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其の二 それを季節と呼ぶ

優しい色の花が咲く。


花が散って葉に変わる。


葉の色が変わり数が減る。


枯葉が落ちて枝になる。


こんなことを、ひたすら繰り返すのが季節というもの。


朗らかな、鮮やかな、密やかな、寂しげな、


色、音、匂い、


俳句に季語なんてものがあるくらい、季節というのは、五感を豊かにするものだ。



私は、季節によって変わる様々な「色」が好き。


花の色、空の色、海の色、土の色。


赤とか、青とか、そういうのじゃない。


季節の色。


あえて名前をつけるなら、


春色、夏色、秋色、冬色。


どれも、絵の具や色鉛筆に書いてあるようなものではなくて、時を刻むごとに変わるたくさんの色。


自分の視界が丸ごとキャンパスのような、


動き、移ろう、生き物のような絵画を、私は季節と呼ぶ。



僕は、季節によって変わる様々な「音」が好き。


生き物の声や、草木の音。


鳴ったり鳴らなかったり、聞こえたり聞こえなかったり。


どこから聞こえるかは分からない。


森からかもしれない、茂みからかもしれない、空からかもしれない。


楽器のように、色々な種類の音を出す。


音楽とはまた別の、音の重なり。


季節の調べと移ろいの声。


終わりも始まりもない、自然の歌を、僕は季節と呼ぶ。



俺は、季節によって変わる様々な「匂い」が好き。


物の匂い、場所の匂い、空気の匂い。


植物、動物、天候。


どれも、例外なく匂いがする。


温度、湿度、気圧。


わずかなことでも変動する匂い。


今、自分が存在している環境を知ることができる。


鼻孔を通る空気が、季節を教えてくれる。


世界の今日を探す、変化の計測器を、俺は季節と呼ぶ。



季節に明確な定義など存在しない。


人の顔が皆違うように、季節の顔も皆違う。


感情のない表情を、人々は皆、季節と呼ぶ。

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