は済んだ。

とりあえず落としどころとしては上々だろう。

聴聞会の面々は忙しそうに部屋を出て行った。新人5人は先にロビーに行っているように指示した。

俺とギルマスだけが部屋の中に残っている。


「まだ・・なにかあるのか・・・」

随分お疲れのようだ。

偉い人は辛いね。


「あんなもの、貴族なら通常こんな事に使わない。身バレと一緒だ」

「・・・それはそうだろう」

貴族では常識のことだ。知らない方が可笑しい。

「もともと偽造防止の仕掛けなんだ。このアルザントの貴族で、ソレを知らないものがいると思う?」

「まさか。アルザントの貴族なら当然・・・」


ピタっ・・とギルマスの動きが止まる。


「そう当然知ってる。でもアレを書いた人間はソレを知らないらしい。おかしいよね」

「・・・・それは」

「実はああいうのは他の国でもあるにはあるんだけど、アルザントのは魔術で仕込むから一見では分かりづらい。貴族と付き合いがあるような御用商人クラスなら、まあ知ってることだけど、知ってるならこんなことに使わない。使えない。


知らないなんてまるで、この国の人間じゃないみたいじゃないか?」


「・・・」


「昔俺が先生と一緒に潰した人身売買組織の話は覚えてる?」

「ああ、さっきの・・」

そう、さっきの。

「その組織のブローカーの名前が・・・ニーフ」


「・・・・え?」


「組織の名は【闇神の耳(ネフィアム)】。神聖王国にある組織・・・だったよ」


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