其の三 死ぬまで待って
今月は忙しい。
明日は先生のサイン会、
明後日はイベント、
来週は新刊発売の作品が三作品、
再来週は生誕祭とアップデート、
身体がいくつあっても足りない。
心臓がいくつあっても保たない。
まるで、麻薬のように刺激を求める。
耐性がついたら、量を増やす。
効き目が切れると、しんどくなる。
早くその時が来てほしい、だが、過ぎ去るのが怖い。渇きが恐い。終わりが来るのが耐えられない。
それでも時間はひたすら進む。
その時に向かって。
渇きに向かって。
終わりに向かって。
人生の終了の瞬間、未練があったりするのだろうか。
「あの作品、完結まで見たかったなー」
「アニメ化決定したのに見れないなー」
「あのグッズ欲しかったのになー」
その後に、記憶があるのか、意識があるのかも分からないのに、途切れることに抗いたい。
永遠に待ち続けたい。
時が来ない方がむしろありがたい。
永遠に今のままでいて欲しい。
変わらない方がむしろありがたい。
この瞬間を、自室に閉じ込めて、飼いたい。
幸福ボタンを長押しにしたい。
人生サ終を防ぎたい。
時間の流れに耐えられない。
周囲の変化に耐えられない。
ずっと、ずっと、止まればいいのに。
でも、止まったら、更新もされなくなる。
刺激の対価は終了への行進。
どちらも重すぎる。
天秤の鎖が千切れそう。
皿からこぼれ落ちそう。
待って、待って、待って、待って。
いつか来る終わりの時まで、
震える天秤を見つめて生きる。




