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第1話
「彼女のいる男なんて興味ないよ」
そう言ってあたしはちらっと窓際を見た。
柱にもたれかかって3人組で楽しそうに話している真ん中の男に視線を送った。
「え〜ホント?若菜ちゃん」
ニヤニヤしながら腕をつついてくる亜矢子に笑顔を返して、もう一度窓際を見る。
昼休みの教室のざわめきに紛らわしたけど、内心はわざと聞こえるように言ったのだった。
真ん中の男、片山直樹はそんなあたしの事など気付いていない様子で笑っている。
予報が当たって昼前からぽつぽつと雨が降り始めていた。
雨は嫌い。
こんな日は、学校なえなければ家の中にこもってしまいたくなる。
あたしは体を隠すようにして彼、片山直樹にしがみついた。
かすかな香水の香りがして、大きな手がゆっくりあたしの髪をなでた。
「さっきの話・・」
薄暗い廊下、耳障りな雨音に紛れて片山の低い声が響く。
言いかけて「なんでもない」と言った。
カムフラージュだよ。とあたしは心の中でつぶやいた。
さっきあたしたちが話していた事を片山は聞いていたらしい。
少しは気にしてんのかな?そんな事で小さな優越感を噛みしめる。
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