第3話
あたしが実際に片山の存在を知ったのは新学期が始まってまもなくの事だった。
彼は一年の頃からあたしの周りでもカッコいいとウワサにはなっていた。それまではクラスの男子たちに特別興味はなかったし、そりゃカッコいいと思う子はいるにはいたけど、アタックして彼女になろうなんて考えは持たなかった。
細身で背が高くて、サラサラのうす茶色に染めた髪。重い奥二重のあたしとは大違いのくっきりとした二重。片山の周りにはいつも誰かがいて男子からも女子からも人気がある。確かにウワサになるだけの要素は十分持っていた。
その日。
忘れもしない、春に似合わずひどい雨が降っていたあの日。
あたしは三年の女子から呼び出されていろいろと文句をつけられていた。
彼女たちが言うには、あたしの目が人をバカにしているみたいで頭にくるんだそうだ。
目つきの悪さに因縁をつけられるのはこれまでにもあった。
でもその日の朝から続く雨に心底うんざりしていたあたしは、つい先輩たちに反抗的な態度をとってしまい、いちゃもんだけでは済まされなくなってしまった。
もちろん少しは反撃もしたけど、でも3対1なんて卑怯だと思う。
あたしは散々突き飛ばされて平手打ちなどくらったあげく、靴下のまま外に放り出されてしまった。
怒りと悔しさから涙が込み上げてきて、あたしは一人ずぶ濡れになりながらしばらく立ちすくんでいたと思う。
人前で泣くなんてみっともない事するくらいなら、死んだ方がマシ。
だけど今は誰もあたしの事なんか見てないし、もし誰かに見られても雨が涙を流してくれる―――・・
その時だった。




