IT2015年03月17日
-----IT2015−03−17−07:45----
「この位で、いいかしら??」
私は、庭の家庭菜園・・・と言うより薬草畑で薬草の採取をしている。
と言うのは、昨日大量に買い取った月光草をマナポーションに加工する過程で使う薬草も足らなくなったからだ。
「ま、薬草なんかは、庭で作れるから困らないんだけどねぇ♪」
問題は・・・300本もあるのよねぇ・・・
私が、本気でマナポーションを作ったとして・・・一日100個・・・くらいかなぁ?
それで消費する月光草は大体・・・50本だから・・・
・・・600個!?
半年持つわ・・・コレ・・・
適切な処理をしておけば、月光草は長持ちするのが救いね。
私は、今日加工する分の薬草等を採取すると、工房に一旦置いて店に入る。
そろそろ、08時。店を開ける時間。
ぼーん、ぼーん、ぼーん・・・
店にある大きな古時計が08時を告げる音を鳴らす。
それでは、本日も営業開始。
私の名前は、フレイア。
みんなは親しみを込めて、『フレイ』と呼んでくれます。
ここ・・・アースの田舎町の片隅で、母から受け継いだ魔法の道具屋を営んでいます。
いらっしゃいませ。『フレイ魔法道具店』へようこそ。
-----IT2015−03−17−08:15-----
私は店を開けると、早速工房へ籠りマナポーションの製作に取り掛かる事にした。
「今、在庫0だもんねぇ・・・」
昨日と同じように、ポーションの製作から。
先ず、竈の火の精霊にお願いして、鍋を火にかけて・・・
鍋の中身は、蒸留水と先程採取した薬草を数種類です。
これを一煮立ちさせ、薬効成分を抽出します。
火を落とし、きめの細かい布を通して・・・ポーションの完成です。
「うちの鍋だと、一回で10個分がやっとなのよね。」
さて、次はこのポーションを使って、マナポーションを作りましょう。
月光草は、その葉に魔力を蓄えています。
月の光を浴び、魔力をその葉に蓄える事から、その名が付いたそうです。ってそのまんまですね。
基本的にコレをポーションの時と同じ様に鍋で蒸留水と共に火に掛ける訳です。
ポイントは、ポーションも作り方が同じなのですが、薬草と一緒には火に掛けないという事です。
あくまで別々に作って、その後適正な量でブレンドする事が大事です。
「・・・あら?、何時の間にかマナポーション作成講座になっていたわ。」
結局私は、午前中ずっとマナポーションの作成をし、50個作る事が出来た。
・・・だって、一人もお客さんがこないんだもん・・・
-----2015−03−17−13:00-----
昼食を食べて、休憩・・・そして午後。
早速続きを・・・と言いたい所だけど、まずは月光草の処理をする事にする。
実はこれは、香奈さんや香織さん達の友達の双子の子・・・姉の知真さんから教えて貰ったんですよね。
用意する物は・・・
紙
だけなんです。
知真さんは、しんぶん??とか言ってたけど、なければ適当な紙でいいよ〜と言っていました。
なんでも本当は、”葉物の野菜を長持ちさせる方法”らしいですけどね。
先ずは月光草を良く洗います。この時、葉先もしっかりと洗います。
次に逆さにして05分程放置して、水を良く切ります。
水が切れたら、適当な本数で分けて束にします。
そして、ちょっとだけ湿らせた紙に包んで・・・
・・・はい、終わりです。
なんと、これだけで月光草が2週間も持つんです。
そのままだと、3〜4日で駄目になってしまうので、ビックリですね。
私は、今日のマナポーションの作成はここまでにして、残り全てにこの処理をする事にした。
-----2015−03−17−15:30-----
がちゃ。
扉が開いて、店の方に誰か来たようだ。
「フレイいる?」
「はいはーい、今店の方に行きますね〜」
私は急いで、店に戻る。
「いらっしゃいませ。フレイ魔法道具店にようこそ。」
「って、イルマじゃない。どうしたの?」
町の方で、私と同じように魔法道具店をやっている『イルマ』です。
商売敵・・・って言う事になるんだけど、昔から仲が良かったので、そんな事は気にした事が無い。
多分・・・イルマの方もそうだと思う。
「こんにちは。フレイ」
「いきなりだけどさ、フレイの所に月光草ない?」
「うん、あるよ?」
「実は昨日・・・」
「・・・な事があって、使い切れないくらいあるの。」
「昨日!?」
「って事は、近場の群生地の月光草はフレイの所に流れたのね・・・」
「実はさ、あたしの所でも、月光草切らして、昨日依頼出してたんだけどまったく来なくてさ・・・」
「あ、そうなんだ・・・なんか・・・ごめん。」
「フレイ・・・あんた、適正額で買い取りだしたんでしょうね?」
「え?100だけど?」
「なら普通ね。」
「それで、一つ150でいいから、100本ばかり譲ってくれない?」
「100でいいわよ。このままじゃ私、今週フルにマナポーションを作ることになりそうだもの。」
まあ、少し無駄が出ちゃうけど、エクスポーションなんか作るって手もあるんだけどね。
何にせよ、助かるわ。
私は工房から、先程処理した月光草を持ってくる。
「えっと、これ、一つに10本づつ包んであるわ。」
「使う時分だけ、紙を取って使ってね。」
このまま保存すれば、2週間くらい持つよと付け加えた。
「へ〜それは凄いわね。」
「詳しくやり方教えなさいよ。」
「そんなに難しい事じゃないわよ?」
良く洗って、少し湿らせた紙で包むだけ。
「フレイ。あんた・・・本当に商売が下手ね。」
「このやり方を教えるだけで、お金取れるわよ?」
「あはは、友達からはそんな事でお金は取れません。」
「じゃあ、月光草もタダで頂戴。」
「それはそれ、これはこれでーす♪」
結局イルマは、100でいいよと言ったのに、間取って・・・と130で買い取って行った。
最初に言い出した150じゃない辺りが、如何にもイルマっぽい。
ぼーん、ぼーん、ぼーん・・・
店にある大きな古時計が、17時を告げる。
「今日も一日お疲れ様でした。」
私は店に言って、工房に向かう。
店が閉店した後に、『壺』に魔力を注ぐ為だ。
先ずは・・・香奈さんから預かっている『ミスリルシールド』
「えっと・・・3日目。順調みたい。」
順調に魔力が浸透しているのを確認すると、『壺』に魔力を注ぎ充填する。
次は私の実験用。
勿論、まだ取り出さない。
「100日目でどうするか・・・かなぁ?」
私は、線を一本増やした。
-----2015−03−17−23:00-----
今日も日課になっている日記を付ける。
「今日はイルマが来た。月光草が足りなかったみたい。」
「私の方でも、依頼を出しちゃってたから、群生地の月光草が無くなっちゃったのかな??」
今日は、イルマが来ただけかぁ・・・やっぱり、お客さんが来てくれる何かをした方がいいのかなぁ?
あ、でも、いっぱい来たら来たで対処できないかも??
う〜ん・・・
まあ、何とかなるでしょう。
そう結論付けて、私はベットに潜り込む。
おやすみなさい。