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Calling  作者: 早村友裕
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1.笛の音

かなり昔書いた文章のバックアップ用です。

いろいろひどいです(笑)




… はるか …


誰かに呼ばれた気がして、遙は振り向いた。でも、誰もいない。

「はーるーかっ。どーうしーたのっ?」

親友の遠乃の声がした。後ろには海斗と向平もいる。

「いや、別になんでも・・・。」

そこでやっと遙は、今4人で日曜日に何をするか話していたのを思い出した。

「遙、聞いてたのか?」

「あ、うん。海斗のおばあちゃんと笛を作ってみようって。いいよ、私は。」

「じゃ、決定だな。明日、10時に、海斗ん家な。」

「わかったあ。」


相沢遙あいざわ はるか今井遠乃いまい とおの穴島海斗あなじま かいと谷村向平たにむら こうへいの4人は、昔からの親友だ。いつも4人で集まっては、いろんなことをして遊んでいる。いろんなこと・・・といっても、田舎だからやることが自然にかぎられてくる。小学校は全校生徒123人の、小さな学校。遙たちは6年生だ。


「じゃあな、海斗。」

「バイバイ、向平。」

そうして四人はそれぞれの家路についた。



  次の日の、朝10時・・・。

「おはようございまーす。」

「おす、遥。遅いぞ!」

「ごめん、ごめん。」

遙はいそいで海斗の家に上がり込んだ。向平と遠乃は、もうすでに笛を作りはじめていた。

「香木使うんだって。いいにおいだよ。」

「へえ。」

早速遙も笛作りに加わった。海斗のおばあちゃんが、優しく教えてくれる。香木の枝を小刀で削って、中身をくり貫く。結構大変だ。


「できた!」

いちばんに叫んだのは、向平だ。みんな負けじとがんばる。

「俺もできた!」

海斗も出来上がった。遙も遠乃も、すぐに出来上がった。おばあちゃんに紐をつけてもらうと、4人は満足し、笛を持って外に飛び出した。

「おおくすのとこ、いこうぜっ。」

この町には、大きな大きなくすのきがある。遙たちはそれを「おおくす」と呼んでいる。

「ふいてみようよ!せっかく作ったんだし。」

「ああ。」

4人はいっせいに笛をならした。

「ピィーィィ・・・・・」

不思議な響きだった。どこか物悲しく、遠くまで透き通っていくような・・・。


・・・ うわー、懐かしい。おおくすだ ・・・

  突然、誰かの声が4人の耳に届いた。

  そしてまもなく、

「ドサッ。」

「?!」

何かが目の前に現れた。

「いってえーっ。」

しかもしゃべった。それは人間だった。すごくきれいな顔をしている。瞳は・・・?

「なんだ?どこだ、ここ。」

「知るかよ!おおくすの前には違いないけど・・・」

そこには、2人いた。一人はくり色の髪に、金色の瞳。年は、13か14歳といったところ。もう一人は、右目が黒で左目が青、髪は黒く12、3歳ぐらいに見えた。2人とも男だと思うのだが・・・。

「ダイ、ここどこだ?」

「俺に聞くなよ。」

そして遙たちに気づいた。

「誰だ・・・?おまえら。」

「だ、誰って・・・。そっちこそ。」

「は?俺か?俺はショウ。」

そういって黒い髪の方は立ち上がった。背丈は向平より少し低いくらい。TシャツにGパンという、ラフな格好だ。青い左の瞳はびっくりするぐらいきれいだ。

「あ、俺向平。おまえら、どっから来たんだ?」

「どこって、日本から。」

「え、でも、急に空から降ってこなかった?」

思わず遙がいった。そう、「ショウ」と名乗るこの少年は空から降ってきたように現れたのだ。そんなことある訳がない。ショウは、遙を見た。

「・・・。お前、名前は?」

「は、遙。相沢遙。」

「へえ、日本には違いないらしい。」

黒い目の少年はもう一人の少年に声をかけた。

「どう思う?ダイ。」

ダイと呼ばれたもう一人の少年が口を開いた。

「あの・・・遙・・・さん?」

「は、はいっ。」

「今日は、西暦何年の何月何日ですか?」

「えっと・・・。1999年の7月5日です。」

「1999年・・・やっぱりな。」

「1999年?!ちょっと待てよ、ダイ。俺らさっきまで、2342年にいたはずだろ?なんで・・・。」

その言葉を聞いて、海斗は叫び声をあげた。

「2342年!ショウたちは、未来から来たのか?!」

「まあそういうことになるかなあ・・・。」

そう言うと、「ダイ」はちょっと困ったような顔をした。そして2人の事を話し出した。




ショウは、片方の瞳が青い、海斗と同じぐらいの背丈。年は12で、IQ 250の天才児だそうだ。ダイは、金色の瞳の、13歳の少年。向平よりも背が高く、(向平は海斗より背が高い) ショウの兄貴のような存在だ。

  2人は2342年の日本からやってきたらしい。2人はGSP (アメリカのFBIの様なもの) の最年少幹部で、今日(?)は久々の休みだったらしく、おおくすのところに遊びに来たらここに来てしまった、との事だった。


「なんかすげえ話だな。」

「なんでここに来ちまったんだろ。おかしいよな。」

「ま、休みだし、いいんじゃねえの?」

「そうだな。」

二人とも、楽観的な性格らしい。

「タイムスリップしたってのに、そんなのんびりしてていいのかよ。」

「だって、どうしようもないだろう。」

「まあ、それもそうだけど・・・。」

遙は何か納得がいかない。その時、ショウのポケットから何かが落ちた。

「?」

遠乃が拾うと、それは小さな機械の部品のようだった。

「おい、ショウ。BALARなんか持ってきたのかよ。」

「BALAR?」

「こないだ捕まえたBLACK・Dの幹部が持ってたんだ。えっと・・・簡単に言うと、BLACK・Dっていう組織の大元のコンピューターの一部さ。3人の幹部とボスが一つづつ持ってる。4つあるうちの、一つ。」

「このちっこいのが?」

4人はまじまじとそれを見つめた。

「これがないとコンピューターの動きが悪くなる。BLACK・Dは困ってるだろうよ。」

ショウは嬉しそうに笑った。そしてショウに手渡そうとした遠乃にBALARを戻して、

「預けとくよ。どうせ当分帰れそうもねえ。ただし、なくすなよ。」

と言ってもう一度笑った。ダイは少し怪訝そうな顔をしたが、特に何も言わなかった。


「さ、ショウ。これからどうする。」

「どうって・・・考える。タイムスリップのエネルギーのもとを。」

ショウはおおくすの根元に座った。

「ヒントは、2つ。1つめは、おおくす。なぜだか知らないけど、この時代にもおおくすがある。多分同じ木だろう。おれたちの時代は、もっと大きくなったやつだからな。つまり場所は変わっていない。」

「てことは、ショウとダイは340年後、この辺りに住んでるのか。」

「2つめは、音だ。ここに来る直前、不思議な音を聞いた。笛か何かの、和音だった。」

「あ、それ、この笛だ。みんなで吹いたんだよ。」

遙は笛を吹いてみせた。

「あ、これだ。俺も聞いた。」

「ま、いいや。とにかく、おおくすの力は働いてるな。どっちにしても当分帰れねえ。」

「うーん、そうかあ。」

2人は頭を抱えた。4人にはさっぱり分からない。

「どうする?」

「うーん・・・帰れないと分かった以上、ここに留まる事を考えないと。」

「そうだなあ・・・まず、住むところかな。遙、どっかないか?」

急にショウが話を振ってきた。

「うーん・・・。海斗の家と私の家で、一人づつぐらいなら・・・。」

「親になんて言うんだよ。」

向平の冷たい声が飛ぶ。それをきいて、ダイはあっさりいった。

「大丈夫。その心配はない。」

2人にはなにか考えがあるようだった。そしてショウは遙の家、ダイは海斗の家に決まった。

「よろしくな、遙。」

「よろしく、ショウ。」

「いいなあ、遙。」

遠乃はショウが気に入ったようだ。遙をうらやましそうに見ている。

「さてと。遙。案内してくれよ。」

そういうとショウは、ダイたちに向かって指を2本ぴっと立てた。

「Good luck!」

「?」

遙と遠乃とショウは遙の家へ、海斗と向平とダイは海斗の家に向かった。




「ねえ、ショウ。さっきの指立てるやつって、何?」

「ああ。<Good luck>って、さようならとか、また後でっていう意味。」

「指は?」

「人差し指と中指を重ねるようにして・・・そうそう。<幸運を祈る>っていう、ジェスチャー。」

「ふーん。」

確か、アメリカに同じようなのがあったような気がした。

遠乃が話題を切り替える。

「ショウは身長何センチくらい?」

「俺?えーっとセンチだと・・・160くらいかな。」

「おっきい!わたし155しかないよ!」

「わたし153。遠乃、いつのまに伸びたの?!」

3人はすぐに打ち解けて、いろいろな話をした。

「それにしても、親をどうやって説得するの?」

「まあみてな。今、ホームステイしてる遙の友達になるから。」

「は?私・・・。」

「国籍はオーストラリア。日本人とのハーフって事で。」

「そんな嘘・・・。」

「今ほんとになるんだよ。あ、あとフルネームは、天海 翔。天の海で天海、それに翔は‘翔ける’。」

ショウはそういってウィンクした。そうこうするうち、家に着いた。

「2人はまってて。」

ショウはそう言い残すと一人で家の中に入っていった。


「ただいまあ。」

「遙?早かったわ・・・。」

出てきた遙の母は、ショウの瞳を見るなり、固まってしまった。ショウは静かにつぶやく。

「俺の名は天海 翔。今ホームステイでこの家に来ている・・・。」

そして指をぱちんと鳴らすと遙の母ははっとした。

「あ、翔君だったの。お帰りなさい。」

ショウはこうしてあっさりと家の中に入ってしまった。後から入ってきた遙たちは唖然とした。

「遙。翔君、帰ってるわよ。あら、遠乃ちゃん。こんにちは。」

「うそ・・・。」

そこでは、ショウが当然のようにリビングに座っていたのだった。

「一種の催眠術だよ。俺が解くまで、そう思い込んだままのはずだ。」

「えっっ?催眠術?そんなもの使えるの?」

「ああ。俺、GSPの幹部だぜ?」

「GSPって・・・?」

「Genius Secret Policeの略。」

「ジェ、ジェニ・・・?」

「ジェニアス シークレット ポリス。うーん…。特殊な力を持った人間の集まりさ。」

「・・・!超能力とか使えるの?!」

「ああ。」

「すっごーい!」

「かっこいーい!」

「何でもできるわけじゃないぜ。ダイと一緒にいたら能力が強まるんだ。」

「それで二人一緒にいたんだ。」

「いいなあ。超能力かあ。」

遙と遠乃は同時にため息をついた。



一方、海斗たちは・・・。

「催眠術?!」

「すっげーっ。漫画みてえ。」

こっちもダイの能力に驚いていた。

「ショウといると力が増すんだ。」

「へえ。」

「でも、ショウってけっこう怖くねえ?ダイはけっこうのほほんとした性格なのに。親しみやすいって言うかさ。」

「怖いって・・・。ショウはあれでも女なんだぜ?」

「?!」

「マジで?!」

「ああ。GSPの最年少にして唯一の女性幹部だ。・・・気付いてなかったのか?」

「・・・ああ。」

「…にしても、遠乃が知ったらびっくりするだろうな。」

その時の事を想像した海斗はケタケタ笑った。


「へっくしっ。」

遠乃がくしゃみをした。

「風邪?大丈夫?」

「う、うん・・・。じゃ、私そろそろ帰るね。」

「Good luck、遠乃。」

「Good luck!」

遠乃は、ぴっと指を立てると、帰っていった。

二人の会話は続いた。遙には聞きたい事がたくさんある。

「ショウ、ショウって家族いるの?」

「・・・。いない。みんな小さい頃死んじまって、今は養子なんだ。」

「そうなの、ごめん・・・。あ、でも、ダイは?ダイは違うの?」

「ダイも一人だ。俺にとったら家族以上に大切な親友だ。」

「ふうん・・・。」

「遙はいいよな。あんな優しそうな母さんがいて。」

「お母さんきっと、<翔>の事気に入ってるよ。嬉しそうだもん。」

「ああ・・・。」

ショウは初めてにっこりと笑った。

ショウって笑うと女の子みたいだ…。遙はそう思った。

「たださー、一つだけ催眠に失敗したよ。」

「え?何?」

「俺の事、男と勘違いされた事。」

「男と勘違いって・・・。ショウって、女なの?!」

「ああ。あれ?気付いてなかった?」

遙は驚いた。ショウが、女?そんなばかな!

目を丸くして驚いている遙を見て、ショウは苦笑した。

「ま、気にすんな。今まで通り男だと思っててもらっても構わないから。」

「う、うーん・・・。」

でもきっと、こんなきれいな顔してるんだから、女の子の格好したらかわいいだろうな。いつかやってみよう。遙はショウのきれいな横顔を見て思った。




その夜の食卓には、当然のようにショウの席があり、当然のように弟の翼としゃべっている。遙は少し驚いた。大抵の人に対して人見知りする翼が普通にショウとしゃべっている。やっぱりショウには不思議な力があるようだ。

「TRRRR・・・」

その時、電話が鳴った。遙が取りに行く。

「はい、相沢です。」

「あ、遙ちゃん?遠乃知らない?帰ってないのよ!」

「えっっ?!」

受話器の向こうに遠乃のお母さんの声が響く。

「遠乃なら、だいぶ前に帰ったんですけど・・・。」

「ああ、そうなの・・・。どこか、行ってそうなとこ、ない?」

「分かりません。あ、私もいろいろ当たってみます。」

「ごめんなさい。お願いね。」

遙は受話器を下ろすとすぐにリビングにかけ戻った。

「お母さん!遠乃がまだ帰ってないんだって!」

「?!」

ショウの顔が一気に青ざめた。目の焦点が定まっていない。

「やばい・・・忘れてた。俺の所為だ!」

「ショウ?」

「翔君?」

「行かなくちゃ・・・。」

ショウはそのまま駆け出した。


「ショウ!」

遙も慌てて後を追う。ショウは足が速い。遙も速い方だが、全然追いつけない。

「ショウ!どこ行くの!」

「おおくすのところ!ダイも今来るはずだ!」

「えっ?ダイには連絡してない・・・。」

「きっと来る!言わなくても分かってるはずだ!」

ショウはさらにスピードを上げた。遙はもうついていけない。途中で立ち止まってしまった。

「ハア、ハア・・・。」

息が荒い。疲れた。おおくすはもうすぐそこだ。月明かりに照らされて、4人いるのが見えた。

「遙!」

そのうちの一人が名前を呼ぶ。海斗だ。

「ダイ・・・テレポートできるか?」

「ん・・・。お前次第だ。」

「じゃ、やる。遠乃の気を追って・・・。」

遙が着くと、ダイとショウは3人(遙・海斗・向平)に向かって行った。

「テレポートする。5人はきついけど・・・。多分遠乃は、BLACK Dの奴に連れて行かれた。」

「すまん・・・。俺がBALARを渡したりするからだ。」

ショウが肩を落とす。ダイはそんなショウの肩に手を置いて、

「気を落とすなよ。テレポート、失敗するぞ?」

と言った。ショウはニカッと笑って、親指を立てた。

「大丈夫。心配すんな。」

5人は手をつないで円になった。

「ショウ、大丈夫か?」

「ああ。いくぞ。」

「O.K.」

2人は目を閉じた。周りの景色がぼんやりと薄れていく。白い光にかき消されて何も見えなくなった。



そんな時間がどれだけあったろう。気がついた時には周囲は何か、UFOのなかのような感じだった。 遙がゆっくりと辺りを見渡す。ここはどこだろう?

海斗と目があった。

「あ・・・遙?ここどこだ?」

「分かんない。ねえ、ショウ・・・。」

遙は隣のショウに声をかける。

「ドサッ。」

ショウが床に倒れ込んだ。ダイが慌てて抱き起こす。

「ショウ!しっかりしろ!ショウ!」

しかしショウの瞳は固く閉じられたままだ。

「まずいな。あんまりにも力を使いすぎたみたいだ。」

「大丈夫なの?」

「疲れすぎて眠っているような状態だ。もうすぐ目を覚ますだろう。俺よりも体力ねえもんな。でも、そんなにも力使ったっけ?ショウが倒れるほど。」

ダイはショウを抱き上げて歩き出した。3人もそれに続く。


「ところでさあ、ここはどこなんだ?」

「宇宙空間だろう。この型からすると、BLACK Dの幹部の船だ。やっぱり遠乃はBLACK Dに捕まっていたんだ。」

「へえ。そういうのって、超能力で分かるの?」

「いや、ここの雰囲気がそうだから。…まてよ。ここ、2342年かもしれない。」

「はあ?!」

「根拠はない。でもそんな感じはするんだがな。ショウなら分かるだろうな。」

相変わらず目を開かないショウを見て苦笑した。その表情に疲れが見える。ダイも相当力を使っているせいだろう。

「大丈夫か?疲れてるんじゃ・・・。」

海斗がそう言いかけた瞬間だった。

「ジリリリリ・・・!」

「?!」

侵入者の存在を知らせるベルが廊下中に響き渡った。

「しまった!センサーに引っかかった!」

ダイが叫ぶ。警備者らしき黒ずくめの男が数人現れ、銃を構えた。ダイはとっさにショウを向平に渡すと、バリアをはって叫んだ。

「走れ!突き当りの部屋に遠乃がいるはずだ!」

その声に押されて3人ははじけるように走り出した。ダイのはったバリアのおかげで、銃の弾が当たる事もない。

「Good luck・・・」

ダイは小さくそう言った。

ダイももう限界だった。いつ倒れてもおかしくない。でも、倒れるわけにはいかない。ダイは隠しもっていたナイフで敵を一人づつ倒していった。




3人は言われるがままに走った。そしてドアに突き当った。海斗が横にあったナンバー式のロックに適当な文字を打ち込んだ。一発でドアが開いて、3人は駆け込む。そしてドアは閉まった。

そこは、少し広い、フロアのようなところだった。

「・・・?」

「何だ、ここ・・・?」

その時やっと、固く閉じていたショウの青い瞳が開いた。

「向・・・平・・・?」

「ショウ!」

「何でここに・・・。ダイはどうした・・・?」

ショウは向平の腕から降りて、不安そうに3人を見渡した。



一方ダイは、最後の一人を残すだけとなっていた。頭がぼんやりする。一瞬ダイは気を抜いた。敵はその一瞬の隙を突いて、銃を打ち込んだ。

「パシュゥ・・・。」



「?!」

ショウはその瞬間、ダイの異変に気付いた。

「ダイ・・・?」

ダイの意識が薄れていくのを感じた。今までにない不安感。何がおきたのか分からない。

「ダイ?!どうしたんだっ?!ダイ!」



今度はダイがその声を感じた。意識が戻ってくる。必死に起き上がり、最後の一人を倒した。その瞬間、ダイは倒れ込んでしまった。傷口から血が流れ出していくのを感じていた。

「ショウ・・・。」

ダイの意識はそこで途切れた。



「ダイッ。何があったんだよお・・・。」

突然叫び出したショウが、遙たちには何がなんだか分からなかった。

困っていると、上の方から声が降ってきた。

「片割れに何かあったらしいな。ショウ!」

「?!ハルメイか?!」

遙たちの前に黒い服をまとったの男が現れた。

「ハルメイ!なぜここに・・・!」

ショウの顔が青ざめる。遙たちには何がなんだか分からない。

「この間、幹部を捕まえたっていったろう?それはこいつなんだ!何でここにいるんだ?!遠乃を返せ!」

ショウのぴんと張り詰めた声が響く。青い目が怒りに燃えている。

「ふふ・・・。」

ハルメイが指を鳴らすと、筒のような物の中に浮いた、遠乃が出てきた。何か必死に伝えようとしている。

「遠乃!」

遙が駆け寄った。だが何かガラスのような物に阻まれて、触る事ができない。

「ハルメイ!もう一度お前をGSPに戻してやる。」

「出来るのか?もう一人の幹部がいないと触れる事も出来ないはずだ。」

「・・・出来るさ!」

ショウは精神を集中して、ハルメイの周りのバリアを取り去ろうとした。

「バチッ」

逆にショウがはじかれる。

「ショウ!」

向平が駆け寄る。ショウはすぐに立ち上がってハルメイをにらんだ。ぴんとした空気がフロアを満たしていく。息苦しい。向平はハルメイとショウから目が離せなかった。ショウの怒りが伝わってきて、息が詰まりそうだ。

ショウが゛ゆっくりとハルメイに近づいていく。

「バリバリィ・・・!」

ショウの周りで光が渦巻く。ショウはバリアをそのまま越える気だ。無茶だ。銃の弾だって通らないのに・・・!

次の瞬間、ショウは雷に打たれたようにはじかれた。

「バシーン」

「ショウ!」

「無駄な事は止めろ!その体ではバリアをくぐる事は出来ない!」

ハルメイの高らかな笑い声が響く。向平はハルメイを無視してショウに駆け寄ろうとした。

「危ねえっ。来るんじゃねえ!」


叫んだショウの声。駆け寄ろうとした向平の足音。遙の悲鳴。


ショウの目の前で閃光がひらめいた。


「うわぁぁ・・・!」

「向平!」

向平の体は吹き飛ばされた。遙の目にはスローモーションに映った。力の抜けたような向平の体が宙に浮いて、羽が生えたようにふわりと地面に落ちた。向平が、死んじゃう!そう思った瞬間遙は倒れてしまった。

「遙!」

遠くでショウの声がする・・・。




気がついた時、遙は小さな部屋のような所にいた。周囲を見渡すと、海斗と遠乃の姿があった。

「遠乃!よかった!ショウたちは・・・?」

「分からない。気がついたら、ここにいたんだ。」

海斗が言うと、遠乃も力なくうなづく。周囲には、電動らしきドアくらいしかない。

「ショウ!ダイ!向平!」

壁に向かって思い切り叫んでみた。しかし返事はない。

「遙。お互い、何があったか話そう。」

「あ・・・うん。」

海斗はいつも落ち着いている。海斗がいてよかった。遙は本気でそう思った。



ショウはダイの声で起こされた。うっすら目を開けると、青い顔をしたダイの顔があった。

「ダ・・・イ・・・?」

ショウがゆっくりと起き上がる。ダイの金色の瞳に安堵の色が浮かぶ。

「大丈夫か?」

「ダイ、どこいってたんだよっ。何で途中でしゃべれなくなったんだよっ。」

「バーカ。警備者を倒してやったんじゃねえか。」

「もうダイが・・・死んじゃうかと思って・・・。」

うつむいたショウの肩が震えている。ダイは慰めるように肩に手を置いた。

「大丈夫。俺がショウを置いてくわけないだろう。大丈夫だから・・・。」

ダイの苦しそうな息遣いが伝わってきて、ショウはダイの様子がおかしいことに気付いた。

「ダイ・・・?どうしたんだ?」

その時ショウはダイの服が血に染まっているのを見た。ダイの顔が青かったのは、大量の出血のせいだった。

「ダイ!」

ダイの体が力なく倒れる。

「バカ!バカなのはダイの方じゃないか!何やってんだよお!」

「失敗して・・・弾に当たった。」

「ノロマ!」

ショウはそう叫んでダイの傷口に手を当てた。ダイが痛みに顔をしかめる。

「今、治す。じっとしてて。」

精神を集中して傷を癒す。ショウだけが使える、「ヒーリング」という能力だ。みるみるうちに出血は止まり、ダイの顔色も良くなってきた。ショウは手を外した。

「ふーっ。」

疲れた。やっぱりヒーリングはやるものではない。

「ショウ・・・。ごめんな、俺のせいで。」

「もとはと言えば俺が気絶したのが悪かったんだ。」

ショウはニカッと笑う。いつもと変わらない笑顔に、ダイはほっとした。

「ダイ。」

「何だ?」

「疲れてるとこ悪いけど、テレポート出来ないかなあ?」

「バカ!お前死ぬ気か!俺は大丈夫だけど、お前は今ヒーリング使ったばっかだろう!」

「でもっ。向平が・・・。バリアに突っ込んじゃったんだ!しかもハルメイの作ったバリアに!」

「ハルメイ?!そいつは一度捕まえたはずだ!それに、あいつは機械専門…バリアははれないはずだ。」

「逃げてきたらしいんだ。何でバリアが使えるのかは分からない。その上、俺が向平を治そうとしたら・・・。とにかく向平が危ないんだよ!」

まるで怒っているような早口でショウはまくしたてた。よくある事だ。言い出したら聞かないのが、ショウだから・・・。ダイはふと顔を上げて言った。

「分かった。なるだけカバーするから。今度は倒れるなよ。」

ショウの顔がぱっと輝いて、いつもの笑顔に戻る。

「さすがダイだ!」



向平はどこかに寝かされていた。体中が痛い。何でだろう。

覚えているのは、ショウの顔が青かったのと、「危ない!」とショウが叫んだのと、駆け寄ってくるショウの姿・・・。

「う・・・。」

無理をしておきあがろうとした時、自分がたくさんのコードにつながれているのを知った。

「な・・・!」

周りの機械が忙しそうに動いている。そういえば、ここはどこだろう。

「気がついたか。」

冷たい声がした。慌てて声の方向を向くと、黒ずくめの男がたっていた。確か、ショウがハルメイと呼んでいた。黒い仮面のような物をつけていて顔はよく分からない。

「ショウたちはどこだ?」

「さあな。もうすぐここへ来るんじゃないか?お前を助けに。」

「じゃあ、みんな生きてるんだな?」

「一応はな。」

向平はほっとした。全員無事らしい。

「だが、もうすぐ死ぬ。ここへ来たが最後、あの2人はもう終わりだ。」

「?!」

向平ははっとした。これは罠だ。ダイとショウをここへ来させるための・・・。

「あの二人は普通にしても始末出来ないからな。特別に、だ。他のGSPだったらこうはしない。」

「どうする気だ?!」

「さあな。」

ハルメイはおかしそうに笑った。

「あいつらには散々世話になった。苦しめてやるのさ。」

「やめろ!」

「なにをするか教えてやろう。お前にやらせるんだ。仲間に殺されるんだ。あの二人はどう思うだろう。」

「俺がそんなことするもんか!」

「どうかな?」

ハルメイはまたおかしそうに笑うと、機械をいじりはじめた。

「グィン、ウィィン・・・。」

機械がまた動き出す。向平はつながれたコードから何かが流れてくるのを感じた。次の瞬間向平は、また雷に打たれたようなショックを受けた。

「うわああ・・・!」

苦しい。息が止まりそうだ。

「何・・・する気だ・・・。」

ハルメイを睨んでいたのに、視界がかすんできて何も見えなくなる。頭がぼんやりして、動かない。

向平はもう一度気を失った。



「遙の家から帰ろうとしたら、いつのまにかここにいて、BALARを取られてた。あいつ・・・ハルメイだっけ?いきなり変なガラスの中に入れられて。」

遠乃が今までの事を簡単に話す。

「それからあいつ、自分の周りにバリアはってた。機械使って。」

「機械か。じゃあ、ハルメイは自分でバリアをはれないらしいな。」

「その機械さえ壊せば・・・。遠乃、どんなのか分かる?」

「多分。」

「俺等もショウたちの役に立たないと。」

「そう言えば・・・ショウたち、無事なの?」

少し不安気な遠乃の声。少し震えている海斗の声。

「大丈夫さ。あいつらなら・・・。」


「当たり前だ。俺が死ぬかよ!」

海斗の声に重なった元気な声。驚いて振り向いた遙たちの目に、2人の少年(?)の姿が映った。

「ショウ!ダイ!」

「すまねえな。遅くなって!」

不敵なショウの笑い。思わず3人にも笑顔がこぼれる。

「あれ?向平は?」

遙の声に、ショウはまた鋭い目に戻って言った。

「今から、助けに行く。」

その場の空気が一瞬にして変った。そこへぴんと張り詰めたショウの声が再び空気を震わせる。

「もうハルメイは許さない。ダイもいる。今度は確実にGSPに送り返してやる。」

青い瞳が怒りに燃える。この目は、さっきハルメイに遠乃を返せと言った時の目だ。怒りをはらんでいて、触ったら火傷しそうだ。少しの間沈黙が訪れた後、5人は向平の所へテレポートした。




「向平!」

たくさんのコードにつながれた向平を見て、今度はダイが怒った。

「ハルメイ!何するんだ!向平には関係ない筈だ!」

「おまえたちはBLACK・Dにとって邪魔な存在なんだ。上から、消せという命令が出ている。その為なら他人でも容赦しない。」

ギリッと唇を噛み締めるショウ。怒りを必死で押さえているようだ。遙たちは、向平につながったコードを一本づつひきちぎっていく。

「遙・・・。海斗・・・。やめろ。俺を開放したら、どうなるか分からない。」

「何言ってんだ。爆弾とかが爆発したりするのかよ。」

「違う。俺が・・・。」


「ショウとダイを殺せ。」

ハルメイが向平に向かって言った。向平の瞳から光が消え、ハルメイの方をむいた。

「向平・・・?」

向平の目が「逃げろ」と言っている。そのまま向平はハルメイのもとへと近づいていく。

「向平!どうしたんだよ、何やってんだよ!」

向平はハルメイから一振の剣を受け取った。そのままショウの方へと近づいていく。

「どうしたんだ?向平?向・・・。」

「バスッ。」

剣が振り下ろされた。ショウの肩に赤い血がにじむ。呆然となるショウ。

「向・・・平・・・?」

「もっとやれ!ショウを殺してしまうんだ!」

ハルメイの声が飛ぶ。ショウの視線がハルメイに映る。

「お前か・・・。向平をこんな風にしたのは・・・。」

「いいのか?仲間に殺されるぞ?本気でやれよ、そいつを倒せよ。簡単だろう?」

「てめえ・・・。」

ショウの怒りが伝わってくる。遙たちはどうしていいか分からない。その間に向平はダイをハルメイの方へと追いつめていく。

「ダイ!向平!」

次の瞬間、ダイの体は雷に打たれようになって、床に崩れ落ちた。ハルメイのはった人工バリアに触れたのだ。向平の瞳が少しだけ光を取り戻した。しかし、体は勝手に動いていく。呆然となりながらもショウのもとへ向かっている。

「ショウ!」

遙は駆け寄ろうとしたが、ショウの視線に立ち止まった。絶対にこっちに来るな、怒りの目がそう言っている。その時海斗がはっとしたように叫んだ。

「遠乃!遙!バリアをはっている機械を壊すんだ!」

そうだ。遠乃は部屋の隅の大きな機械を指差した。

「あれよ!あれがハルメイのバリア・・・!」

「ようし!」

海斗が駆け出した。遙と遠乃もそれに続く。ハルメイがそれに気付いて、ショウと向平の方に向かっている。一気に型をつけるつもりだ。



向平はショウにだけ集中していて、気付いた時にはハルメイのバリアが近づいていた。

「あぶねえっ!」

「バリバリバリッ」

向平をかばったショウの体がはじかれたように宙に浮いて、大きな音を立てて地面に叩き付けられた。

「ダンッ」

「ショウ・・・!」

「ちっくしょうっ。」

海斗は思い切り機械をたたいた。びくともしない。その間にも、ハルメイが近づいてくる。



向平は呆然となって、ショウを見つめていた。それなのに、体が勝手に動いて、剣でとどめをさそうとする。

もう、やめてくれ・・・!ショウを殺すことなんか出来ない!向平の瞳から大粒の涙がこぼれ落ち、倒れ込んだショウの顔にしずくがこぼれてくる。向平の手に握られた剣が、振り下ろされる。

「ビュッ」

もうだめだ・・・!向平は目を閉じた。



「ちっきしょう!」

海斗が何度目かに機械を叩いた時だった。急に機械がスパークして、火花を出した。爆発する・・・!そう直感した海斗は、とっさに遠乃と遙を床に伏せた。

「ドォーン」

大音響が部屋全体の空気を震わせた。恐る恐る顔を上げた3人は、機械が壊れているのを見て、ほっとした。ハルメイの顔が青ざめていて、その後ろには、壁によりかかるようにしてたっている、ダイの姿があった。

ダイが超能力を使って機械を壊したのだ。

「ダイ!」

遙は思わず叫んだ。ダイはにやっと笑うと、ハルメイに向かっていった。

「これで終わりだ・・・。」




恐る恐る向平が目を開けると、剣はショウのからだのすれすれを通って、床に突き刺さっていた。ショウは少し腕が切れているものの、大丈夫なようだ。安心した向平は床に座り込んだ。

「あれ?」

体が自由に動く。慌てて向平はショウをゆり起こそうとした。

「ショウ、ショウ!」

その時、機械の爆発があった。

「ダイ!」

ダイの姿が向平の目にも映った。無理をして立っているらしい。壁によりかかっている。

ダイはもう力を使えないだろう。何とかしなくては。向平は側の剣を持ち、ハルメイの背後に回った。

一瞬の隙を突いて首筋に剣を当てた。

「動くな。おとなしくしろ。」

ハルメイは驚いて動けなくなった。

「何でお前が動けるんだ・・・?」

「バカ、あれで洗脳したつもりか。」

「今度こそ終わりだ、ハルメイ・・・。」

ダイの静かな声が空気を震わせた。



そして海斗たちがハルメイをコードで縛り付けた。ダイがショウを抱き上げて、4人の所へ来た。

「ありがとう。遙たちのおかげだ。」

「まあね。やる時はやるよ。」

ダイは敬礼をしていった。

「GSPへの捜査の協力に感謝する。」



その後ダイは通信機で地上と連絡を取った。

「こちらダイ、こちらダイ、応答せよ!」

「こちらGSP捜査指令本部。どうしたんだ。休みは昨日だけのはず。今すぐに戻れ。ハルメイが脱走した。」

「ハヤトか。いろいろあって、ハルメイは捕まえた。今宇宙空間にいる。場所はX-SWE342の・・・。」



「遙!翔君!どこいってたの!昨日の夜から・・・。」

帰ってきた遙たちを待っていたのは、親の大目玉だった。

「全く、一晩中かえってこないで・・・。」

「ごめんなさあい。」

2人はシュンとなる。

「とにかく、学校に行きなさい。始まるわよ。翔君も、初日なんだから。」

背を向けて家に入るお母さんの背中に安堵の色が見える。一晩中待っていたようだ。

ごめんなさい・・・。

遙は心の中で謝った。




「天海 翔です。よろしくお願いします。」

「ダイ・ヴァンドルです。」

2人は留学生として、遙たちに紹介された。二人の容姿は、当然クラスメートの注目を集めた。ショウはやはり、男として紹介されている。遠乃もそうだと信じきっている。海斗も向平も、話す気はないようだ。

「翔くんって、ハーフ?」

「ダイ君、今どこに住んでるの?」

当然、ショウと暮らす遙は女子から羨ましがられた。

そんなにいい事でもないんだけどね・・・。遙はあの一晩の冒険を思い出す。未来のGSPの、ショウとダイ。まさか未来の犯罪者を捕まえただなんて、とても言えない。4人だけの秘密だ。

「おーい、遙あ!」

ショウが呼んでいる。

「なーにー?」

遙が返事をする。昔からの友達のように・・・。



「BALARはあのバリアの機械から発見された。」

「あと幹部とボスだけか。残ったBLACK・Dは、サイキックの集まりだ。下手に手出しすると痛い目に会うからな。」

「まだ幹部がいるの?!」

「ああ。ハルメイを合わせて3人いるんだ。」

「遙たちもいて。よく全員無事に帰ってこられたよ。」

「向平は自分で暗示解いちゃうし。」

「何にしても、よかったじゃねーか。」

ショウが飛びっきりの笑顔で笑った。



「えっ?」

遙は自分の耳を疑った。ショウたちが、未来に戻る・・・?

「ごめん。でも、BLACK・Dの組織が残ってる以上、仕事を休むわけにはいかない。」

「でも、でも、どうやって帰るの?」

「テレポートで時間を飛び越えられる事、この間分かったからな。どうやらおおくすには、時間を超えるためのエネルギーみたい物があるらしい。」

ショウがいつものように、ニッと笑う。

「また・・・ここに来るのか?」

海斗が静かに聞く。

「ああ。もちろん。遊びに来るさ。」

「絶対来てね。」

遠乃が念を押す。ダイがにっこりうなずく。



翌日、いつものおおくすの前。

「じゃあ、いくな。一応みんなには、一時帰国だって暗示かけたから。」

「また来てよ。」

「待ってるからな。」

「ああ。」

ショウはあまりしゃべらない。

「じゃあな。」

ショウは一言だけ言った。

ショウとダイの姿が薄れていく。4人は何も言わず、ただ見送った。もう一度会えると信じていたから。

すっかり2人の姿が見えなくなってから、遙はつぶやいた。

「Good luck・・・」

その時、一人呆然としていた遠乃がぽつりと言った。

「ショウって、女の子?」

「そうだよ。気付いてなかったの?」

「ええーっ。」

遠乃の叫び声が響いた。

「えーっ、ショックだあー。ショウってけっこうタイプだったのにー。」

「女同士かよ。」

海斗が冷たく言い放つ。

「もう、海斗なんか嫌いだあ!」

「おい、おい。」

遙は途中から聞いていなかった。ショウたちが消えていった辺りをじっと見つめていた。

Good luck、ショウ…。

「おーい。遙、いくぞー。」

「うん。」

4人は駆け出した。すべての始まりになった、おおくすの根元から。




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