たまご
ぼくは お母さんが死ぬ前に お母さんから たまごをもらいました。きれい な まるい たまご でした。 おかあさんがいうには このたまごは しあわせのたまごで これがかえれば しあわせが生まれる そうです。
たまごは ずっしり おもかったです。 だけど どこへ行くにも ずっと もっていくように していました。 おもいから 歩きにくかったけど。
お母さんが 死んだあと 女の子 にあいました。 とっても かわいい 女の子 です。 その子 とは すぐに仲良く なりました。 仲良くなって その子は たくさんの お話を してくれました。
その子と お話すると たまごの おもさは 感じませんでした。
その子が 言うには カマキリは こどもを つくったあと おかあさん が お父さんの ことを 食べてしまい 食べられて しまった お父さんは 生まれてくる こどもたちの 栄養に なるそうです。
なんだか こわいな とおもいました。
でも きっと 食べられて 栄養に なった お父さんは 生まれてくるこどもに なって うまれかわるのだと おもいました。
カマキリのことの ほかにも かみさまのこと 星のこと さなぎのこと たくさん 教えてくれました。 ぜんぶ うまれかわり のこと でした。
ぼくは きめました。
だれにも 話したことが なかったけど その子には お母さんからもらった たまごのことを 教えて あげようと 決めました。
だれから もらって どんな たまごで どれだけ 大切か はなしました。 そして みせて あげました。
いいね と いってくれました。
でも
われてるね
いわれて はじめて 気がつきました。
しあわせは いつのまにか うまれて いました。
お母さんが いなくなって かなしかったけど いまは もう なぜだか かなしくありません。
ぼくは きめました。
ぼくが 死ぬときには この子が しあわせに なるように。
ぼくの たまごを あげよう と きめました。