表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/10

IT2015年03月16日

-----IT2015−03−16−07:30-----



「あら?月光草の在庫があと少しだわ。」


私は、工房の材料棚の月光草が残り少ない事に気が付いた。

月光草は、主にマナポーションの材料になる貴重な植物だ。


「困ったわね・・・」


先日、マナポーションの方は在庫があったので、うっかり材料の方までよく確認しなかった。

何時もは、冒険者の方に『依頼』するのだけど、採取のスキルが高くないと見つけられない。

なかなか、直ぐに条件にあう方が見つかるかどうか・・・

最悪は、私が取りに行くしか無いかも・・・


ぼーん、ぼーん、ぼーん・・・


店にある大きな古時計が、08時を告げる音を鳴らした。


「あ、あらいけない。店を開けないと・・・」


それでは、本日も営業開始。

私の名前は、フレイア。

みんなは親しみを込めて、『フレイ』と呼んでくれます。

ここ・・・アースの田舎町の片隅で、母から受け継いだ魔法の道具屋を営んでいます。


いらっしゃいませ。『フレイ魔法道具店』へようこそ。



-----IT2015−03−16−09:00-----



「これで良しっと。」


私は、店の目立つ所に月光草の採取の依頼書を張り出した。


『依頼書』


『依頼内容』:月光草の採取

1本から買い取ります。最大100本まで。

買い取り本数に達した場合〆切ります。

『買い取り金額』:1本100メメタ                   |

『必要スキル』:採取LV5以上


詳しくは、店主『フレイ』まで。


「さてさて、集まるかしら?」


まあ、それよりも問題は、この店に来てくれるお客様が多くは無いという事。

どうして母さん達は、ここに店を建てたのかしら?

とりあえずは、在庫のマナポーションがある間は、何とかなりそうだけど・・・


がちゃ・・・


と、扉が開き、お客様が来店する。


「いらっしゃいませ。フレイ魔法道具店にようこそ。」


「おはよう。フレイさん。」


「おはようございます。MAXさん。」


「いやぁ・・・開店一番8:00に来ようと思ったんだけど、道に迷ったよ()笑」


「え?またですか??」

「それも、1時間も・・・」


MAXさんは、仲間の内で『逆王』(常に逆の道に行く)と言う二つの名で呼ばれる程の方向音痴です。

町の中心部からかなり離れているとは言え、複雑な道を通る訳でもないのに毎回迷います。

前に黒桜さんが言っていましたが・・・


「MAXは先ず逆方向に行く。しばらく進むと違うというのが分かるらしく、方向を変えるのだが、その方向もまた違う。」


恐るべしMAXさん・・・


「早速だけど、マナポーションを購入限界の10個お願いします。」


「は〜い・・・い!?」


「ど、どうかした?フレイさん」


「い、いえ、10個ですね。5000メメタになります。」


思わず声が裏返っちゃいました。

在庫があるうちは〜なんて考えてた直後なんだもの。

そのうちに、MAXさんは『依頼書』に気が付いたみたいで・・・


「あ、なるほどね。」

「確か、月光草はマナポーションの材料だったね・・・それでか。」


「はい。まあ、在庫はまだ少しありますから、大丈夫ですよ。」


「マナポーション10個。確かに。」

「月光草の事、仲間にも伝えておくよ。」

「もっとも、俺が採取できれば良かったんだけどね。」


MAXさんの場合、採取に行っても道に迷いそう。


「ふふふ。」


「ん?何だい??」


「い、いえ、ありがとうございます。」


「それじゃあ」と、MAXさんは店を後にした。


「それにしても・・・あっと言う間に、在庫が半分か・・・少しでも作っておきましょう。」


私は工房へと向かった。


先ず、竈の火の精霊にお願いして、鍋を火にかけます。

鍋の中身は、蒸留水と薬草を数種類です。

これを一煮立ちさせ、薬効成分を抽出します。

火を落とし、きめの細かい布を通して出来たのが・・・『ポーション』です。

この『ポーション』を『マナポーション』にする訳ですが・・・


「はろはろ〜フレイちゃん。」


「邪魔するぞ、フレイ。」


店の方から、声が聞こえる。

私は出来た『ポーション』をとりあえず大瓶に保管し、店に出る。

やって来たのは・・・


「こんにちは。華音さん、花子さん。」


常連の華音さんと花子さんです。

先日来た、香奈さんと火燐さんのお友達でもあります。


「早速だがフレイ。マナポーションを購入上限の10個頼む。」


「は〜い・・・いいいい!?」


「どうかしたんですか?フレイちゃん??」


「い、いえいえ〜10個ですね。5000メメタになります。」


私は残りの在庫全てである10個を取り出す。

早かった・・・速攻だった・・・売れる時なんて案外こんなものである。


「ふむ、ああ、そういう事か。」


『依頼書』を見た華音さんは、納得したようだった。


「はい、そういう事です。」


「それで、在庫は大丈夫なんですか??」


「マナポーションの在庫は0ですが、今、残りの月光草で鋭意製作中です。」


「ふむ、分かった。『依頼書』の件は香奈に伝えておこう。」


「香奈ちゃん、サブ職業『花屋』で、採取のレベルも高いですからねぇ♪」


「助かります。」


華音さんと花子さんは店を後にした。


ぼーん、ぼーん、ぼーん・・・


店の大きな古時計が11:00を知らせる。


「あ、あら、もうこんな時間・・・マナポーションの続きを作らないと・・・」


私はまた工房に籠った。



-----IT2015−03−16−13:30-----



残りの月光草で、なんとか後10個マナポーションを作る事が出来た。


「マナポーションは、魔術師系の方だけだから・・・そんなには出ないから・・・」

「・・・大丈夫よねぇ・・・いいえ、きっと大丈夫!!」


がちゃ・・・


「いらっしゃいませ。フレイ魔法道具店にようこそ。」


「こんにちは、フレイ。」


「こんにちは、火燐さん。」


昨日、ちらっと香奈さんを迎えに来た火燐さんです。


「いやー昨日来た時に買っとけば良かったんだけど、マナポーションを購入限界の10個貰えるかしら?」


「・・・」

「・・・」

「・・・は、はい。」


「・・・どうしたの?フレイ??」


「い、いえー10個ですね。5000メメタになりますぅ・・・」


はい、マナポーション終了。

・・・

・・・

・・・逆に考えるのよフレイ!

さっき作っておいて良かった・・・と!!


支払いを終え、マナポーションを受け取った火燐さんは、『依頼書』に気が付いたよう。


「あ〜なるほどね。」

「在庫大丈夫??」


「あ・・・その・・・0です。」


「あちゃー0かぁ〜〜フレイの所のマナポーションは効果が高いから重宝するのよねぇ♪」

「分かった、ちょっと行って取ってくるわ。」


「ありがとうございますぅぅぅぅぅ火燐さん〜〜〜〜」


「じゃあ、行ってくる。」と火燐さんは店を後にした。

火燐さんは、実は自給自足出きるはずなんです。

ただ・・・「フレイが作った方が効果が高いのよ。」と私の店で買ってくれます。

火燐さんが取って来てくれるなら安心です。

後は、ポーションを作ってマナポーションの準備をしよう。


私は三度、工房に籠った。


-----IT2015−03−16−16:30-----


がちゃ・・・


「取って来たわよ〜」


「いらっしゃいませ。火燐さん。」

「早速、ありがとうございます。」


「はい、100本ね。」


なんと、募集していた100本全て取って来てくれました!


「助かります。では早速御代を・・・」


がちゃ・・・


「フレイちゃんっ華音さんに言われて、月光草取って来たよ〜」

「はい、100本。」


「いらっしゃいませ、香奈さん・・・って、ええっ!?」


「あら、香奈も取ってきたの?」


「え、香織ちゃ・・・火燐も取ってきたの!?」


100本どころか、200本に・・・


「い、いえ、大丈夫です。全て買い取らせて下さ・・・」


がちゃ・・・


「や、やっと・・・たどり着いた・・・」


「いらっしゃいませ。MAXさん。」


って・・・この展開・・・


「フレイさん。キャロさんに、月光草採取してきて貰ったよ。」

「100本で良かったんだよね?」


「え、ええ・・・」


香奈さんと火燐さんも顔を見合わせている。


「あれ?確か・・・かのさん(華音さん)のフレの香奈さんと火燐さんだよね?」


「ええ、MAXさん、お久しぶりです。」


「たま〜に華音さんから、武勇伝は聞いています。」

「・・・主に『逆王』の」


「まさか、MAXさんまでとは・・・ね?」


「ん?どうしたんだい??火燐さん。」


そこでMAXさんは、カウンターに置かれた大量の月光草に気が付いた。


「成程。そういう事か。」


え〜い、200も300も変わらないわ!!


「だ、大丈夫・・・全部買い取らせてください・・・」


私は全て買い取ることにした。

だって・・・


「ありがとうございます。皆さん。」


だって皆さん・・・私を思って、急いで集めてくれたのだから。



-----IT2015−03−16−23:00-----



私は日課である日記を付ける。


「今日は、MAXさんと華音さんと花子さんと火燐さんと・・・香奈さんも来店っと。」

「皆さん、私を思って、直ぐに月光草を持ってきてくれました。」


っと、本当に常連の皆さんには良くして貰っている。

差し当たっては・・・

・・・この月光草の過剰在庫と、売上15000メメタに対しての出費30000メメタ。

これを何とかしないとね。

まあ、香奈さんの魔力付加が終われば、大丈夫なんだけどね。

私は、日記を閉じると、ベットに潜り込む。


おやすみなさい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ