夕に柿の落つ
掲載日:2026/09/11
ばたり ばたり
そんな音を残して 青い柿が枝から落ちる
秋口の夕べに 病にむしばまれて
黴の仲間がそうさせるのだと
物の本にはそう書いてある
花は咲いて 実を結び けれど
ばたり
やはり柿は 青いまま落ちる
何が悪くて 何がゆえに
後になってから語る 知識の驕りのみにくさよ
ばたり
秋晴れの空を見ずに あれらは地面で腐れるだろう
花は咲いて 実を結び
ばたり ばたり
それはさだめだったのか
柿は青いまま 落ちる 落ちる
そうなるべきではなかったろうに
ばたり またひとつ 柿は落ちる
柿の落果落葉病は厄介きわまる病気だ、罹っていても症状が出るのは柿の実が大きくなってきた9月の初旬からだからだ。消毒をしてもそれが有効だったのか分かるのは発症時期になってからだ。
青いまま落ちる実の無惨さを思うと、どことなく、人の早逝のそれに重なる心情があるような、寂しさとも悲しさともつかぬ心持ちがすることがある。




